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    AIノベリスト16「…………」
    カーテンの向こうから聞こえるシャワーの音を聞きながら、ベッドの上に寝転んだままぼんやりと天井を見つめていた茅野は、寝返りを打って壁側へと体を向けると、枕元に置いてあったスケッチブックを手に取った
    「どうしたもんかなぁ」
    ページをめくり、真っ白な紙面を見てため息をつくと、ぽいっとその辺に放り投げるように投げ捨てた
    「なーんか違うんだよねぇ……」
    才能の差というものだろうか、と彼女は思った
    「いやまぁ、確かに私なんかよりもずっとすごい人はたくさんいて、でもそういう人たちだって努力してないわけじゃないだろうし」
    才能とは、天性のものと言う人もいるが、才能とはもともと持っている素質のことではないらしい それは持って生まれた性質ではなく、後になって身につけるものなのだそうだ 例えば、ある画家は幼い時から絵画に触れていて、しかしそれが絵の才能につながることはなかったという だが、後に別の分野で大成した彼は、幼い頃から触れてきた絵のおかげで成功したのだと口にしている ならば、この世に天才と呼ばれる人たちは、幼いころから何かしらの方法で自分の中にある才能を見つけ出し、それを磨き上げ続けてきたということになる
    「…………」
    たとえば、目の前の少女はどうだろう? 美術大学に通う学生にして、まだ二年生ながら既にいくつもの賞を取っている、将来有望な少女
    『神童』などと呼ばれて持て囃されている彼女は、果たして自らの持つ絵の才能を見つけたのだろうか?
    「……」
    黙々とキャンバスに向かう彼女の表情からは、何も読み取ることはできない
    「……」
    「ん?」
    視線に気付いたのか、こちらを振り向いた彼女と目が合う
    「なにか用かな、きさらちゃん」
    「ううん」
    首を振って否定する彼女に、そっか、と短く返事をする
    「ねえ」
    「なに?」
    「どうして、私の絵を描いてくれたの?」
    「えっと……」
    きさらは、普通の女の子だ だからこそ、この質問の意味を理解してもらえないかもしれないと不安になった
    「私は、君の絵が好きだからだよ」
    でも、やっぱりこの人は、他の人とはちょっと違うらしい
    「私なんかの下手な絵が?」
    「うん、君の絵が」
    「どうして? 私があなたの言う『普通』の域に達していないのはわかっているでしょう」
    「そうだね」
    即答されて言葉に詰まると、目の前の彼女は苦笑いを浮かべたように見えた
    「私も昔、君の気持ちと同じことを考えたことがあって」
    そう言って美術雑誌の一ページを開いて見せてくる そこにはある絵画の解説文が載っていた
    「この作者は、確かに天才と呼ばれる領域にいた人だと思う」
    そこに載っていたのは、まるで見たことのないような抽象画で、しかし、ただの写実的ではない絵だというわけではないらしい
    「でも、私にはこの人の絵の良さが分からない」
    「それは……感性の違いじゃないかな?」
    芸術の良し悪しは、見る人が感じたものでしかないのだから
    「違う」
    「えっと、何が違うんだろう……」「そうだなあ、例えば、この絵を見て、君はどう思う? これは、抽象画だ」
    「はい」
    「じゃあその感想は?」
    「綺麗な絵です」
    「ありがとう、それで、僕はこの絵を『美しい』と思ったんだけど、君の目から見てこの絵はどう見えるかな?」
    「えっと……ただ綺麗な絵だと思います」
    「そうかぁ……うん、僕もそう思うんだよね」
    先生が何を言っているのか理解できなかったわけではないけれど、それが自分の絵に対する評価ではないことだけはわかったから、とりあえず曖昧に笑っておいた方がいいのだろうと判断して、へらりと笑う努力をする、
    「君の絵は素直でとても良いと思うんだよ」
    それはどういう意味なんでしょうか? 疑問を口に出すことはせず、愛想笑いを浮かべたまま次の言葉を待ったけれど、結局先生はそれ以上何も言わず、ただ「授業を始める」と宣言するだけだったので、仕方なく机の上に広げていた画用紙とスケッチブックを手に取ることにした、
    「でもねぇ、君は何か大事なものを欠いている気がしてならないんだ」
    先生の声が聞こえたような気もしたけど、きっと空耳だろうと思ったから聞き流していたら、「聞いていないな?」と叱られてしまったので、慌てて返事をする羽目になったのだけど……
    「えっと、あの、はい、ちゃんと、その」
    「うん、まぁいいか」
    先生は軽く息を吐くように言って教壇に戻った後、黒板にチョークを走らせていく、
    『本日は晴天なり』
    そして黒板消しで文字を消して、また別の言葉を書いていくのだけど……
    (あれ?)
    今日はいつもと違うぞ? と疑問を感じた直後、先生が振り返ったので思わずビクッとしてしまったのだが、どうやらそれは私に対してではなく、後ろの席の子に話しかけていたらしいことに気付いたのは、先生の言葉を聞いてからだっだ
    「では、この文を音読してください」
    「はい」
    立ち上がって読み始めたのは、英語の教科書の一ページ目にある文章だ
    『There is nothing wrong without him.』
    「はい、ありがとうございます」
    「…………」
    「では次ですね――」
    英語の授業を終えて席に戻ると、机の上に見慣れないノートが置いてあった
    (えっと……)表紙に書かれた名前を確認すると、そこには『水無月さん』と書かれていた 誰だろう、と思いながら開いてみると、中には綺麗な文字でびっしりと英文が綴られていた
    「え……」
    思わず声を上げてしまった直後、背後から肩に手が置かれた
    「どうかしたの?」振り返ると、そこには自分と同じクラスの男子生徒がいた
    「あ、ううん」
    dzgtHO9zO1U6mPe Link Message Mute
    2022/01/04 14:30:04

    AIノベリスト16

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