【ディオニュソス×パーシー】素直な言葉が聞きたいだけ【腐向け】【まえがき】
今回の作品はディオニュソス×パーシーという特に需要のない上にBLという非常にアレなものです。
キャラ崩壊はもちろんの事、捏造なんてどんと来いみたいな状況です。
時期は最後の神が終わった後くらいですかね。知らぬわ!!
私の書くものは駄文しかないから面白さは皆無だよ!!
それらが嫌な人は戻るボタンで戻ってね!
大丈夫な人もつまらないことを覚悟して読んでね。(∵)
ここ最近の訓練所は雨が降り続いている。
なぜならつい先日、入ったばかりのハーフがゼウスを怒らせたからだ。
これが雷だったら確実に近くにいた俺まで巻き込まれていただろう。
ゼウスが雨で許してくれたことに感謝した。
だけど、連日降り続けていたせいで湿気はひどいわ蒸し暑いわでなんだかんだハーフ訓練所の外と大して変わらない気温になっていた。
だからここ最近はビッグハウスに避難しているハーフもいくらかいる。
今日は今のところ俺一人。
というのも足を捻挫してしまったせいで訓練に出られないからだ(俺は大丈夫だって言ったけど、今は急いで直す必要もないだろう、というケイロンの気遣いでほとんど足に負担がかからないように歩くくらいしかできない)。
することがない俺はソファに座って天井を見つめているとミスターDが入ってきた。
「……ミスターD、今日はケイロンはいないんですか?」
おれがソファ越しに話しかけるとミスターDは「何だ、いたのか」と言いたそうな目でおれを見た。
「ケイロンはこの間ゼウスを怒らせたハーフのがきと一緒にオリンポス山へ謝罪に行っている。まったく、あのチビのおかげでとんだ災難だ」
来た時にイルカにしておけばよかったとぼやきながら冷蔵庫を漁るミスターDから視線を外し俺はまた天井を見上げて「へー」なんて気の抜けた相槌を打ってソファにもたれ掛った。
しばらく天井を見上げていると音がしなくなったことに気付き、どうしたのかと首を動かそうとした時に首筋になにかひやりとするものが当たっていた。
驚いて俺が間抜けな悲鳴を上げると俺の座っているソファのすぐ後ろで笑い声が聞こえた。
「…………なんですか、ミスターD」
さっき首筋に当てられたそれはミスターDがよく飲んでいるダイエットコークで、それを渡してきたんだから俺が凝視してしまったのは仕方ないと思う。
「わざわざこのわしが一本やると言っているんだ。どうせ足のせいで何も出来んで暇だろう」
そういうとミスターDはいつもピナクルをしているテーブルの元へ歩いていくと俺を呼んだ。
「来い、相手でもしろ」
何か言い返したかったけど特にこれと言って思いつかず、俺は仕方なくのたのたとミスターDの向かいに座った。
ミスターDがトランプを俺と自分の前に配っていく。
配り終えるとミスターDが言った。
「ジャクソン、“それ”は冷えているうちに飲んだ方がうまいぞ」
それ、と指された方を見ると手元のダイエットコーク。
確かに今日も暑いし、冷たいうちに一気に飲みたい気持ちもある。
けど……
「ん? どうした、はやく飲め」
あきらかにミスターDの様子がおかしい。
そして手元のこれはミスターDからもらったものだ。
(安心して飲めるわけないだろ!)
内心そんなことを思っているわけだがあちらはずっと俺の方を見て待っている。
(くそ、本当になんだっていうんだ……。いやだっていったら脅されるんだろうな)
飲まないという選択肢はないのかと視線で問うも、ミスターDは早くしろと言うように顎をしゃくった。
俺は腹を括って深呼吸するとプルタブを開けて一気に飲める限り飲み込んだ。
……飲んだ感じとしては普通のダイエットコークと変わらない。
読みづらいけれども一応材料などの表記の所も見てみる。
何もおかしなところは見当たらない、はず。
「……?」
俺が首を傾げているとミスターDが鼻で笑った。
「フン、大方それが何かおかしなものじゃないのかと思ったんだろう? どうだ、飲んでみた感想は」
別に何も、と言おうとしたけれど俺の口からは別の言葉が出ていた。
「正直ミスターDから渡されたものだったので怪しくて飲みたくなかったです」
俺自身の言葉に自分で驚いていると、ミスターDは「そうか」と楽しそうに笑うだけ。
「……てっきり怒るかと思いました」
今度は思った通りの言葉がでて少しほっとしていると、ミスターDが自分の分のダイエットコークを飲んで口を開いた。
「いいや、怒らんさ。“素直な感想”が聞けて嬉しいよ」
くつくつとなおも楽しげに笑うミスターDの言葉に、やっぱりおかしいと思い問いかけた。
「これ、なんですか? その様子だと普通のダイエットコークじゃないですよね?」
「それ自体は普通のダイエットコークだ。ただちょっと細工してあってな」
そういうと俺の手元のダイエットコークを取り上げ先程見ていた表記の所を指差す。
「ここの文字が読めるか?」
言われた通りに指先の文字を見る。
文字がごちゃごちゃと動いてうまく読めない……ヘ、メ……ス?
