AIノベリスト10 我輩は猫である
、名前はまだない……なんてね、そんなこと言ってる場合じゃないわよね? だってあたし今、猫だけど人間だもの!
「なぁ~ん」
えーっとここはどこなのかしら? なんか見た事のない部屋だし、目の前には鏡があるし、これってまさか、もしかして、いや間違いなくあれよねぇ?
「にゃっ!?」
うそぉおおお!! なんでぇえええ??? どうしてこうなったの????????? あ、そうだ思い出してきた、そうよ、あたしったらついさっきまで学校帰りに友達と別れて一人だったのよ、それでちょっと寂しいから一人でカラオケ行って歌ってたのよ、そうしたらものすごく気持ちよく歌えて、その勢いのまま思いっきり踊っちゃったりしてたのよ、で、歌い終わってトイレに行ったのよ、で、戻ってきたのよ、そしたら……
「にゃんで、こんな姿になってるのよぉおお!」
どう見ても猫じゃなくて、人の姿なんだもん!
「みぃいい」
「み?」
「みみみみみみみみみみみ……」
ん~どおしたのかな~? それに声が出てる感じだし? 今の自分の体を見回しても尻尾くらいしか見えないけど…………そういえばさっきから何か聞こえてる気がするんだけど、なんだろう?
「あのー、すみませ~ん」
「ひゃい!? な、何でしょうか?」
「わっ、しゃべった!」
「え、あれ? もしかしてあなたは今喋ってないんですか? その、先ほどからこちらに声をかけていたのですが」
「あ、ごめんなさい! つい驚いてしまいまして……それで、どうかされましたか? ここは一体どこなのでしょう? 自分は気が付いたらここにいたものでして、ここがどこかも分からないのです……」
(「なるほど……そうですか……では、お預かりしておきましょう」)
と(「さあ、みんな、席に戻って」)
「どうもありがとうございました」
「いえ、こちらこそ」
「いやぁ~、助かりましたよぉ」
「…………」
「あの、本当にいいんですか?」
「はい」
「えっと、じゃあお言葉に甘えて」
「……」
「ん?どうかしました?」
「あ、いえ、なんでもありません」
「ふーん……」
俺は目の前にある『白銀の乙女』というゲームを見て呟いた後、ベッドの上に寝転んだまま視線だけを動かして時計を見る――現在時刻は午後十一時五十五分だった 今日は十二月二十四日であり世間ではクリスマスイブだ なので今年の俺の誕生日も明日二十五日に延期されているから問題ないけどさ
「まあ去年までなら普通に家で一人で過ごしていただろうな」
しかし今は違う 何故ならば今の俺には彼女がいるからだ ただその彼女はこの場にいないのだが……
「そういえばあいつ、そろそろ来る頃かな?」
俺は体を起こしてスマホを手に取り画面を確認するとメッセージアプリの方に新着マークが表示されていたのを見て、内容を見るためにタップする……するとそこには美紀からこんなメッセージが届いていたのだ
『今度の日曜日、良かったら一緒に出かけない?』
その文面を見た瞬間、俺の心臓は高鳴った まさか向こうの方から誘ってくるとは思わなかったからだ しかも二人きりで出掛けるだなんて……正直言ってめちゃくちゃ嬉しい しかし、それと同時に不安も込み上げてくる
(もし、これで断られたりしたらどうしよう)と だって考えてみて欲しい 今までずっと避けてきたのに急に誘われたって事はつまり脈があるかどうか試されているという事ではないだろうか? だからもしもここで断ればまた前みたいになるかもしれないと思うと怖くて仕方がない だが、いつまでも悩んでいてもしょうが無いので俺は覚悟を決めて返事をする事にした
『分かった、どこに行けばいいんだ? 待ち合わせ場所はどこにする? 時間は何時くらいでもいいのか? あと、俺って今からお前の家にいっても良いのか?』
『うん、大丈夫だよ~! じゃあ、1階にある喫茶店に来てね!』
そうして、俺は真白とメッセージを交わした後に通話を切り、一階の喫茶に向かうのであった…… ------
「お待たせしました、ブレンドコーヒーです」
「ありがとうございます」
真白からの連絡を受け、約束の時間通りにやって来た俺は店員さんに軽く会釈をしながら席に着く 店内を見渡すと、この時間帯のせいなのか客足は少ないように思える そんな事を考えている中、ふとある事が気になった それは、テーブルに置いてあった紙ナプキンの位置だ
(なんか、前にもこんな事があったような気がするな)
既視感というやつだろうか? 何故だろう、以前にもこうして向かい合って座った事がある様な感覚に陥ってしまう だが、今日初めて来た店なのだから勘違いなのは間違いないはずなのに、どうしてか不思議な気持ちになる
「せんぱい、おはようございます」
「おはよー」
朝の教室で挨拶を交わすわたしと後輩ちゃん――いや、もう卒業したから元先輩かな? ともかく、今日もいつも通りの一日が始まる……と思っていたのだが、どうにも様子がおかしいのだよね?
「えっと、その、なに?」
「いえ別に? ただちょっと『あ~ん』ってして食べさせてあげたいだけですけど」
「それがおかしくない!?」
「なんでですか? 昨日はあんなにノリノリだったじゃないですか」
「うっ!」
そう言われてしまうと、ぐうの音も出なくなってしまうわけですよね、はい…… 確かに昨日のわたしたちは、色々と盛り上がっていたのですけれど、それはあくまでも二人きりのときであって、今は周りにクラスメイトたちがたくさんいて、しかもみんな聞き耳を立てているような状況なんですから……っ
「そ、そんなこと言われても、わかんないですけど!?︎」
「わからないなら教えてあげる」
そう言うなり、天音さんはぐいっと顔を近づけてきて、そのまま唇を重ねてきました!
「んむぅうッ!」
ちゅるり、という湿った音がして、口の中に舌先が侵入してくる感触が伝わってきます
「やぁあっ、だめぇええ!!」