(夜鳥子)「 ……。」
(晴明) “ ────…。”
(衝撃の一言)
(夜鳥子)
…!? 貴様っ!今なんとほざいた!?
(頭痛が襲う)
(夜鳥子)「 …ッ 」
(当主)
「 それと 夜鳥子、どんなに今 昔の罪を償うにしてもお前は “ 道具 ” なんかじゃない。みんなもそのつもりで接しているのに二度と自分をそんな風に言うな、分かったな?」
(夜鳥子)「 …….、あぁ…。」
──────────…。
銀兵様の亡骸を戦地で埋葬し、当家へ帰還してから その日、当主様は何も言わず自分の部屋へ入られてしまった。
しばらく一人にさせてくれと…
(襖)
スッ…。
(心配する他のメンバー達)
「 ──────…。」
──当主の部屋──
カタン…。
専属の弓矢と防具を外し、
ふと部屋に飾られている歴代先祖達の名前を見つめる。
(当主)「 ……。」
銀兵を最後まで屋敷に連れて帰すことが出来ず当主として責任を感じていたのだ。
その気掛かりが・・
カサッ。
(当主)「 …? 誰かいるのか?」
返事がない。
…が、
「 ..クシュン…ッ!」
(当主)「 ? …、 」
(掛け軸)
パサ…ッ
(???) ビク!
(当主)「 ─── ──… 」
(当主)「七瀬、」
(七瀬)「??」
きょとんと、
丸い大きな目がじっと見つめてくる。
それも 当主部屋の床框に掛けてある立派な掛け軸の後ろ。
昔、何らかの理由で大工が書物を置けるようにと目立たない空間を 掛け軸の後ろに作っていたのが
子供らには興味津が抑えられない
隠れ場だったようだ。
(当主)
「 …七瀬、ほら 」
(七瀬)「 ───… 、」
素直に下ろされながらも、見つけて貰えたのが
とても嬉しそうだった。
(七瀬)
「とーしゅさま みぃーつけた!驚かせてあげようとおもったの。」
(当主) (笑う)「 ただいま。…? 変なかくれんぼだな、いつの間に潜り込んだんだ? 」
(七瀬)「 エヘヘへ 」
(当主)「 ……。」
屈託のない笑顔の七瀬は父親の顔を知らないまま
銀兵と死別してしまった。
出陣する前、
この討伐の機を最後に
銀兵さんは、自身の死期がすでに近いことも分かっていた。
その上で、
「 ───..。」
父親の代から戦地を共にしてきた
武比古や伊吹の後に続き、
彼もまた、人一倍責任感が強く
戦いに生きる人でもあった。
それが最期の本望だという故人の遺志を真撃に受け止め最終的に決断を下したのである。
“ 銀兵さんっ‼︎ ”
「 “ ……………………。どうなってる? …晴…、明は… 。” 」
(当主)「 ……、」
晴明は…
(銀兵)
「 “ ……そうか・・・” 」
最後に追い詰めたすんで祭具奪還しか叶わなかったか。
それでも、
“ 死にものぐるいで無茶だってするだろが… ”
「 ※ 絶対に勝てっこない奴からは、
格好つけずに逃げろよ。」
…もし、お前らがそんなんで死んだんじゃ、
あの世で嘆いたって、悔いても食い切れない。
(当主)
「 ……ッ.. 俺達は……… その無茶を 活路をひらいてくれた 戦いと引き換えに… 銀兵さんを… 」
(銀兵)「 …俺は 最初から自分の終わりを見据えた覚悟でここに来た。…だから、そんな事で気に病むな、最後には討って出るべきところでお前たちが祭具を奪還したんだからこれでいい。」
「 成すべき 目の前の事を確実に潰せ。…その為にも・・」
(銀兵)「※ 一つしか無い命、賭けどき 見誤んじゃねぇぞ。」 (※ゲーム本作遺言)
(当主)
「 …?、・・!! …銀兵さん……!?」
“ 銀兵さんっ‼︎‼︎ ”
──────────・・ 、
(当主)
「 ……、七瀬… すまない。 銀兵をお前の元に連れて帰すことが出来なかった… 」
「 許してくれ..。」
──── ..、
(七瀬)「 ? ・・ん、」
ギュッ。
(当主)「 ……、」
交神の義の最後に
本音を明かした銀兵さんの想い…
“ 自分の命より大事な・・ ”
…たとえ親知らずな境遇にあっても、
