Coffee&Hot chocolate【attention】
本作品は2020年9月19日 17:46pixiv掲載作品となります。
前作『Summer Vacation』の続編となります。
読まれてない方は先に前作を読む事をお薦めします。
今回、一応全年齢向けとしておりますが、実質R-15ぐらい(ディープキス)ありますのでご注意ください。
相変わらず設定メチャクチャです。なんでも許せる方向けとなります。
それでも大丈夫な方はどうぞ。
本作品のリブート版を2021年7月2日リリース『Journey in the Earth』収録予定です。【2021年6月20日追記】
あの夏の暑さはどこに行ったのか、夏と比べて少し肌寒くなった秋の夜長。
赤黄色の色鮮やかなメタセコイア並木の道を1台のセダンが走る。
地球連邦政府中央議会議員ローナン・マーセナスの私設秘書であるリディ・マーセナスはそのハンドルを握っていた。
助手席には山吹色の瞳で外の紅葉を眺める亜麻色の髪の少年。
「綺麗ですね」
自然が織りなす赤黄色のグラデーションを目の当たりにして、少年は目を輝かせた。
「ここ、隠れたドライブスポットなんだぜ」
「そうなんですか…本物の紅葉、初めて見ました…すごく、綺麗です」
窓の外を見ながらはしゃぐ少年をリディはハンドル片手に微笑んでいた。
バナージ・リンクスとリディ・マーセナス、今この二人はドライブデートを楽しんでいた。
なぜ再びこのような状況になってしまったかは、三か月前に遡る。
それはバナージがメガラニカに帰って数日経ったある日のことだった。
いつものように公務を終え、へとへとになって家に帰ってきたリディはジャケットを脱ぎそのままベッドにダイブした。
「バナージ…」
口から出るのは手の届かない遠い宇宙に帰ってしまった恋人の名。
あの夏、結局ビーチでの休暇を満喫した後すぐに二人は再び離れ離れになってしまった。
『来年もまた、このビーチに連れてきて貰えませんか』
あのビーチで交わした約束、バナージはそれが将来的に叶わないと感じたのかもしれない。
別れ際に、「またいつか」と悲しい目をして笑っていた。
リディはそんなバナージにドキリとし、咄嗟に「ああ、またいつか」と同じように返してしまった。
本心ではあんな言葉を返したくなどなかった。
しかし、いざ来年またあのビーチに本当に連れて行けるかと聞かれるとその確証もない。
時々、自分が惨めに感じるほどに、バナージが大人びている時がある。まさにそれがその時だった。
17歳とは言えまだ幼さ残る年齢なのに気を使わせてしまい、恋人になんてことを言わせてしまったんだと、手の届かない距離に苛立ちを感じていた。
あの時の事を思い出しながら、今や彼の居ない自室に一人寂しくベッドに虚しく横たわるリディ。
今日は一段と疲れたのか、そのまましばらく浅い眠りの海をふわふわと漂っていた。
すると突然、けたたましくアラームが鳴った。
リディは不機嫌になりながら、ボサボサの頭を掻き、ベッドから降りる。
「なんだ、こんな時間に…勤務時間外だぞ」
軍人だった時は夜中にスクランブルがかかって叩き起こされても不平は言えなかったが、今は地球連邦議員私設秘書。
休息時間ぐらい約束されていてもいい身分だ。
実際、深夜に仕事の連絡など今まであまり無かった。
リディはパソコンを開き、モニターを覗く。
「秘密通信…?」
通信を開くと、見知った顔が現れた。
「夜分遅くにごめんなさい、リディ」
「ミネバ!!」
モニターに映ったのは、遠い宇宙に居る姫君。
以前にもこんなやり取りをした気がする、とリディはデジャブを感じた。
「どうしたんだ、何かあったのか?」
「実は、貴方にまた頼みがあるの」
「頼み…?」
この展開、前にもあったな、まさかな、と思いながら耳をそばだてる。
「また、バナージを預かってほしいの」
リディはまだ若干眠気眼だった碧眼を見開く。
バナージとまた一緒に居られる。
願ってもない申し出ではあるが、一体何があったのか。
リディは思わずミネバに問いただした。
「なんでだ?ついこの間リフレッシュ休暇しただろ?」
すると、ミネバが溜息をつき、リディをじっと見る。
リディはその時、気のせいかもしれないが、なんだか自分が悪いことをしてしまったかのような罪悪感を少し覚えた。
「貴方のせいでバナージの元気がないのよ」
「え?」
予想外なミネバの返答にリディは豆鉄砲を食らった鳩の様な顔をする。
バナージが元気ない?俺のせいで?
