今がリベンジのとき がつん。
柔らかい感触を期待していた唇に、思わぬ衝撃。
ぱっと離れてアンジョルラスを見ると、アンジョルラスも目を丸くして自分の唇に手をやっていた。
「あっ、ご、ごめん」
「いいや、僕も、ごめん」
しどろもどろになりながら謝ると、アンジョルラスは真っ赤になりながらそう返してくる。
たぶん、歯だ。それも互いの。
それきり俯いてしまったアンジョルラスの耳まで赤い。
決まり悪くて、グランテールは思わず頭を掻いた。
「……一応練習したんだけどな……」
ぼやくと聞こえていたのか、アンジョルラスはグランテールを見返した。
「練習?」
「え? ああ、うん」
「誰と」
そう問われて、グランテールはぽかんと口を開けてしまった。アンジョルラスは眉根を寄せて、少し、いや、結構面白くない顔。
うわ、これは、うわ。
「えっと……、自分の、指……」
右手の人差し指と中指を揃えて目の前に出してみる。すると、アンジョルラスの顔が再び赤くなる。ちょっとうるんだ目が可愛い。
嫉妬してくれた?
少し聞きたい気もするが、なんとなく、今がリベンジのときな気がする。