“ 流れている剣士の血は、短命の宿命であろうと逆境に折れない芯の強さがあの子には備わっている。”
晴明であっても どんなに覆すことの出来ない血筋の強さ
(銀兵)
最期にそれを子供に残すことが出来たんだ。
これ以上の悔いも、
寿命を迎えていく命を 未練惜しいだなんて気持ちは無い。
“ 俺はそれを誇りだと思っている ”
「七瀬。」
(銀兵)
娘に付けた名前だ。
… あの人らしい最期の言葉だった。
(七瀬)
「 とうさまー。」
スッ..。
(当主)「 …?」
沈んだ顔に小さな両手が触れる。
七瀬は何故か若宮を父と呼ぶ
── ──..コトン。
(当主)「……、」
その懐から落ちたのは.. 透き通った紫色に輝く【※七光の御玉】だった。
(※親神の力を借りる事ができ生まれた子供は必ず自分の親から授けられる)
(七瀬)「 ここにいる 」
(当主)「 ん?」
(七瀬)「 ほら、ななせのかおみてわらってる 」
(当主)「 ─ ──…、」
不思議に玉を覗きこむ
小さな七瀬の目には今、母神の元へ逝った銀兵の魂が穏やかに微笑んで見えたのかもしれない。
もちろん当主には見えなかったが…
見えなくても本当にそう思えたのだ。
(当主)
「 . .きっとそうだ その玉、ずっと無くさず大事に持ってるんだぞ。」
(七瀬)「 うんっ 」
頭を撫でられたとき、当主様にも懐から見えた七光の御玉が優しく光を放っていた。
そんな若宮も ひとりの父親になる日を
もうすぐ迎える。
それは、
次の世代の新たな星の誕生の始まりだった。
───….。(流れ星)
───あれから半年後…。
当家の先代の頃の戦友達も光輝と麟子を最後に
一つの世代が終わりを迎えた。
まだ新当主に就任した頃の若宮とは兄のように慕っていた万里や あのおてんばな季子も
見違える程の武人になり、
さらに…
ガサッ!
(当主の三連矢が次々と襲う)
ヒュッ!ヒュンッ!!
..トスッ!
「タン! 」(三本目)
キリ…ッ…………・・・。
(鬼)
「ゲヒャヒャヒャヒャッ!グヒッ。」
バシュッ‼︎ (矢)
…ガザッ!
ひらりと攻撃をかわす鬼だが、
(当主)
(ワザとある方向へ逃す)
視線を向けた先に
気配を消した人影が鬼の隙を狙い
切り込む態勢に構えていた。
(当主)「 ……。」
(鬼)
「ギギッ 」
当主はその攻撃範囲へ追い込み
次の追撃矢が前方の木に刺さった時だった。
(背後)
バサァッ!!
(鬼)「!?」
(???)「 逃すか 」
ヒュパパッ!─ ─ ─ …!!(手足の切断)
(鬼)
「 ニギッィィ?!!」
(そしてトドメの胴体への一閃)
ブォン・・ッ
───────────!!
「ザシュゥ..ッ!!」
(鬼)「ゲヒャァァァァ─ ─ ─ ─ッ‼︎‼︎」
(刀)
ヒュンッ! …………、
「キン。」
(七瀬)「 ……。」
七瀬の腕立つ剣さばきは、銀兵と正に瓜二つなサラブレッド女剣士として成長していたのだ。
「 当主様、お怪我はありませんか? 」
(当主)「 七瀬、あまり無理して前列に突っ込まなくていい バテるぞ。」
(コーちん)
「 もう すっかり立派な剣士になっちゃったよね 当主様 」
(当主)「 そうだな、… 」
“ ちょっと前まで あんなに幼かったのが・・ ”
(コーちん)「当主様?」
(当主)「 ……、」
「(その七瀬を連れてから、日に戦う敵の襲撃の数が明らかに…) 」
“ 一ヶ月前とは違う。”
(七瀬)「 立派な人だったと、当主様から聞いた父を思う度、これも剣士の血でしょうか。言葉に秘めたる闘士の威厳から何故だか晴明への怒りに似たような気持ち、」
(七瀬)
「 ..きっと、これが、親子の血だと言える証なんでしょうね。」
(当主)「 ...、あの二人も 小さい頃から変わらず今も、お前とほんとはよく似ている。」
(七瀬)「 ……。」
(二人を見る)
当主様にとって季子と万里は
共に妹のような存在で父親の影響を受け、
一緒に強くなってきた仲間だった。
(体術)
(万里)「…はあぁぁっ!! 」
ズダンッ!!
