文体そんな吾輩は今、とある高校の教室にて机の上に乗っている。
「おい見ろよあれ」
「あー、またやってんのかあいつら……」
クラスメイトたちの視線を追えばそこには、一つの机を挟んで睨み合う二人の女子生徒の姿があった。
一人はもちろん我が愛しの妹・小春であり、もう一人は俺の幼馴染にして妹の親友でもある少女――早乙女雫だ。
『兄さん……』
『おぅ……』
俺は隣にいる妹の呼びかけに応じてスマホを取り出した。
メッセージアプリを開きながら横目で様子を窺うと、相変わらず早乙女さんの机の上で激しい攻防が繰り広げられているようだった。
『これは何事?』
【私にも分からない】
画面にはそう表示されている。
『どうしてあの二人はあんな風に喧嘩しているんだろうね?』
【知らない】
『なんでだろうね?』
【だから知らんて】
画面にはそう書かれている。
『そっか』
【うん】
『……』
【……】
『…………』【……】
『…………』
【…………】
画面にはそう表示されている。
『いやどういうことだよ』
思わず突っ込んだ。
「えっ!?」
するとその声に反応して、小春と早乙女さんもこちらを見た。
「あっ、兄さん!」
「あら真冬くん」
どうやら二人ともまだ戦い続けるつもりらしい。
俺はメッセージを打ち込んでそれを二人に見せつけた。
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小春ちゃんへ 一体全体何を争ってるんですかねぇ?(́Д)ハァ? あと早乙女さんはいい加減自分の席に戻りなさい。授業始まるぞ? それと、今日こそ放課後付き合ってもらうから覚悟しておきなさいよね!! まぁ別に用事があるなら無理強いはしないけど、多分暇だと思うわよ~^_-☆
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雫さんへ お前はもう少し周りの目を気にしろ。いくらなんでも公衆の面前で兄妹喧嘩するのは止めろ。恥ずかしいだろ。
というわけで昼休みに屋上に来てくださいお願いします。
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「むぐぅ……」「ふぎゅぅ……」
小春は悔しそうな表情を浮かべて俯き、早乙女さんは呆れたような顔つきでため息を吐いた。
「まったくもう、二人とも子供なんだから」
「うぅ~だってぇ~」
「うーん、