Winter Warmth 並んで座る公園のベンチ。
ふうふうと、カップのホットチョコレートを冷ますスプリングフィールドは、もこもこで派手な手袋と長すぎてぐるぐる巻きになったマフラーという完全防寒スタイルだ。
爪が紫色になるくらい冷えすぎたことがあったからと、ケンタッキーが手袋を編んでくれたらしい。
マフラーはと言えば、今年一番の冷え込みと聞いたシャルルヴィルが出掛けに巻いてくれたそうだ。
「甘くて温かくて、すごく美味しいです」
「うん。体があたたまるね」
冷えた両手で包んだカップ。
甘くて優しい味が体に染み渡る。
「寒くない?」
「大丈夫です」
答えて笑うスプリングフィールドの鼻の頭が赤くなっていて、思わずくすりと笑ってしまう。
「わあっ!?」
「ここ、赤くなってる」
マフラーで覆いきれていない鼻や頬のあたりは冷たくなっていて、私は思わず自分の手のひらを押しつけた。
「マスターの手、あたたかいですね」
ふにゃりと笑うスプリングフィールド。
不意に、どきり跳ねる心臓。
「マスターは、寒くないんですか?」
「平気だよ」
ほんとうに?と首を傾げて、スプリングフィールドは手袋をはずす。
「わっ、頬冷たいですよ!?」
「ふふ、スプリングフィールドの手、今日はあたたかいね」
伸びてきた掌はあたたかくて、いつだったかの冷えすぎていた手が嘘みたいだ。
冷えた私の頬をあたためるように、スプリングフィールドの両手が包み込む。
それは、あたたかくて、少しくすぐったくて…………ドキドキした。
「あっ」
「ん?」
どうしたの?と首を傾げる。
離れてゆく頬に触れていたぬくもり。
代わりに頬に触れたのは、柔らかな感触。
スプリングフィールドは、ぐるぐる巻きのマフラーを半ばまで解き、それを隣に座る私の首へと巻いた。
「え?」
何が起きたのだと目を瞬かせる私。
「あたたかいですか?」
と、マフラーのせいで近くなった距離で聞いてくるスプリングフィールド。
「ちょ、え、まっ……!?」
思考が完全に停止した。
顔が熱い。
いつもより近い距離に、心臓のドキドキがおさまらない。
「…………近い」
呻くように絞り出した私に、スプリングフィールドは目を瞬かせて、悪戯っぽく笑う。
その頬はいつもより少し血色が良さそうに見えた。
「でも……一緒だと、あたたかいですね」
「………………うん」
答えられたのはそれだけ。
マフラーに顔を埋め、きっと赤くなっているだろう頬を隠す。
手袋をはずしたままのスプリングフィールドの手が、そっと私の手を包み込んだ。
「マスターと……」
近すぎて耳元で声がする。
ドキドキが、熱が、繋いだ手から伝わってしまったらどうしよう…………と思う私に、スプリングフィールドは嬉しそうに言った。
「あなたと、あたたかさを分け合えられて……嬉しいです」
うん。私も……あなたがそんなふうに笑ってるのが嬉しいよ。
そう伝えようと顔を上げた私の鼻先に、白い欠片が空から舞い落ちてきた。
「え?」
「あっ、雪です!」
ちらちらと宙を舞う雪。
空を見上げて感嘆を漏らすスプリングフィールドの隣で、私も顔を上げた。
「きれい、だね」
「はい!」
静かに舞う白い結晶
キレイな冬の花弁に覚えたのは少しの寂しさ
繋いだ手から伝わるのは優しいぬくもり
今だけは……と縋るように力を込めた