(季子)「 …!そこっ!!」
(槍の乱れ打ち)
「 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─‼︎‼︎‼︎」
ズシュ…。
(鬼)「 ─ ─ ..!ギッ..!! 」
(炎)
「 ボウッ!」
【化け猫大将】が仲間を呼んだ。
(猫又、白面が加勢)
(当主)「 ※火祭りっ 」
【※火祭り】
(味方全体 火の威力を上昇)
(当主)「 万里、万が一 次の【花乱火】の戦法を優先しろ。」
「 あいつは逃すわけにはいかない 」
(万里)
「 分かりました。」
(季子)「 ※赤地獄!!」
【※赤地獄】
(敵全体 火属性と水属性の大ダメージ)
ドドドドッ! ……ゴワッ‼︎‼︎‼︎
(炎の雨)
(化け猫大将)「!!」
(万里)「 ※花乱火っ‼︎ 」
(※敵前列 単体 火属性の大ダメージ)
(当主)「!」
ギュンッ!!
(弓矢)
…ズパンッ!!
敵の大将の首を討ち取った。
……!
(万里)「 こいつら当主様ばっか攻撃狙ってくるんだから、でも あたしの蹴りが黙ってないわよ 」
(季子)
「ハッ! ─────.. これで全部? 次っ、いらっしゃい! あたしの槍さばきだって隙なんて突かせないわよ、鬼ども 」
(コーちん)「 ねっ、二人ともさすがだよね!あっしもあんな風に戦えたら 」
(当主)「 ……。」
(苦笑い)
一族が女性中心になると皆とにかくパワフルに動く。
…ガサッ!
(七瀬)「!?」
【赤べこ大将】
(背後から襲撃)
「 肝..、肝ヲ……… ソノ肝 ヨコセェェッッ‼︎‼︎ 」
(七瀬)「 当主様っ!! 」
(当主)「!」
(季子・万里)「 後ろォ!!」
“ ダメッ…! 間に合わないっっ!!“
……………………ドギャッ・・!!
(三人)「!!!」
(コーちん)
「 そんなっ…!?当主様ぁっ!! 」
(赤べこ大将)「 ギッ…?」
─────・・シュウゥゥ…。
会心の一撃を食らわせたはずだが…
(季子)「 …あっ!」
(当主)「 ────────────…。」
(風)
ヒュゥゥゥ…。
空中でひらりとかわしていた。
そして
(当主)「 ……、」
(弓矢)
ギリィ…。
ヒュンッ!!
敵の頭上をくるりと一回転したと思いきや、神業をお見舞いした。
(矢)
ズガッ!!
