補遺:インタビュー記録1041
(SCP-1041の自己認識が変化した日)
「俺が誰なのかわからないんだ……」
「俺は……本当にあの男の息子だったのか?」
「いや、そんなはずはない!あいつは死んだはずだ!」
「何だこれは?なぜこんなものがここに!?」
「違う、こいつは偽者だ!!」
「なんでみんなしてこっちを見るんだよ!!あぁもううざいな!!!」
「ふざけるんじゃないよ、あんたは誰だい!?」老婆の声と共に、絵の中の風景がぐるりと回る……そんな夢を見て、私は目を覚まし、ベッドの上で体を起こした……なんだか妙な気分だ、まるで今まで自分が寝ていたかのような感覚があるのだ……そう、私は昨日もここにいたはずだ、なのになぜだろう?なぜ自分はこんなところにいるのだろうか?ここはどこだ?確か私の名前は……そうだ、思い出せない、自分の名前すらわからないなんて、おかしいじゃないか、いったいどうしてしまったんだろう?私が混乱していると、部屋のドアが開かれて誰かが入ってきたようだった、振り返るとそこには、見知らぬ女性が立っていた
「あら、起きたんですね、おはようございます」女性は笑顔を浮かべながら挨拶してきた
「あの……」
「ああ、まだ起き上がったばかりだから少し待っててください、今朝食を持ってきますから」
「いえ、そうではなくてですね」
「大丈夫ですよ、すぐに持ってきますから」
「違うんです」
「お待たせしました、食べましょうか」
「話を聞かない人だなぁ!」
「はい?」
「まずは自己紹介をしましょう!私は絵描きのモチヅキといいます、よろしくお願いします」
「あ、はい、こちらこそよろしくお願いします……私はなんでここにいるんでしょう?」
「さっき言ったじゃないですか、あなたが倒れたからですよ、熱中症でしょう、最近は暑いですしねぇ」
「倒れ……?えっと、すいません、ここどこですか?」
「ここはロンドンにある私のアトリエですよ」
「ロンドン!?そんな馬鹿な、私はまだ東京にいるはずなのに……」
「トーキョー?よくわかりませんが、ここはあなたの家ではないですよ、ほら、住所も違いますし、これはロンドンの地図です」
「嘘だ!だって私は日本に住んでいて、今日は日曜日だから仕事を休んで散歩してて、それで」
「落ち着いてください、今救急車を呼びますから」
「ちがうんです、そうじゃなくて、私が、いや、わたしが……あれ?」
「大丈夫ですか?」
「はい、ごめんなさい、ちょっと混乱してたみたいで」
「いえ、それは構いませんが、少し休みましょうか?」
「ありがとうございます、でももう大丈夫ですから」
「わかりました、それではそろそろ行きましょう」
「はい!」
「ところで、お名前はなんとおっしゃるんでしょうか?」
「えっと、すみません、思い出せなくて……」
「そうですか、失礼しました」
「あの、あなたの名前はなんていうんですか?」
「私の名前ですか?私はただの学芸員ですよ」
「そうなんですか……」
「それでは行きましょうか」
「はい」
そう言って彼女は私の手を握ったまま歩き始めた
「……」
俺はさっきまで見ていた絵が気になっていたそれは何となくだが、どこかで見たことがある気がしていたのだ「」彼女が何か言ったようだったが、俺には聞こえなかった
「」そうして俺たちは展示室を出て行った
「」私はあの絵を見た瞬間、頭が痛くなったまるで記憶が刺激されるかのように
「」私はあそこに行かなきゃいけないそんな気がする
「」あれは何だろう?「」あれは…….そうだ
「」あれは私が殺した男だ
「」ああ、どうして忘れていたんだろう
「」あいつは私を殺そうとしていたんだ
「」早く殺さないと
「」私は
「」私は
「」私は
「」私は