はなうたモネちゃんスガナミが気仙沼のおうちに帰ってきて、ゆっくりお休みの日。
何しよっか、ってモネちゃんとスガナミがお話して、おべんと作ってピクニックすることになった。
もちろん、僕も連れててってもらうんだー。
僕はさっそくお出かけの紙袋に入れてもらって、わくわくシャークで準備を見守る。
二人でおべんと作ってるの見れるだけでも、うれしすぎて涙出そう。涙腺ないけど。
モネちゃんは気仙沼でひとりといっぴき暮らしするようになって、お料理をするときとかに鼻歌を歌うようになったんだよね。そんで、今もおべんと作りながら歌ってるんだけど、それを隣で見て聞いてるスガナミが最初ちょっと驚きつつ、超デレた顔して見れたもんじゃない。ばくはつしたほうがいい。
「おべんと、おべんとうれしいな」
って歌いながら、モネちゃんが卵焼きを焼いてるのを、カニさんウィンナー作ってるスガナミがニコニコ聞いてる。
「たまごも きれいに やけました まるくてふわふわ うれしいな」
ぽんっって焼きあがった卵焼きが、取り出されたお皿の上でぴかぴか!すごい!
スガナミがそれを見て、きれいですね、って笑うと、モネちゃんはふふん、ってちょっとじまんげでかわいい。
さすが僕のモネちゃん。
さーて、じゃあ、私はおにぎり作りますね、って、カニさんウィンナーを炒めはじめたスガナミに言って、モネちゃんがぱかってスイハンキを開けて、わー!ってとっても嬉しそうな声。
「みよ子さんちの新米、もうほんっとにツヤツヤ!」
「おぉ、ほんとだ」
コンロの前から首を伸ばしたスガナミもモネちゃんと一緒に嬉しそう。
モネちゃん、いつもみよ子さんちのお米美味しい、って言ってるもんねー!
これはやっぱり、塩むすびと、あとはお母さんの牡蠣のしぐれ煮かな、とか言いながら、モネちゃんがおしゃもじ持ってパタパタ動いてる気配に、スガナミの顔が緩んでるのが背中からでも分かる。ばくはつしろ。
そんで、ごはんにお塩をまぜたモネちゃんが、またおにぎりを作りながら、鼻歌を歌ってる。
「あんばさんにのぼったら あんばさんにのぼったら ともだちひゃくにん できるかな」
「できないでしょ」
いや、それつっこむのマジスガナミ。
そんでそれスルーして鼻歌歌いながら手を動かし続けるのもマジモネちゃん。
「ひゃくにんで たべたいな あんばさんのうえで おにぎりを」
ひゃくにんで食べたら、きっともっとおいしーよね!
って思ってたら、カニさんウインナーを火からおろしたスガナミがマジな顔でモネちゃんを見てる。
「ちょっと待って、百音さん」
鼻歌を歌ってたモネちゃんが、へ?って顔でスガナミを見上げてる。
「今の歌詞、もう一回」
言われて、モネちゃんが繰り返したら、スガナミが、そこ!って菜箸を持ったまま、右手の人差し指をあげた。
「さっき、友達100人できるかな、って言ってましたよね。そして、おにぎりを食べる流れだけど、『100人『で』』ということは、人数の合計が100人ということです」
「はい」
「だけど、友達100人ということはですよ、友達を作った主体の1人がいるはずで、合計は101人でなければならないのでは?」
スガナミがマジスガナミすぎる。
「えーっと、確かに。あ!きっと、友達つくったのはサメなんですよ!だから、友達は100人でいいんですよ」
「サメは山に登りませんが」
「サメ太朗は上りますよ?」
のぼりますよ!
「サメ次朗は登らないでしょ」
「まぁ、サメ次朗連れてくのはタイヘンかな」
「なので、さっきの歌詞は、『100人『と』食べたいな』ないしは『101人『で』食べたいな』が正しいはずです」
うむ、と力強くうなづくスガナミに、モネちゃんはおくちをむにむにさせてる。
あ、これ、スガナミがマジスガナミなときにそれがうれしいモネちゃんだ。
モネちゃんがばくはつしちゃう!スガナミめ!
モネちゃんがまたおにぎり作り始めて、「101人でたべたいな ごろがわるくてうたいにくい」って歌って、くすくす楽しそう。そんでモネちゃんが楽しそうだからスガナミもデレデレ。まったく、こんなふたり、涙出ちゃうよね。涙腺ないけど。
ふたりでお弁当箱につくったごはんをつめてても、モネちゃんがお歌を歌ってる。
「これくらいの おべんとばこに おにぎりおにぎりちょっとつめて」
「おにぎりおにぎりちょっとつめて」
あー!スガナミも歌ってる!スガナミのくせに!
って、そこまで一緒に歌ったスガナミが止まってモネちゃんの顔を見た。
モネちゃんも、スガナミが止まったのに気づいて顔を見合わせてる。
「あれ、その歌の続きなんだっけ」
「えっと、にんじんと、しいたけと、ごぼうと、ふきをいれますね」
「子供向けにしてはシブい弁当ですね」
「言われてみれば」
ふたりで笑いながらおべんとつくってて、こりゃーいいピクニックになるねー!
おでかけたのしみシャーク!