(ひたいに命中)
(赤べこ大将)「 …!? ギャァァァァァァ─ ─ ─ ─ ッ‼︎‼︎」
敵の大将の首を討ち取った。
「タッ。」
(当主)「 ───、…。」
(七瀬)「 お見事です。当主様 」
(万里)「 空中で矢を射れるなんて、当主様くらい。拳法家も顔負けね 」
(季子)「 ホント 」
(当主)
「 …いや、この技は万里、お前の父親の武比古さんが俺に訓練をつけてくれた時の指南のおかげだよ」
(万里)「 え…?」
そう、一族の子供の訓練は本来 親から武術を教わるのが基本だが、討伐などで親の不在時、代わりになって指南役を任される者もいる。
しかし全員が同じ職業とは限らないので中には教えられた子供はその指南役についたベテラン師の職業の影響を受け、
それぞれ技力、体力、属性に影響し
今回弓使いの当主様でも拳法家だった武比古の武術がこうして実戦で役に立ったのだ。
(当主)
「 あの人は最初に、弓技と体術の動きを色々考案してあらゆる可能性に対応出来るよう、訓練のやり方も色々工夫してくれたんだ。」
「 だから、さっきみたいな神業な動きが出来るようになったんだ。」
(当主)「 滅多に使うことがなくても感覚は忘れないものさ 」
(万里)「 そういう事だったのね 」
……。
時の炎が一ヶ月の終わりを迎えた。
(コーちん)「 あっ、ねねっ当主様、もう時間みたい。まだこのまま討伐を続ける?それとも帰還する? 」
(当主)「 コーちん、【亜乱】の訓練期間はどうなってる?」
(コーちん)
「 え… っと、まだ一ヶ月目だから初陣予定まではあと来月までは必要だよ 」
(当主)「 …一度帰還しよう。ひと月といっても、屋敷に一人残しているからな… 心配だ 」
「 皆、ご苦労だった。」
回復・【※お地母】をかけた。
(※お地母…味方全体 体力中回復)
「 … ──────。」
(当主)
「 すぐに洞窟を脱出するぞ 」
(万里)「 あの子、ちゃんと一人で修練できてるかしら? 」
洞窟を抜けると、
※田鶴姫の直属の従者の船が海岸で待っていた。
(従者)
「 田鶴姫様から帰還船を出すよう仰せつかっています。」
「 どうぞ お乗りください 」
(当主)「 …… すまない、京へ帰ったら姫にコレを渡してくれないか。」
当主が渡したものは 達筆な文字で書かれていた。
(当主)
「 晴明に関する、奪還した祭具の書状だ。必ず渡してくれ。
(従者)「 確かに。船を出します 」
「 出航っ!! 」
(海岸)
ザザ…ッ
【※田鶴姫】…帝の孫娘。阿部晴明に操られる帝を案じ、打倒晴明を誓う。
理不尽な理由で罰せられた主人公一族を気にかけ、陰ながら討伐に関する助力をしてくれる。
──────────……。
(一方、当主の屋敷)
外の修練場から元気な掛け声が聞こえてくる。
「 いちっ!にっ!!、いちっ!にっ…!! 」
【亜乱】
( 0才1ヶ月、薙刀士 )
今は亡き母、麟子の息子である。
(亜乱)「 いちっ!にっ!!、いちっ!にっ!!…… 」
幼いながら早くも本物の薙刀に慣れようと振り下ろしの練習と体力作りを一ヶ月、
※自主的に励み 亜乱も後に七瀬に続く有力な討伐隊となる人物である。
(※指南役が討伐などで誰も都合がつかない場合は基本的に自主トレ)
(亜乱)「 いちっ…!! ………ふう。
うわっ!?」
ガシャン…ッ!
(亜乱)
「 ……。よかったぁ… 落としたのが地面で…。
ほんとは練習用じゃないから、ひとりの時に本物で怪我でもしたらこっぴどく怒られちゃう。・・気を付けなきゃ。…? 」
バサッバサッ…!
(鳥の声)
「ピィ───────ン…ッ ヒュイ! ピィィ──ン…ッ」
(亜乱)「 ?? もしかしてあの声… 飛廉っ! 飛廉だよね? お──い!! わぁっ ひさしぶりだよねぇ、おかえり。」
空中でいったんぐるりと輪を描き、
飛廉はそのままゆっくりと 亜乱の腕に止まってきた。
─────…バサッ バサッ、
バサッ!!
「 ……、クルルル…。」
(亜乱)
「 おかえり。飛廉 」
とても利口で大人しく、屋敷の母屋を確認していたのか 僕の腕に止まり、
ソワソワと首を動かしていた。
よく訓練されていて 討伐隊の伝令役として同行し帰還時には先に知らせるため当主様がてなづけた鳶である。
(亜乱)「 手紙がついてある! …先に戻ってきたってことは・・・ 当主様たちみんな、もうじき帰ってくるんだね!こうしちゃいらんないや。」
(飛廉)
(役目を終え飛び立ち山へ帰る)
「 ピュイ…。……ッ!」
(亜乱)「 飛廉、ありがとう!ごくろうさまー!!…………、よぅし!」