(陸)「!」
ドクン…ッ。
(ハッとする当主)
(迫り来る鬼頭)
「 …、………、、 」
(当主)「 !、よせっ 鬼頭!!お前の相手はこっちだ!!」
もはや 術で仕掛けても鬼頭は目もくれず、
この時
陸の身に起きた、あの時の悪夢が
当主の頭をよぎった。
(鬼頭)
(爪を光らす)「 ……、」
(陸)「 あ. . っ 」
(万里)
「 駄目 、陸っ逃げて!!」
(コーちん)「!危ないっ!! 」
(亜乱)「 やめろ!鬼頭っ!!!」
(鬼頭)
「 烈鬼爪!!」
ゴォッ!!!
(両爪)
(陸)「 ..ッ ! ? 、うわぁぁぁぁぁぁ──────── っっっ!!!」
死を覚悟した時だった。
(弓) 「ガシャァン…ッ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
(陸)「!? 」
ザシュッ…!!
(当主)「 ──────────── … 。」
(陸)「 ! !? 」
ギュ..ッ。
(当主)「 ……ッ! 」
(コーちん)「 当…っ!」
(陸)「 ーー父さんっ!!! 」
(二人)「 当主様ぁっ!!」
!!…ッ 。
(陸)
「 ーーーー・ ・ 。…ぁっ...... 」
自分でない誰かの大きな背中が、
全ての痛みを引き受けるかのように決して傷付けさせないと、
父さんの腕が僕の体を強く抱きしめてくれていた。
「 ..……….….…、陸・・ 怪我は…… … 」
(当主)
「 …。どこも怪我は負ってないな..?」
・・なのに
意識がもうろうとする中でも父さんは、
僕の体の具合を…
(陸)「 っ!父さん!! 父さん、しっかりして!!ーーーーーー…ッ!うあぁぁっ!! 」
(当主)
「… 気を乱すな…!!敵はまだすぐ側にいるんだぞ!? 」
父の言葉にハッと冷静になる。
(陸)「 鬼頭…。」
「 ( そうだ.. 敵はまだ…… ) 」
ガシャッ。
(鬼頭)
「 死二損ナイガ…。」
(当主)「 決して弓を放すな しっかり持つんだ。」
背中の出血がひどいのにも尚、
ひとつも心を乱さず弓を持ち直す当主の姿は
立派な武人の姿だった。
「 殺ス。」
(鬼頭)
「 次ハ首ト胴体ガ、オワリダ。」
(当主)「 ……、陸、こっちへ 」
(陸)「 父さん.. 」
────…、
(当主)「 …お前の初陣でこんなに早く切り札を使う事になるとは思わなかった。……【※奥義の併せ】覚えているな? 」
(陸)「 ..!」
「….うん.. 」
※奥義の併せとは、同職業の実子に継承した技を同じ奥義を使える親子、孫と合わせて何十倍ものダメージを生み出す一族の究極の切り札である。
(当主)「 次の一手で決める。あいつがどんなバケモノであろうとまやかしの鬼でない限り奥義も通じないはずはない。」
(陸)「 ─── だけど、父上、さっきも万里姉ちゃんの奥義はあいつには通用しなかった…。」
” 亜乱兄ちゃんだって、あんな風になってまで戦ったのにそれでも…… ”
(陸)「 ……、」
「 ( 討てるのだろうか… 本当にあいつを……。) 」
(当主)
「 討たなきゃならない。これが本当に最後の切り札だ、…これで決められなかったら全員死を覚悟しろ 」
(万里・亜乱)「 …………、」
(鬼頭)
「 トドメダ。」
ザワッ…。
(当主)「 ……………。」
(陸)「!」
次の瞬間、凄まじい闘気を纏い
父さんの視線は、真っ直ぐ鬼頭の心臓に向けられ、
静かに構えた矢の切っ先から
これまで見たこともない研ぎ澄まされた
奥義の力が発動していた。
(陸)「 ( これが併せの力…。) 」
(襲い掛かる鬼頭)
「!!」
(亜乱)「 させるかっ!!」
ガギンッ !!
