イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    末期症状「そういえば所縁くん、私のプレゼントした抱き枕ちゃんはまだ現役ですか?」
    「………………俺はお前から何かを貰った記憶がないんだけど」
    「おや、抱き枕、もう要らなくなりました?」
     名残惜しそうに首を傾げる昏見の意味不明な台詞を、もう一度咀嚼する。昏見の心中も言葉の意味も、推量しても無駄なだけだとわかっていてもつい反射で考えてしまう。あまりにも奇天烈な会話が始まってしまったからだ。
     確かに皋は少し前まで、夜眠る時に抱き枕を愛用していた。それは事実だ。ただ、昏見にそのことを話した覚えはない。そして昏見に抱き枕を貰った覚えもない。じわじわと背中を嫌な汗が伝った。この男は自分のやりたい文脈で会話を運ぶことに長けている。つまり、これから開示されるのは、皋があんまり知りたくないことなのだ。
    「皋は抱き枕派か」
    「萬燈先生はキングサイズで仰向けでバスローブでシルクのシーツっぽいですね」
     萬燈の枠外からの相槌に、昏見が道化を演じる。舞台は皋を置き去りにして、台本通りに進んでいるらしい。
    「ちょ、頼むから少し待ってくれ……」
    「どうしました所縁くん? 随分と顔色が優れませんね、大丈夫ですか?」
    「何から何まで大丈夫じゃないんだよなー! 俺の寝具事情をお前が知ってるのも、昔事務所に届いたアレがプレゼントってことも、その送り主がお前ってことも、その抱き枕をうっかり使ってた俺の迂闊さも何もかもがなー!」
     大きく息を吸ってバーカウンター突っ伏しながら皋が披露した、不細工な推理ショーに昏見は満足したらしく、にこにこと笑っている。隣の萬燈が「流石にそれは迂闊すぎて擁護できねえな……」と呟く。正論すぎてぐうの音も出ない。抱き枕欲しいなーなんて思って、事務所に届いていたプレゼントに安易に手を出すなんて、過去の自分は迂闊にも程がある。確かめるべきは、盗聴器や爆発物の有無だけではなかったらしい。
    「事務所にたまに届いてたの、まさか……」
    「所縁くんが受け取っていた総数は存じませんが、そのうち何点かは私が偽名で送ってますね! 愛が溢れちゃって!」
    「あーーー、ほんと昔の俺の馬鹿! つーかお前は何で俺が抱き枕使ってたって確信してんだよ! 毎度毎度懲りないけど怖! 今度こそ正真正銘、純粋無垢の恐怖を感じる!!」
    「そっかー、抱き枕要らなくなっちゃったかー」
     満面の笑みを浮かべる昏見は、明後日の方向に向かって叫ぶ皋の反応を見て愉しんでいることを隠そうとしない。その奔放さが、憎たらしいことこの上なかった。
    櫻井タネリ Link Message Mute
    2022/09/10 15:44:39

    末期症状

    ・皋所縁の睡眠スタイルを捏造しています
    ・昏見有貴の推し活を捏造しています
    ・萬燈夜帳をツッコミ役にしてしまっています
     2020.11.22
    #神神化身 #かみしん二次創作 #カプしん #くらゆか

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
  • CONNECT この作品とコネクトしている作品