自分が役目を終えたら次は15代目にあたる当主が同じ運命に従わなければならないのだ。
(※注)これは当家の個人的なしきたりであり、もちろん、ゲーム本編ではそんなシステムやしきたりは一切ありません。全て相手は自由に選べます。
(当主)「 ……不思議なものだな 」
そして、
いよいよ天界への扉が開かれた。
ガゴンッ、
「 ..キイィィィィーー……。」
「 ……、」
(当主)
「 それじゃあ 行ってくる。」
(全員頭を下げる)
「 我が一族に繁栄を。」
(当主)「 後のこと、頼んだぞ 」
「バタンッ!」
……………………………………。
…。
(当主)「 ………。」
風の切る音としばらく金色の光の眩しさに目を閉じていたが、
やがて光は弱まり、まぶたを開けた。
(当主)「 ── ─…、ここはもう天界なのか…?」
「!」
足元が金色の霧に包まれてはいるが ちゃんと地面はあるようだ。
道もないその周辺を、ゆっくり辺りを見渡すように
歩いていたが
やがて 天から呼びかける声が
自分に向けて降ってきた。
“ 当主様 ”
(当主)「 …? コーちんなのか 」
霧の向こう…
人影がゆっくりと現れる。
(鈴)
キリィン…ッ。
(コーちん)「 当主様、心の準備はもう出来てる?」
見れば交神の儀を取り仕切る冠婚葬祭装束に身を包んだコーちんの姿が目の前に現れた。
当主様は穏やかにも落ち着いた様子で、
(当主)
「 あぁ、天竺姉妹様をお迎えしたい。コーちん、よろしく頼むよ 」
(コーちん)「 うん、それじゃあ 始めるね 」
(当主)「 … ── ──。」
キリィン…ッ。
…… ─────────────── 。
鈴の音が何かをこちらへ誘導するように
コーちんは舞のリズムを刻む。
すると、
神々しい光の魂が強い輝きを放ち、
天からゆっくりと二人の前に
降りてきた。
(コーちん)「 【天竺姉妹】様のご降臨です 」
シャン。
……ッ!!
「 キィィン!」
(眩しい光)
(当主)「 …!! ・・────────────。」
再びゆっくりと 目を開ける。
・・そして、
「チ..、チュ…ッ」
(足元に使いの白ネズミ達)
クリンとしたその愛くるしい瞳が当主をじっと見つめ、少女たちはやがて口を開いた。
(天竺姉妹・長女)
「 一族に子孫の繁栄をもたらす者よ 」
(次女)「 増えよ、」
(末っ子)「 産めよ 」
(三姉妹)「 家中に満ちよ!」
神鼠の化身だけあって
彼女達らしい縁起モノの祝福の言葉だった。
すると、その内の末の妹が…
(末っ子)
「チューしま、チュ── 。」
(当主)「 ?! ハハハハ…。(笑) 」
(チィチィ。と、その様子に首を傾げる白鼠達)
神といえど
人の子らのような幼い姿をし、
まるで愛らしい発言に
当主様もこれにはとっさに驚きながら照れたのか、
頬をぽりぽりしていた。
(コーちん)
「 あっ、天竺姉妹様はほら、鼠だからね 」
(末っ子)「 チュ…?」
(長女)「 そなたが今度の交神の儀の相手か?」
(次女)「 前に来た当主も、おまえのように気真面目なウブでかわいかったぞ 」
恐らく五代目の事だろう。
(当主)「 そうでしたか (笑)。自分なんかが相手につとまるかどうか不安ですが、お目にかかれて光栄です。」
「 天竺姉妹様、今再び一族の繁栄の為にそのお力、交神の儀をどうかよろしくお願い致します。」
(天竺姉妹)
「 そなたの願い、聞き入れた。」
(長女)「 …前へ 」
(コーちん)「 当主様、手を 」
両手を天竺姉妹様の前に差し出すと
小さな三人の手が優しく当主の手の平をギュッと掴んだ、
その時だった。
(当主)「!」
──────────…!!
