Sleeping Beauty【attention】
本作品は2020年7月18日 07:19pixiv掲載作品となります。
NT時空(not原作不死鳥狩り)の話になります。
一応イアヨナの枠組みにはしてますが、ラブラブしてません。
ヨナが殆ど話しません。リタが出てきます。
それでも大丈夫な方はどうぞ。
イアゴと共に救助されたヨナはダマスカスに収容されるや否や急に倒れてしまった。
倒れた際、咄嗟にイアゴが受け止め、呼びかけたが、ヨナの意識は既になかった。
そのままイアゴに抱きかかえられ、ヨナはすぐ医務室に運ばれた。
目立った外傷はないが、Gで体がやられているせいなのか、肉体疲労のような症状が伺えた。
ユニコーンガンダム3号機フェネクスに搭乗した事が何らかの影響を及ぼしているのかもしれないと、念の為、速やかに適切な処置が施され、医務室のベッドに寝かされた。
それから数日が経った。
肉体疲労は回復したはずだが、ヨナは一向に起きる様子がなかった。
何処も異常がなく、原因を探るも見つからない。
ドクターもダマスカスのクルーもシェザール隊のメンバーもよもや成す術なく肩を落としていた。
その日、イアゴは任務を終え、シャワーを浴び、ヨナを見舞い、食事を済ませ、自室で報告書を書き上げていた。
報告書が一段落し、時計を見るとすっかり深夜に差し掛かっていた。
そろそろ休むか、とイアゴはベッドに潜り込む。
ベッドの海にダイブしても、考えてる事といったら眠ったままの部下の事ばかり。
食事の時も任務中の時でもそうだ。
頭を支配してるのはヨナのことだった。
いつになったらヨナは目を覚ますのか。
毎日見舞いに行くが、呼吸の為に上下する胸部以外全く動く気配がまるでない。
まさかヨナの意識がフェネクスと一緒に行ってしまったのではないか。
そうなると、このままヨナは永久に目覚めないままになってしまうのではないか、などと一向に不安だけが募るばかり。
明日こそヨナが目を覚ましてくれるようにと祈りながら、イアゴは目を閉じた。
深い眠りに入るか入らないかというところで、突然アラームが鳴る。
上体を起こし、こんな深夜に誰だと訝しげに思い、ドアモニターを写す。
すると、そこには医務室でずっと眠っているはずの人物がそこにいた。
「ヨナ!?いつ目が醒めたんだ!?」
慌ててドアを開け、ドアスピーカー越しに自室に招いた。
ヨナらしき影が部屋に入ってきて、ベッドに向かってくる。
イアゴはベッドを出てヨナに近づく。
「ヨナ!心配したんだぞ、もう大丈夫なのか?」
投げかけるもヨナの声は返ってこなかった。
「ヨナ…?」
ヨナの様子が可笑しい。
終始黙りこくっている。
その代わりと言ってはなんだが、微笑んでいた。
ただ、いつもの、彼特有のぎこちない微笑みではない。
やんわりした優しい微笑みだった。
イアゴはそんなヨナのいつもと違う雰囲気に違和感を感じ、思わず問いかけた。
「お前は、誰だ…ヨナじゃないな?」
すると、目の前のヨナはコクリ、と頷いた。
「こんばんは、イアゴ・ハーカナさん」
「誰なんだ…一体…」
真夜中の訪問者は静かに答えた。
「ヨナの、友達です。」
ヨナの友達…彼の友人と呼べる人はあの2人以外思いつかない。
一人は不死鳥狩りの際、自分の代わりに命を落としてしまった彼女。
だが、雰囲気が柔らかい感じからして、きっと彼女ではない。
だとすると…
イアゴは信じられないと言った面持ちで、恐る恐る、その答えを投げた。
「もしや、リタ・ベルナル、なのか?」
目の前のヨナは微笑みながら再び頷いた。
「貴方と、話がしたかった」
目の前のヨナ、もとい、リタをベッドサイドに座るように促し、イアゴもその横に座った。
「俺と、か?ヨナじゃなくて」
イアゴが問いかけると、リタは頷いた。
「貴方に伝えたい事があったの」
直接的な接点がないのに伝えたい事ってなんだ、とイアゴが首を傾げていると、リタは微笑みながら口を開く。
「ヨナを支えてくれてありがとう」
意外な言葉が返ってきたことに目を丸くする。
「…お礼を言われる程大したことなんざしちゃいねぇさ」
「そんなことない、貴方がヨナを支えてくれなかったら、あの状況を切り抜ける事なんて出来なかった…ヨナと私、ミシェルだけじゃどうにもならなかった…」
するとリタは目を伏せながら、イアゴの手を取り、その手を自分の両手で包み、自分の額を宛てた。
「貴方が生きていてくれて本当に良かった」
自分に感謝の意を評すリタを見て、イアゴは辛そうな顔をする。
「だが、俺はアンタの友達…ミシェル・ルオを死なせちまった…俺があの時、撃たれてりゃ彼女は…」
Ⅱネオ・ジオングにコントロールを奪われ、自分でもどうしようも出来ないジェスタを止めるには、自分がヨナに撃たれて死ぬしかないと思っていた。
