その声を……「乾杯」
そう言ってアニマルミントの入ったモヒートを飲み干したシャイロックが、私の目の前で……
――え?
「ん、ぅ……」
突然のことに驚いて目を見開いた私の目の前には、愉しげに目を細めたシャイロックの顔。
口の中にすっきりとした味の液体が流れ込んできて、私の喉がゴクリと音を立てた。
これはまさか!と思ううちに、唇に触れていたものも離れてゆく。
「ミィ……」
最初に口から出たのは、その一言。
目の前のシャイロックの顔が、艶やかに愉しげに笑む。
「ニャニャ、ニャー!」
何するんですか!と抗議しても、口から出るのは猫の声。
やっと戻ったというのに。
いきなり口移しで飲まされるだなんて!
口移し……で
唇に残る感触に私は頬を染めた。
クスクスとシャイロックが笑いながら、その長い指で私の唇をなぞる。
そうして、耳元に顔を寄せた。
「ニャー」
吐息が耳朶を擽り、囁くように猫の鳴き声をした音が耳に注がれた。
「ミ゛……」
分かってしまう。
その声が何と言っているのか分かってしまった。
ジッと私の目を覗き込んで答えを待つシャイロックの瞳にはチラチラと艶めいた光が宿る。
「ミ…ミャー」
小さく口にした答えは、まだ猫の声。
するりと頬を撫でる掌の熱に肩が跳ねた。
手を取られ導かれる。
ここからは、誰にも秘密の2人きりの夜の始まり。