(薙刀と拳と鬼頭の爪)
ミシッ..
(万里)「くっ…!」
(鬼頭の反撃から死守する二人)
(天井)
ビシビシ…、ビシィッ!!
「ゴゴゴゴゴ…。」(地響き)
(陸)「 ( 父さん… ) 」
(亜乱)「 ッ!!当主様っ、陸!お願いします!! 」
(万里)「 もうあたしたちは奥義が撃てないの!!」
(コーちん)「 お願い当主様っ!!」
(弓を引く腕に力が入る)
グッ
(陸)「 ..ッ!」
(当主)
「 いいな 、… 陸。」
“ 今 分かったような気がした。”
" 命を預かる。”
自分以外の大切な、誰かを思いやる
守りたい存在のため、
犠牲という手段は安易に持つものではなく、
向けられる思いを、一心に背負った時、
父さんが命をかけて守る弓引きを。
(当主)「 陸、決めるぞ! しっかりその目に焼きつけろ!!」
(陸)「 ーーー…!!!」
(弓矢)
ギリ…ッ!
“ 僕はいま、父さんと同じ位置に初めて立てたような気がした。”
(万里)「 亜乱っ!!」
バッ!(離れる)
(鬼頭)「“ 鬼哭吃哮 ”!!」
(当主)「 何度も同じ手を食うかっ!」
(陸・当主)
「奥義ッ!!【 翡翠※三水弓】!!!」
(※水属性の貫通大ダメージを三連続+併せ特大ダメージ追加)
(陸)「 ーーッ! ッ.. !! 」(二連矢)
ドシュッ!!
(鬼頭)「ガッ…!?」
ギリィィィーーー… ッ ・・・
(当主)「!!!」
バシュッ!!
ヒュンッ!!
「ーーー…ドズンッ!!」(会心の最後の一撃)
(風穴矢) …ボッ!
(鬼頭)「!?」
「ゴハァッ!!」(血)
(陸)「!!」
(コーちん)「 矢がっ…心臓貫いてる!!」
(鬼頭)「ウグッ…! ガハッ!! ウ…ッ!!グアァァァァァァァァァァアーーーーーーーッ !!!」
(当主)
「 …ハァ…ハァ……、ハァ.. …ッ! ハァ…。」
(万里)「 当主様….。」
(亜乱)「鬼頭は..っ!?」
合わせて9000以上のダメージを繰り出した。
ズズゥン…ッ!!
(鬼頭)
「…………。」
ビクン..ビクンッ…。
鬼頭を討ち取った。
(陸)「 ーー…、倒…せた…? 」
「 と.. 、父さん…… 」
(当主)
(静かに弓を下ろす)「 ーー…。」
(亜乱・万里)「 ………、」
(コーちん)「 あっしたち当主様たちのおかげで助かったみたい… 」
(陸)
「 ーーー…、 … 」
(目に涙がこみ上げてくる)
(当主)「…….よく 頑張ったな、陸。もうお前も立派な弓使いだ、これで俺も安心できる…。」
(陸)「 父上…? ……?? 」
(二人)「 ーー、」
亜乱も万里も互いに安堵の微笑みを交わすが…
(万里)「 、… …ごめんね… 陸…。」
(亜乱)「 悪い。俺も.. 、もう…… ………… 」
… ドサッ!
ドサッ!!
(陸)「!? お兄ちゃ…っ万里姉…っ!?…父っ!」
(弓)
ーーカシャァァンッ… ! ……… …。
(地面に落ちる)
(当主)「 ーーーーーー…。」
ド…ッ!
「 …………。」
(陸・コーちん)「!!?」
三人ともすでに体力の限界を超え、ひどいダメージに伴い立ち上がれる力も無く意識を失った。
(コーちん)「 当主様っ!当主様っっ!?…まさか…そんなっ… 」
(陸)「 コーちん…? !!父上っ!亜乱兄ちゃん!万里お姉ちゃんっ!?みんな起きてよ!!」
「 父さんっっ! 」
(陸)「 う…っ!」
ギュッ. .。