「リフレッシュ休暇だったはずなのに、作戦任務中に呆けてたりとずっと上の空なの…このままだと任務中ミスをして命を落としかねないわ」
そんな元気のないバナージを見兼ねたミネバはやむなしと再びリディに連絡したのだというのが事の次第だった。
「アイツ…」
自分を想ってくれている事には素直に嬉しいと思う反面、周りを困らせている事にリディの眉間に皺が寄った。
リディは頭を掻きながら承諾した。
「分かった、責任は取らせてもらうよ」
それを聞いてミネバは微笑み、感謝の言葉を送った。
そういう訳で、三ヶ月後再びバナージがやってきた。
今回三ヶ月という猶予を持たせたのは、ミネバ側の都合とリディ側の都合を擦り合わせて出した結果だった。
リディは二ヶ月後にスペースノイドの自治独立に関わる重要な会議を控えており、父ローナンと共に出席する予定にしていた。
ミネバと相談した際、リディは、三ヶ月後にご褒美がもらえるなんてまるでニンジンをぶら下げられた馬みたいだ、と自嘲した。
前回と違い、今回は事前にいつ来るかが確実に分かっていたので、予めスケジュールを開けておくことが出来た。
リディは折角の秋だと、バナージを紅葉ドライブに連れ出した。
お互いあまり公に外に出られる立場ではないが、地球に居る間だけでもバナージには地球の四季、秋の香りというものを感じて欲しかった。
この日の為に、リディはガンメタリックのセダンを用意した。
この宇宙世紀において、道を走るのは今やエレカが主流となっている。
特にスペースコロニーでは,空気汚染を防ぐためガソリンエンジンなどの内燃機関の使用を禁止になるなど様々な制限が設けられていたため、かなり普及した。
地球でも元来、旧世紀から温暖化が問題視されていたため、環境に優しいという観点からエレカが自然と普及した。
しかし、リディは折角のドライブだと、エレカではなく敢えてガソリンエンジンのセダンを選んだのだった。
メタセコイヤが並ぶ道を走っていると、一軒のコーヒーショップが見えてきた。
リディはそのコーヒーショップの駐車場に進入し、駐車スペースに車を停め、車扉を開ける。
「飲み物買ってくるから、ここで待ってろよ」
そう言って、エンジンをかけたままリディは車を降りた。
一人残された車内で、バナージはこの状況に至った経緯を振り返る。
バナージはあの夏の後、一度メガラニカに戻った。
本来であれば、またしばらく年単位で、否、もしかしたら一生かもしれない、リディと会えない日々が続く予定だった。
しかし、メガラニカに戻ってからというもの、思うように気分が上がらなかった。
リフレッシュ休暇をしてきたというのに、地球に降り立つ前よりバナージの元気は無くなっていた。
幸い、任務に支障をきたす事は無く、以前のように過労でふらついたりする事は無かったが、呆けていたり、気の抜けた返事をしたり、時折寂しそうな顔をする事が多くなった。
まるで心ここにあらずといった調子だった。
この調子ではいけないと自分の頭では理解はしていた。
自分がこうやって哨戒任務に当たっている間にも、リディは地球で地球連邦議員として頑張っているのだ。
頭では理解しているのに、欲望が湯水の如く溢れ出す。
何より可笑しかったのは自慰の回数だ。
このことは勿論ミネバや仲間たちには知られていないが、以前はそこまで頻繁に自慰をすることは無かったが、地球から帰ってきてから毎日のように自慰をするようになってしまった。
欲しくて欲しくて堪らない存在。
地球に居る時に何度も抱かれ、愛を注がれた。
それを思い出しながら隠れて、何度もその名を呼び、自分のモノを扱き、果てた。
それでも欲求不満は収まらなかった。
明らかに原因を作ったのは間違いなくあの男だった。
「バナージ、三ヶ月後、地球に降りて」
「え?」
三ヶ月前、突然ミネバの口から出た言葉にバナージは耳を疑った。
「なんで…?」
困惑した表情でバナージはミネバを見る。
「リディに会いたいんでしょう?」
ミネバの自分を見透かしているような言葉に目を見張る。
「今のバナージ、そんな感じがするの」
確かに、彼に会いたい気持ちで一杯だが、それだと皆を困らせてしまう。
自分だけが我儘を言っていい身分ではない。
心の中の葛藤のせいで返す言葉が上手く出てこないでいると、その様子を見兼ねたのか、ミネバがバナージに告げる。
「バナージ、『好き』という感情には素直になってもいいのよ」
バナージはその言葉を聞いて、山吹色の澄んだ目を見開く。ミネバは笑っていた。
「大丈夫、ここの事は心配しないで」
バナージは背中を押すミネバに感謝した。
「ありがとう」
翌日から、バナージは以前の元気を取り戻し、着々と任務をこなしていった。
そして約三ヶ月後経った昨日、再びバナージは地球に降り立った。
リディの屋敷を訪れた時、リディの顔を見るや否や泣いてしまった。
「無理に背伸びしなくていいんだよ、お前は」
泣いているところを抱きしめられた時に降ってきた言葉。
「ごめん、あんな約束しときながら、あんな言葉しか言えなかった」
『あんな言葉』とは、別れ際に交わした言葉の事だろう。抱きしめる力が一際強くなる。