俺が眉間にしわを寄せているとミスターDが代わりに読んでくれた。
「ヘルメス、だ。これでわかったか?」
缶を置いたミスターDの言葉に嫌な予感がした。
「これはヘルメスの会社の一つで作られているダイエットコークだ。飲み物によって効果は様々だが、この場合は“思った通りの言葉を伝える”といった効果がある。つまり……」
「つまり、今の俺は嘘がつけないってことですか?」
「ピンポーン! ちゃんとわかっているじゃないか、ジャクソン君」
もしミスターDが言ったことが本当なら、ミスターDを酔っ払い親父と思いながら話しかけたら普通に酔っ払い親父って言っちゃうってことだ。
まずい。
これは下手にしゃべるとイルカにされるどころか拷問にあうかもしれない。
変な汗が暑さで出た汗と混じって背筋を伝った。
俺を見てにやにや笑うミスターDに腹が立ったけど、悔しいことに今の俺では何も言い返せなかった。
「さて、ペルセウス。ここからはお楽しみの時間だ。今からわしの問いかけにすべて答えろ」
「はっ……!?」
思わず椅子から立ち上がろうとしたけれど、それは出来なかった。
俺の脚は既に蔦で椅子に固定されていた。
後ろを振り返り扉の方を見る。
扉の方も蔦で覆われていた。
「逃げることは叶わん。他の奴も入ってこれない。諦めるんだな」
そういってミスターDは指を鳴らした。
膝辺りまで巻き付いていた蔦が更に上へ伸び、腰あたりまで椅子に縛り付けてしまった。
俺はミスターDを睨みつけて言った。
「……何をするんです?」
「さっきも言っただろう、問いに答えろ、ペルセウス。それだけだ。怪物を倒しに行くよりはるかに簡単だろう?」
「本当にそれだけですか?」
「それだけだ。それとも拷問も欲しいのか?」
「いえっ! いいえ、遠慮します」
慌てて否定して諦めて質問に答える姿勢を取ると、ミスターDは満足そうにうなずいた。
「ではまず初めに、お前はこの訓練所が好きか?」
これには答えは一つしかない。
「はい」
「ふむ、結構」
ミスターDにとってはどうでもよさそうな質問にちょっと違和感を覚えたけれど聞くのは後回しだ。
「それじゃあ次だ。お前はアナベルの事をどう思っている?」
「アナベスです」
咄嗟に訂正をしたがそんなことはどうでもいい、というように睨まれた。
「えっと……、アナベスは頭が良くて可愛くて綺麗で強くて頼もしい、……と思います」
「恋愛面で見ると?」
何を聞いてきてるんだこの酔っ払いは!!