体の中から何かが抜け出るような感覚と不思議な七色の光を見た。
その光は天竺姉妹様も同じように
自分の体から発し、
声が 頭の中に響いてくる。
“ 神と交わる子よ、 ”
“ 一族当家の光の希望となれ・・。 ”
(鈴)
シャンッ…。
(それぞれの光の遺伝子が一つに交わる)
(長女)「 一族の当主よ、」
(次女)「 来世でもまた そなたのような誠実な男と 」
(末っ子)「 再び結ばれたく思うぞ 」
..キィィンッ‼︎
(天界へ昇ってゆく一つの魂)
(赤子の泣き声)「 ーー!……!!」
(当主)「!」
神の祝福の光が降る中、若宮は自分の子供の顔を魂の中で垣間見た。
そして、
(コーちん)
「 当主様おめでとう!! 元気で立派な男の子だよ!」
(赤子)「 ーー!───…‼︎ 」
その元気な
我が子の姿を見てホッとしたのは、
天竺姉妹様が大事そうに抱いていた。
(当主)
「 … ────。」
(赤子)「 ───!!」
(当主)「 すぐにまた会える。今は..母さん達の側でゆっくりおやすみ。」
優しく頬に 手を触れてやると
最初は天に上げる勢いで泣いていたが、
次第に
父親の手の体温に安心感を覚えた我が子は
火が消えた様に泣き止んだ。
ピタッ
(赤子)「 …?」
「 …う。?」
(天竺姉妹)
「 そなたの父であるぞ。 」
姉妹達が顔を覗かせるとやはり安心するのか
さっきよりも赤子の表情がどこか嬉しそうだった。そんな自分の息子が愛しくて
(微笑む)
(当主)「 ──..。」
こうして、1132年10月。
後の第11代目時期当主【陸】様が誕生したのである。
父親である若宮が長年経験を積んで培った素質を十分に受け継いだ新生児であった。
───────────。
そして、
地上界への光の扉が再び開く時がきた。
(コーちん)
「 当主様、そろそろ時間がきたよ 」
(当主)「 …。」
一目会えた息子に安心し、静かに背を向けた時だった。
(天竺姉妹)「 …そなたに幸あれ。」
(当主)「 ありがとうございます。【陸】を…どうかよろしくお願いします 」
………………。
「 ──…スゥ… 」
ヒュンッ、──────…。
(交神の儀終了)
みんなが心を一つに修練場で祈る中、
無事に当主様が交神の儀から戻られてきて
明日からいつもの日常がまた戻ってゆくのだった。
(弓矢)「 …カタン。」(手に取る)
(戦場の地へ急ぐ当主達)
──11月──
あれから当主様は、
少しだけ 前の様子とは変わり…
交神の儀を終えてからいつも以上に討伐に、戦いに明け暮れていた。
(当主)「 ────ッ!!」
子供のために自分が今しかできない事、
何を残してやれるのか
時は一刻と迫ってきていた。
(※不動明の併せにより【月寒お涼】を撃破)
※敵単体、火と土属性の大ダメージ。
「 ────────────…‼︎‼︎‼︎ 」
(お涼)「 ……コレが 人同士の温もり…
「 あぁ・・ 溶けてしまいそう…。」
(当主)「 ……、」
(お涼)
「 ありがとう 優しい瞳の若者よ…。」
「… ───────。」
(月寒お涼解放)
(コーちん)「 やったー!!ねっ、当主様 見てみて!ご祝儀袋に奉納点がこんなに!……当主様? 」
(季子)
「 ?どこかケガでも…まさか、体調でも… 」
(当主)「 いや、そうじゃないんだ。……、」
(コーちん)「 当主さま? 」
おもむろに自分の手の平を見つめていた時だった。
(亜乱)
「 いででででっ!七瀬っ…、耳引っ張んなって!…うわっ!?刀!! 」
(七瀬)「 バカッ あんた、腕がひどい凍傷起こしてるじゃない。なんでもっとすぐに回復しなかったのよ 腕、ちょっと貸しなさい。」(※円子使用)
【円子】… 味方単体 特大回復。
(七瀬)
「 …… 人間の体だって一度きりなのよ。腕が使いものにならなくなったらあたし達、二度と戦えなくなるんだから・・。」
(亜乱)「 わかってるよ。けど、ほんとは そんなヒマ無かったんだって 向こうは攻撃回数多いし 反撃に隙を作るのにも苦労したんだぞ。」
(七瀬)「 言い訳無用。当主様がどれだけ無茶をフォローしたと思ってんのよこの新米。」
(鼻デコピン)
ピシッ。
(亜乱)
「 あでっ…!…すみません……。」
(七瀬)「 さっきの油断も 最初の攻撃にミスが目立ってたんだから ちゃんと属性を踏まえた上で敵の動きを先読みしなさい、戦法の提案がいつも甘いのよ 」
