いつまでも消えない君の 輝きを放つ7つの宝石が、彼の側へと導かれていく。
幾度となく繰り返されるその光景に、何度世界は救われてきたのだろう。世界など救うつもりはないと言い放つ、彼の詭弁をだいぶ聞き飽きてはいた。
「オレはやりたいことをやっているだけさ。正義の為とか、世界のためとか、そんなつもりはサラサラないさ」
隣人の笑顔の為にだけ、彼は動く。そこに正義や悪もなく。ただただ、その笑顔の為だけに命を削ってその身を燃やすのだ。
人の意思を。感情を。ココロを糧に、宝石は輝く。その意志を一身に受け、具現化する膨大な力は、いつしか彼の身を焼くのではないかと、懸念していた。
どうしても行くのかと、問いたことがある。自分も行けば、彼の半分を担うことも可能なのだ。かつて三人で力を分けたこともある。だが、その度に、彼は頭を振る。
「なあシャドウ。いつかオレが…」
カオスエメラルドの力に、飲み込まれてしまう日が来ても。
誰かがそれを覚えてくれていて。誰かにそれを伝えてくれて。その誰かが隣の誰かを笑顔に出来る、そんな事がずっと連なっていけるなら。
それはお前が伝えていってくれないかと。重い荷物を背負わされた。
それは永遠に続く呪いのようなものだ。君は。ずっと。永遠に。君の事を忘れずにいる呪いを僕にかけようというのか。
そんな事をするつもりはないと、断る言葉を吐いたとしても。すでに背負わされた呪いは消える事はない。
輝くような笑顔を向けて、彼は翔ぶ。光速に匹敵する凄まじいまでの速さで、空に一条の矢を放つ。
不敵に笑う彼の笑みが、それからずっと、頭から離れなかった。