思わず顔が熱くなり俯いた。
けれどもミスターDは指で卓上をとんとん、と叩き答えるよう促した。
「……その、好き、だと思います」
「そうか」
自分から聞いてきたくせに興味なさそうに返事をしたミスターDに腹が立って聞き返した。
「そういうミスターDはどうなんです? ハーフ訓練所とかハーフたちの事、どう思ってるんですか?」
むすっとして聞き返す俺に、さして腹だった様子もなく考え込むしぐさをする。
「嫌いではない。だが好きというわけでもない。ただ、しっかりという事を聞く奴は好ましく思わんでもない」
ミスターDはダイエットコークを飲みながらそう言った。
そして俺を見つめ口を開いたかと思ったらとんでもない質問をしてきた。
「わしの事をどう思う?」
絶句してしまったのも無理が無いと思う。
もしこれに答えてしまったら俺の命が危ういんじゃ……。
そう考えているとミスターDがさっきの言葉に付け足した。
「素直に思ったままの事を言っていい。今答えた分だけは怒らないでいてやるから言ってみろ」
それってよく、学校の先生が「怒らないから正直に答えなさい」って言っておいて怒るやつじゃ、と思ったけど口には出さなかった。
「ジャクソン」
さっきよりも少し低めの声で、腰あたりの蔦で締め上げる様にして脅してくる。
「ああもうっ、わかりました!言います、言いますからやめてください!」
いつもよりもしつこく聞いてくるミスターDを訝しみながらも、一つひとつ思ったことを口にしていく。
「えぇと……まず腹が立ちます。近づきたくないです、酔っ払い嫌いなので。あと名前をわざと間違えたりするのとか意地悪ですね。それからこれは他の神々もそうですけど、自分の思い通りにならないからってすぐに脅して従わせようとするのはどうかと思いますよ。もう少し相手の立場も考えてください」
次々に悪口を並べ立てながらミスターDを見ると、なぜか笑っていた。
「あ、」
「なんだ?」
「それ、好きです。もっと皆の前でも笑顔を見せたらいいのに」
思わず口をついて出た言葉に自分自身でも驚きを隠せなかったが、それ以上にミスターDの方が驚いただろう。
初めてミスターDの目を見開いた表情を見た(おそらくここじゃケイロンくらいしか見たことないんじゃないかってくらいレアだと思う)。
けど、すぐに咳払いをしていつもの顔に戻ってしまった。
ほんの少しだけ、なぜか残念に思いながらミスターDが何か言うのを待った。
「まあ、こんなものだろうな」
ミスターDが指を鳴らしたかと思うと俺の腰あたりまで絡んできていた蔦や扉を覆っていたものも消えていた。
やっと自由になったから、椅子から立ち上がってみた。
ふとその時気づいたことがある。
足が痛くない。
「……あの、ミスターD?」
なんだ、とおなじみの顔で睨まれたが、未だヘルメス社製ダイエットコークの効果が切れてないのか、俺は馬鹿だなと思いながら聞いていた。
「捻挫した所、痛くないんですけど……治してくれたんですか?」
「……フン。いい加減ここでサボられるのも迷惑だからな。ついでだ」
気のせいかもしれないけど(おそらく本当に気のせいだろう)、少しだけ優しさが混じっていたような気がして、知らず笑みがこぼれる。
「ありがとうございます、ディオニュソス」
まさかミスターDにこんなに爽やかな気持ちでお礼を言う日がくるだなんて思ってもみなかったけど、嫌な気持ちになるよりかは良いだろう。
それはミスターDも同じだったようで、一瞬面食らったような顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。
用も済んだし外も訓練が終わったようで、訓練生たちがビッグハウスの前を通ってそれぞれのコテージへ向かっている。
部屋を出ようとすると声を掛けられた。
「ついでにもう一つ教えておいてやろう、ペルセウス」
振り返りミスターDを見ると、ちょっと悪そうな顔になっていた。
「わしは“獲物”は逃がさん主義だ。だからそう易々と逃げられると思うなよ」
「え?」
「いや、気にするな。もう行け」
「はぁ」
良くわからなかったけど、俺はようやく皆と一緒に訓練が出来る事の方が嬉しくてあまり気にしなかった。
「アレはおそらく意味を理解してないだろうな……。まあ、その方が落としやすいがな」
にやりと悪い笑みを浮かべて呟くディオニュソスを偶然戻ってきたケイロンが見てしまい、その後嫌な予感を的中させるのはまた別の話。
【あとがき】
はい、いつもどおりにすみません!!!!
ページを開いてくれただけの方も、最後まで読んでくださった方もありがとうございました!!!
今回はミスターDとパーシーの絡みでしたが正直もっと早く書くつもりでした。(ヘルメスの前くらいに)
で、話は途中まで進んでたにも拘らずヘルメスの方を先に仕上げてしまった、と。
通常運行ですね!^q^
さて、次で男神は一応最後になります。(一旦ね。後でまた別の神とか同じ神ぶっこむよ。)
男神全員終わったら女神の方へ移ろうと思ってます。(´ω`*)
どのカップリングも好きだけどキャラが把握し切れてなくて死ねそうです。
あ、はい。大人しく読み返します_(:3ゝ∠)_
ということでここまで読んでくださってありがとうございました!!
次はハデス……のはずです。多分。