2nd mission一人は陽動、一人は狙撃であれば。
「俺が撃つ」
だって飛んだり跳ねたりはそろそろめんどいお年頃だから。言わないが。
「最近は自分もうまくなりましたよ」
訓練ではあなたと同じか、時々少し上の成績出してますしと、相棒が害のない笑顔を向ける。ここで視界の右側の話を出すのは野暮だろう。
「…いいだろう、やってみろ」
経験は何よりの糧だ。生き延びるための。
「! ありがとうございます、Sir!」
あークソ、こんな嬉しそうな顔されたら先輩としては譲ってやるしかないじゃないか。
そんなやりとりがあったのが懐かしい。今では譲る譲らないで時間を割くのが惜しいと言う結論に至り、もっぱら公正な行為で決めている。
「せーの、さーいしょーはグー!じゃんけんぽん!」
「あいこでしょっ!」
「あいこでしょ!」
「っしゃ。俺が援護、お前が突入」
「えー。またー?」
本当にこれ公正なの、と文句を垂れながらもテキパキと準備を始める。自分も装備を揃えながら当たり前だろと返事するが、実はそうでもない。出してくるパターンが読めるのだ。毎回一度で勝ってしまうとバレるので、あいこをだしたり、時には本当に負けたりするが。
「がんばるからご褒美が欲しいなあ」
背中にひたりと張りついたわんころが急に男の声を出す。敬語はもうよせと言ったのはいつだったか。二人目の相棒はなかなかどうして甘え上手だ。
「俺の歳を考えたことがあるか?」
「加減を覚えたから大丈夫」
遠回しのノーは全く聞き取る気がないらしい。この強引さに、つい流されてしまうようになった。こっちの支度が終わるまで待てと指示すれば手伝うよと手際良く装備を揃えていく。このセーフハウスに隠された銃火器の場所もきちんと覚えているようで何よりだ。手伝う動機が、早くヤりたい、だとしても。
「どう?」
上手くなったでしょう?
飼い主の命令を忠実にこなす猟犬ではなく、ハンター自身の目をして緩やかに腰を動かす。どうして欲しいか、あなたのお願いも聞けるよ、だと。よく言う。途中からそんな余裕なくすくせに。俺も同じだが。
「足りない時はどうしてるんだ」
いつものように水を持って来させた時にふと訊いた。下世話な話だが、一応俺に合わせているらしいこいつが、それだけで収まるかと疑問になったのだ。
「あなたが満足したら俺も満足だから、特になにも」
精神は肉体を凌駕する!
とはまさにこのことか。ウソだろオイ。
「…あ、そ」
寝返りを打つフリをして視線を逸らす。ええと、これは、俺が、頑張ったほうがいいのか?
「全く、敵わん」
「なんです?」
ぼやきに返事をするなバカ。
「敬語はよせよ、相棒」