「俺、早くお前と一緒に居られるように頑張らなくちゃな」
そう言って、リディはバナージの頬に手を添え、親指で涙を拭い、まだ幼さ残る桃色の唇にキスを落とした。
窓の外を眺めながら回想していると、いつの間にかリディが戻ってきた。
リディが運転席側の車扉を開け、入ってくる。
「バナージ、ごめん、ちょっと持っててくれ」
そう言って渡されたのは黒い液体が入ったカップ。
「俺、コーヒーは…」
そう言うと、運転席に乗り込んだリディの手がカップ取り上げる。
「分かってるさ、お前のはこっち」
そう言って代わりに手渡されたのは、黒い液体ではなかった。
カップからはみ出るふわふわの白いホイップ。
その上にかかったマシュマロとチョコスプレー。
「お前にはこれぐらい甘い方がお似合いだろ?」
そう言ってにやりと笑うリディにバナージは頬を膨らませる。
「もう、子ども扱いしないで下さいよ」
リディは悪い悪いと言いながら、ポンポンとバナージの頭を撫でた。
ほら、また子ども扱いして、とポコポコ怒るバナージを笑って軽くあしらいながら、リディは湯気立つコーヒーを啜る。
それを見て、バナージも渋々リディが買ってきたホットチョコレートに口を付けた。
見た目以上にかなり甘かった。口の中に甘いココアとクリームの味が広がる。
「なぁ、俺、確かに『背伸びしなくていい』とは言ったけどさ、お前のこと、そんなに子ども扱いしてるように見えるか?」
リディがカップから口を離し、バナージの方を見遣る。
「してますよ…毎日俺に甘いお菓子買ってきたり、勝手に俺の寝ぐせ直してくれたり…今日だってリディさんの家出る時『ハンカチとティッシュ持ったか?』なんて…それ、親が子供に言うセリフですよ…俺、もう17歳なのに…」
ホットチョコレートを飲みながらプンプン怒っているバナージにリディは苦笑しながらも、次の瞬間、真剣な顔つきをして射るような眼差しでバナージを見る。
「あのさ、俺、別にお前を子ども扱いしてる訳じゃないんだけど」
「え?」
バナージが呆けていると突然リディがバナージの顎を掴み、自分の方を向かせ、唇を奪う。
油断していたせいで、だらしなく開いていた口に難なくリディの舌が滑り込む。
そのまま歯列をなぞられ、舌を絡み取られ、吸われる。
クチュクチュと鳴り響く厭らしい湿った音が車内を支配する。
時にリディの舌がバナージの舌の裏側に触れると、バナージの身体が大きく震えた。
「ふ…ん…んぅ…」
バナージの喉から思わずくぐもった声が漏れてしまう。
先程までホットチョコレートで甘くなりすぎた咥内にリディが飲んでいだコーヒーの苦みが広がり、甘さが中和される。
甘くて、熱い。溶けてしまう。
眩暈を感じるバナージに構わず、リディは貪るようにバナージの呼吸を奪っていく。
暫くバナージの唇を思う存分堪能して、やっとリディは唇を離した。
お互いの息がかかるぐらいの至近距離でリディは笑う。
「ほらな? 子ども扱いしてないだろ?」
大人のキスに翻弄され、バナージは頬を赤らめ、口で荒い呼吸をする。
リディの問いかけに返答も出来ずただ必死に呼吸を整えようとしている間、まるで先程バナージが飲んでいたホットチョコレートの味を吟味するかのように、リディは舌なめずりを一つして呟いた。
「甘いな」
その台詞がバナージとのキスの味の感想だった。バナージは更に赤面してしまう。
リディは堪らず、バナージの耳元に熱っぽい吐息を吹きかけ、囁く。
「なあ、寒くなってきたし、帰って温め合おうぜ?早くお前をもっと味わいたい」
碧眼の瞳の奥に欲情の色が見えていた。まるで獅子だ。
その台詞と表情にバナージの頬が益々赤くなり、その熱が耳の先まで到達する。
まるで熟れた林檎のようだ。
「もう、リディさん!」
怒った素振りを見せるも、バナージも本心では同じく、リディと早くこのホットチョコレートのように甘く溶け合いたいと願わずには居られなかった。
「コーヒーは苦手ですけど、貴方とのキスの味がコーヒー味になるのは好きです」
頬を赤らめながらそんな殺し文句を言われたせいで、リディがコーヒーショップの駐車場を出ようとした際エンストしてしまったのは言うまでもない。
(bitter but so sweet)
【謝罪会見】
1ヶ月ぶりの投稿になります…
1ヶ月ぶりという言葉に悲鳴上げてしまった…そんなに上げてなかったんか…orz
すみません、最近別でリディバナ本執筆してまして、忙しくしてます。
それにしても、嘘でしょ8作目???
もうそんなになっちゃうの???
しかも『Summer Vacation』の続きとか聞いてまへんがな( ^ω^)…
いやぁなんだこれはこの駄作はァ!!!
すみません、今回の話はただただバナージにホットチョコレートを飲んで欲しかっただけの話です。
今回も誠に申し訳ございませんでしたアアアアアア゚・:*†┏┛墓 ┗┓†*:・゚
今回もかなり拙く読みにくい文章で本当にスミマセン…
相変わらず語彙力はまたフェネクスしました゚・:*†┏┛ 墓 ┗┓†*:・゚
ここまで読んで下さり本当にありがとうございました!!!