あの時、死ぬ覚悟は十分に出来ていた。
いや、死ぬ覚悟なんて、アクシズショックの時から既に出来ていたはず。
戦場に立つ以上、死神は付いて回る。
それなのに…
するとリタは少しばかり悲しそうな表情を見せながらも首を横に振る。
「ああなる事は最初からもう決まってたの。ミシェルもそれが分かってた。覚悟の上だったの。だからどうか悔やまないで」
リタは、伏せていた目を開け、イアゴをじっと見た。
「私も、ミシェルも、ヨナを置いていってしまったから…貴方が生きていてくれて本当に良かったと思っているの…貴方が居ないとヨナの帰る場所がなくなるから…だから、どうか、これからもヨナの側に…支えになってあげて…」
「アンタ…」
リタの言葉に、困ったように笑った。
「…いいのか?俺なんかに任せちまって」
「貴方にしか出来ないと思うの…ううん、貴方にしか出来ない。だって、ヨナの事、すごく大切に想ってくれてるんだもの」
それを聞いて、彼女にはお見通しか、と心の中で頭を抱えた。
「もう時間みたい…」
突然リタは立ち上がり、イアゴの正面に立つ。
イアゴはリタの方を見る。
「ありがとう、話を聞いてくれて」
その時、目の錯覚なのか、イアゴの目には、目の前に居るヨナの姿が、今話をしている人物、つまり、リタ・ベルナルの姿そのものに見えた。
リタは笑ってイアゴに向かって言う。
「イアゴさん、ヨナのこと、宜しくお願いしますね」
瞬間、マリオネットの糸が切れたが如く、ヨナは気を失い、イアゴに向かって倒れ込む。
イアゴはそれを咄嗟に受け止めた。
腕の中に収まったヨナは再び静かに息をしていた。
「分かってるさ…」
もう誰もいない静かな自室で、誰に話している訳でもなく、イアゴは独りごちた。
―AM7:00―
イアゴは目を覚ました。
覚醒した瞬間、昨晩の事は夢ではないかと疑ったが、自分の隣にまだ起きる様子のない青年の温もりを感じて、昨晩の出来事が現実だった事を再認識させられる。
ヨナは尚も規則的な呼吸を繰り返していた。
イアゴは、上体を起こしヨナの方を向く。
最初出会った時は、何もかも秘密だらけで、心底いけ好かない、怪しい奴だなどと思っていた。
『俺が捕まえます…どんなことをしてでも…必ず…』
だが、あの時の表情、特にあの目に何故か心奪われてしまった。
あの瞳に宿るものに惹かれてしまった。
Ⅱネオジオングとの戦いの時、ヘリウム3の臨界爆発の件もあったが、単騎で行ってしまったヨナを放っておく事も出来なかった。
今振り返ると、あの時ヨナの事ばかり考えていたような気がする。
今だってそうだ、頭の中はヨナの事でいっぱいになっていた。
つまり、自分の中でヨナに対して『愛おしい』という感情が芽生えている。
『自分の部下として』ではないこの感情に。
昨晩リタ・ベルナルと話した事で、それが分かってしまった。
イアゴは思わずヨナの頬に触れた。
未だ彼が起きる様子はない。
そのまま顔を近づける。
「そろそろ起きてくれてもいいんじゃねぇか、寝坊助」
そう囁くと、静かにその唇に軽く口付けを落とした。
「イアゴ…隊長…?」
頬を染めながら、眠り姫は目を覚ます。
止まっていた時間が動き出す。
年の離れた王子は口を開く。
次の言葉を装填して。
(Good morning, sleeping beauty)
【謝罪会見】
ギャアアアアごめんなさい!!!
初のイアヨナです!!!!
普段は書かないCP書いちゃったよこの人!!!
しかもヨナ全然話さないし!!!!
怪奇現象起こってるし!!!
てか真のニュータイプそんな事できるんか!???!?!
そもそもこれはイアヨナかこれ?!?!!?!(スペキャ)
なんじゃこれぇ解釈違いが甚だしい!!!
この度は誠に申し訳ございませんでした゚・:*†┏┛ 墓 ┗┓†*:・
ちなみに、ヨナが眠ってる間、ヨナの精神はあのビーチに居ます。走ってます。多分。知らんけど。←コラッ
この話の今後の展開は皆様のご想像にお任せします。(丸投げ)
今回NTの4DXを3回見た中で自分の中でかなり色んな化学反応が起こってしまって、あとうろ覚えですが、公開当時、原作の不死鳥狩りではイアゴ隊長は死ぬ運命にある所をNTでは希望を持たせたい為にイアゴ隊長生存ルートにしたというエピソードを聞いたのも相まって、結果、今回のイアヨナ作品が出来上がりました。
NTは見れば見るほど奥が深いです。
色んなことを考えてしまう。スルメだな。
語彙力という名のフェネクスが飛んでいった為に今回も拙い文になってしまい本当にスミマセン…
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!