(亜乱)「 ……例えば?」
(七瀬)「 いい? あの場合は…… 」
(落ちていた枝で地面に図形を描いて説明しだす)
(七瀬)「 不動明を覚えていない場合、まずは 水葬から入ってフォローで火祭り。それから現段階で言えば威力優先で行くと、赤地獄かまたは最初の花乱火の併せに入るのが本当。」
「 同じ威力でも【印虎】の属性は水と風なんだから炎と水属性の威力に比べたら随分とおとるのよ。…本当は【富士山】か【降流玉】(炎属性最強)を会得出来てたらもっと違ってくるんだけど 」
(七瀬)「 今の私達にはこれが精一杯。」
(亜乱)
「 ……そう言えばまだ、その戦法で組むのは思いつかなかったな。確かに、考えも無しに印虎姫は無駄に効いてなかった・・・
..ハァ...、まだ全然ダメだな俺も 」
(七瀬)
「 でも亜乱、さっきもダメージで知ったと思うけど炎を含むあの併せは乱用しても凍結技であのお涼って女神は攻撃を妨害してくるからそう何度も成功するって思わないで。」
「 最悪の事態を免れるために最初は地道に回避率を上げていくか敵の属性を弱体化させるのがホントは優先なんだからそこだけ気を付けて次はちゃんと戦法うつのよ 」
(亜乱)「よしっ! 次こそは ……って、お涼様天界に戻っちゃったんだっけ? ──…。」
(当主)「 亜乱、七瀬。二人とも怪我は大丈夫か? 」
(七瀬)「 あ、はい。処置が早くに間に合ったので大事には至りません。」
(亜乱)
「 すみません当主様、色々とミスをしてしまって 」
(当主)「 気にしなくていい、それが初陣だ。
いきなりの実戦から完璧を求めたって まずは失敗から学ばなければ誰だって成長なんか出来ない 」
「 それに、お前の今までの頑張りは期待できる成果だって徐々に出してきてるじゃないか 」
そう、これまで歴代の薙刀士の中でも敵への会心率を最も多く出せていたのが亜乱だった。
そして七瀬は攻撃力が季子を抜いて二人とも高かった。
(季子)「 ホント、びっくりなくらい二人とも急成長してるんだから。…けど、当主様は気付いてるんでしょ?ここ最近の鬼達の異変に 」
(亜乱)
「 えっ 異変、…って 」
(当主)
「 ─── .. 気付いてたんだな。異常なくらい敵の力の強さが増している。大将となれば俺の矢でも一撃で倒せなくなってきた。この状況、何とかしないと… 」
(???)
「 祭具を取り戻せば、地震、火事疫病、天変地異を恐れる人々は、古来より 祭具に秘められた特別な神の力の恩恵にすがろうと瞬く間に、地上界には以前のような季節の祭りが解放された。
それにより 人間達の信仰心を一気に高めた神々は次々と力を取り戻し、同時にあの世の冥界の鬼達までもが力の活気を取り戻すこのシステム、祭具を作った男神もよくもまぁ、考えたもんだよ。」
(当主)「 黄川人、」
(黄川人)
「 少しやり辛くなってきてると思ってね、今回そのカラクリを上手く乗り越えられる手助けを助言してあげようと思ってさ 」
「 当主様はもう気付いてるんだろ?この辺の鬼はもちろんの事、天界の神達の力までもが今までと少しずつ戦法が変わってきたことに 」
(当主) (頷く)「 …、俺達への異常な戦いを求める一方で、どれも夜鳥子とその男神とやらが話に絡んでくる。」
「 黄川人、その男神とは一体何者なんだ? 」
(黄川人)「 ……。」
(黄川人)「 ──…400年前、天界に一風変わった改革を起こそうとした神さ。君たちが晴明から奪い返そうとしている【五つの祭具】を作り出し、地上界で祭りを開かせ人々の信仰心の増大によって天界と冥界の気の流れを良くしようとしたんだ。」
「 だが、事もあろうにそれを一つの世界に統一すると言いだしてね、神や人も鬼も誰もが自由に行き来ができる様に…って、夢みたいな話だろ?」
(黄川人)
「 天界の奴らも元は人間が神様になった連中も少なくはない。現世に未練を残した者や、復帰を乞い願う者達が個人的な転生を望み彼の話にみんな耳を傾けたんだ。」
「 けど、その男神は悲劇の引き金となったある女を愛した。」
(黄川人)
「 それが夜鳥子さん。彼女は冥界の鬼と人との間に生きる半鬼半人であるが故に共存も願っていた」
「 だから彼は 祭具の他にも彼女との共存の為に特別なある物を作ってしまったんだ。」
