ー ボクはキミに会いにいくヨ ー放浪の度に出たスマイルは
時が経って大人になり
あちこちでギャンゼの歌を子供達に歌って聴かせる傍ら…こんな語りを披露していた。
『コレはネ…
一輪の薔薇の花と
一頭の蝶の物語サ。』
静かで穏やかなその声に
やや寂しげな眼差しを添えて…
『城から漂う薔薇の香りはとても強くて…
引き寄せられてしまった蝶はネ?
そこで一際美しく咲いた
凛々しい薔薇の花を見つけて
ちょっかいを出したのサ。
蝶はその薔薇にちょっかいをかけすぎて
うっかり棘に刺されてしまったけれど
薔薇は花弁を落として眠りにつく時まで
ず〜っと蝶を構ってあげたんだヨ。
いつしか薔薇の花は
その花を散らすその時を迎えて…
次にその花を咲かせるまでの眠りについたんだ。
薔薇の花の凛々しさを沢山学び
見届けた蝶は大空へ羽ばたいたんダヨ。
…いつかまた…
薔薇の花が再び蕾を膨らませて
一際瑞々しく美しく凛々しい
立派な花を開かせるまで…
蝶は今でも
ずっとずっと…
あちこち飛び回りながら
それを待っているのサ。』
約束なんてしていない
憶えている保証もない
それでも…
いつかまた
きっと
ーボクはキミに会いにいくヨー