サメとアヒルとおるすばんサメ棚に『アヒルようちえん』ができて、サメたち総出で『せんせー』をやってる。もー、たのちいけど、毎日ヘトヘト!特に僕は、『サメたろーおにーちゃんせんせい』でえんちょーせんせいみたいなもんだから、タイヘンなんだよねー。
んでも、毎日、じゅぎょーしてたら、段々とアヒルちゃんたちも色んな事覚えて、かしこくなってる。それもサメのみんなの教え方がいいからだよね、エヘン!
モネちゃんとスガナミのことは、すっかり『モネちゃんおねーさん』と『スガナミオジサンおいしゃさん』で定着して、気が付けばスガナミからおにーさんが取れちゃってたんだけど、サメ棚協議の上、まいっか、ってことになった。
もう、スガナミもありゃオジサンだよ、うん。スガナミが椅子に座ってる時に、時々モネちゃんがスガナミの頭で白髪見つけ遊びしてるしね!その度にスガナミがすんげーチベスナ顔するけど、白髪があるんだからしゃーない。若白髪のイデンだ、なんて言い張ってるけど、白髪にはかわんないってもんヨ。
アヒルちゃんたちはいろんなことにキョーミシンシンなんだけど、やっぱり『モネちゃんおねーさん』と『スガナミオジサンおいしゃさん』のことはとくべつにキョーミがあって、二人のお話を色々聞きたがる。
僕だけが知ってるモネちゃんのお話もあるし、僕以外のサメが見守ってきたスガナミのお話もあるし、あのねー、それでねー、ってお話してたら、それもたのちい。アヒルちゃんたちも、それで?それで?って心の羽をぱたぱたさせて楽しみにしてるし。
アヒルちゃんたちもすっかりモネちゃんとスガナミに詳しくなったころ、スガナミがまたシュッチョーに行く、っていうから、モネちゃんとサメのみんなとアヒルのみんなでお見送り!いってらー!
モネちゃんはスガナミを笑顔でお見送りするんだけど、やっぱりスガナミがいないのはちょっぴりさびちいみたい。そりゃスガナミは仕事で夜いない、とか、モネちゃんもシュッチョーあったりするし、そもそも二人が一緒に住むようになったのなんて、二人のれきしから考えたら超最近のことだから、数日スガナミがいなくても、ってなもんだけど、やっぱり、帰ってこない、ってのが確定してるのは、さびちいってもんだよねー。
晩ごはんを独りで食べたモネちゃんは、サメ棚のそばに、スガナミの書斎イスをごろごろーって持ってきて、そんで僕のことをぎゅってする。そだよー、こういうときにぎゅってされるのは、僕のいちばん大事なおしごと!もー、いくらでもむぎゅしてくださいってなもん!むぎゅー。僕も、心の胸ビレでモネちゃんのことをむぎゅってしかえすんだ。
モネちゃんは、僕を左腕でむぎゅってしながらスガナミの書斎イスの上で膝を抱えて座って、そんで右手でアヒルちゃんたちをちょんちょんってつついてる。アヒルちゃんたちは、そのちょんちょんがくすぐった楽しくて、心の羽をグワグワパタパタしてる。
ひょいってつままれたアヒルちゃんが、一羽ずつサメたちの頭の上に乗せられてく。わーいわーいって、アヒルちゃんたちがはしゃいで、ジンベエくんやちーちゃんが、気を付けてねーって笑ってる。
最後の一羽を、僕の吻にのせたモネちゃんが、それをみて小さくニコッって笑うのがかわいい。ねー、アヒルちゃんの黄色と僕のグレー、とってもいいコントラストだよねー!
「ね、サメたろう、先生がいないのがさびしくなるようになっちゃったね」
ってモネちゃーん!!
ずっと寂しかったの知ってるよ?ずっと汐見湯でも気仙沼でも、スガナミがいなくてさびしいけど頑張ってたの知ってるよ?だから、さびしい、でいいんだと思うよ!
ねー、さびちいもんはさびちいんだよ!
僕が心の胸ビレでひしっと抱き着いたら、モネちゃんも気持ちが落ち着いたみたい。僕の吻の上のアヒルちゃんも、心の羽をパタパタさせて、モネちゃんおねーさんがんば!って笑ってる。
僕のことをもっかいむぎゅってしたモネちゃんが、アヒルちゃんをそっとサメ棚に戻して、のそっと立ち上がる。あ、今日は一緒にねんねの日ですね!りょうかい!
そんで、スガナミが帰ってきたら、モネちゃんは笑顔でスガナミに飛びついてる。ばくはつしろ!…って、スガナミのぽっけから、アヒルちゃんでてきたー!増えたー!
モネちゃんが両の手のひらいっぱいにアヒルちゃんを4羽のせて、笑顔でサメ棚に来る。
「サメ太朗、みんなー、アヒルちゃん増えたよー。よろしくね!」
ってうわぁ、4羽!ごうけい、10羽!たいへーん!
アヒルちゃんたちは、おともだちが増えてとっても嬉しそう。
『こんにちは!』
『こんにちは!』
『こんにちは!』
『こんにちは!』
『こんにちは!』
『こんにちは!』
『はじめまちて!』
『まちて!』
『まちて!』
『まちて!』
アヒルちゃんたちがにぎやかにごあいさつするのを、サメのみんなで見守り!
『ここはなんてとこ?』
『なんてとこ?』
『なんてとこ?』
『なんてとこ?』
『ここはねー、モネちゃんおねーさんち!』
『ここはねー、スガナミオジサンおいしゃさんち!』
『ここはねー、サメたな!』
『ここはねー、おうち!』
『ここはねー、アヒルようちえん!』
『ここはねー、いいとこ!』
『そんでね、サメたろーおにーさんせんせいがいるよ!』
『そんでね、こっちがジンベエザメおにーさん!』
『そんでね、ちーちゃんサメおにーさん!』
『そんでね、だいちゃんサメおにーさん!』
『そんでね、モケーおにーさん!』
『そんでね、ネコさんおにーさんと、イタチおにーさん!』
『サメ?』
『サメ?』
『サメ?』
『サメ?』
『サメはね、かっこいいおさかな!』
『エラは、だいたいいつつ!』
『オビレがタテ!』
『はがたくさん!』
『なんこつぎょるい!』
『ロレンチーニきかんもあるよ!』
『サメー!』
『かっこいい!』
『せんぱいアヒルさんもかしこ!』
『サメもアヒルもすごい!』
うひゃぁ!せんぱいアヒルちゃんたち、すごい!
ちゃんとサメのじゅぎょうを覚えてる!
ジンベエくんたちも、すごいねぇ、って。
ねー、すごいね!
アヒルちゃんが10羽になって、どーなるかなーって思ったけど、せんぱいアヒルちゃんたちがこうやってそっせんしてくれたら、なんとかなるかなー。
ってか、スガナミもほんとちゃんとお世話しろフカー!