(黄川人)「 ほら、よぉく思い出してごらん。何気に君らも横で目にしてた彼がいつも手にしていたモノさ 」
(当主)「 …!! まさか…!? 」
(黄川人)
「 そう、あの奇妙な鬼の面さ。名前は【鬼頭】、あれは元々 夜鳥子さんのものだ。…問題は今、それを晴明が持ってるってこと。」
「 奴ら天界の連中にとっても、その経緯こそ口を揃えて言いたがらない 過去に犯した肝心な理由がね 」
(黄川人)
「 その証拠に、一部の天界は夜鳥子さんの復活を望まない連中、一方で晴明の境遇に同情(肩入れ)する連中、または君たち一族に協力を惜しまない勢力とで、」
「 この後に及んで、まだ何も知らない当主様(第三者)達を上手く介入させた事であの二人の動きを監視し、事態をどう動こうかみんな様子を伺ってるのさ。」
(黄川人)
「 みんなといっても、殆どが一人の思惑で百も承知で天界の奴らもいっぱい食わされてるんだけど 」
「 何も黙ってるだけじゃ、…君たちがあまりに報われない、そう思ったからね。」
(コーちん)「 …??どういうこと…. それって、昼子様は… あっしたちを そんな風に・・・違うよね!当主さまっ …… 」
「当主.. さま・・? 」
(当主)
「 ……、俺達は どのみち晴明を倒すしか誰を信用して動こうかなんて問題じゃない。黄川人、天界の一部もまた 双方利害の睨み合いから組織に亀裂を走らせている、
「 接触したのには、それを止める理由づけの一つとして太照天昼子様も一枚かんでいるってお前は言いたいんじゃないのか?」
(黄川人)「 やっぱり、当主様となると感が鋭いね、少なくともあの姉さんの考えだから否定は出来ないんだ、色々とあの人も食えない神様でね、困ったもんだよ全く。」
「 だけどあんな人でも君達のことは本気で色々と何かをしようとしてくれてるのは確かだから信用のおけない人でも変な説得だけど味方なんだ。」
(黄川人)「 その証拠に、姉さんの計らいで君たち一族に積極的に協力しようと奉納点も少し多めに稼がせてくれる神々も地上に降りてきている、それと 空白を埋めてくれるような有力な話も君たちが望めば何でも話そうという神もね。」
「 だから そういう神々を訪ねるといい、その為の奉納の腕試しだ。
…けど、注意しなきゃならないのは中には本気で晴明側に肩入れをして君たちの行く手を阻む連中もいるってこと。」
(黄川人)
「 話を聞くどころじゃなく奴等 本腰を入れてかかって来るだろうから、くれぐれも交神の儀は中途半端なレベルで無駄な素質を増やさないよう、よーく考えるんだね。」
(当主)「 ……。」
「 ( やはりこれがもう限界だったのか… ) 」
(季子)「 当主様、いったん体制を立て直した方が… 黄川人の話だとこのまま奥へ行くまでは死にに行くようなものです」
(当主)「 ──・・、」
だがそれだといつまでたっても高い奉納点は得られない。
一族の皆にとって将来の命綱となる子孫は奉納点が少ないままでは素質にも影響がでるのと
長く生きられる生存率も極めて低くなるのだ。
(当主)
「 ( それでも、季子の言う事だって最もだ。危険を承知で今突き進むのはそれこそ無謀すぎる… ) 」
「 …………。」
(亜乱)「 当主様… 」
珍しく何かの決断に迷う当主様の表情を見て心境を察した七瀬が口を開いた。
(七瀬)「 ───、時の炎が残っている内はまだ十分に奉納点を得られる見込みもあります。たとえ一ヶ月延長したとしても、神が待ち構えている奥の社さえ戦闘を避ければ鬼だけならばまだ互角に戦えます 」
(亜乱)「 なんか天からの変なスロット2倍3倍ボーナスも味方についてますしね。そういえばさ黄川人、このスロット、もちっと当たり率を上げてくれよ?戦いが全然、楽にならないぞ。」
(※プレイヤーにしか分からなくてスミマセン)
(黄川人)「 ..って、おいおいオイ 」
(当主)
「 ── ─..、みんな助かる。季子もう少しだけすまないが協力してくれないか 」
(季子)「 ……、それで無茶したら私が止めますからね 」
いつもだったらその場で素早く帰還命令を出す当主様が珍しく奉納点にこだわっていたのが心配で気に掛かった。
(当主)「 あと、もう少しで奉納点も三万を超えられる。次の交神の儀はお前のおてんばな素質もこれから必要になってくるからな 」
(季子)「 え..? 」
(当主)「 もう少しだけ辛抱してくれ 」