なんでもない日々のお話2
ぱたぱたと愛らしい足音が聞こえる。
開かれたままのドアから腕いっぱいに洗濯物を抱えたもえがリビングへと入ってきた。
どうやらシーツやタオル類を抱えている様だ。
随分沢山洗濯物したんだなァ…と
他人事のように思いながら
寝そべったソファーから視線を流せば
動く度にふわふわ揺れる彼女の愛らしいくせっ毛が、清々しい朝陽に照らされ
キラキラ輝いていた。
彼女は手にした洗濯物を一度カーペットの上に置いて庭に続く窓を開くと、洗濯物の山から大判のバスタオルを1枚手にして豪快にバサバサと振った後、いそいそと庭に降りて物干し竿の下に立ち、器用にひょいと引っ掛けた。
しかし彼女の身長に対して庭の物干し竿はやや高く彼女は引っ掛けたタオルを広げるのに苦戦している。
いつもはアッシュと洗濯物を干しており、あの様な場合には彼がさり気なく手を貸しているのだが…今朝はまだランドリールームから出てきていない様だ。
徐にソファーから起き上がって窓辺にしゃがみ込んだ。
己の膝に肘を置いて頬杖を付きじっとその姿を見守る。
彼女は…
懸命に背伸びしてみたり
ぴょん、ぴょんと跳んでみたり…
それはまるで仔うさぎがじゃれて居るようにも見えて思わず頬が緩むほど微笑ましい。
ようやっとバスタオルを1枚干し終えた彼女は…ふぅ…とひと息吐いてこちらを振り返ったが、自分を見た彼女の顔がみるみる赤く染まっていく。
恐らく自分の表情は緩みっぱなしのままだったのだろう。
面白い程に赤くなった彼女を見ていると微笑ましくて、可愛くて。
つい意地の悪い言葉が口を衝く。
「ヨカッタラ
ボクがお手伝いシマショーカ?
仔ウサギチャン♡ヒヒヒ♪」
ああきっと拗ねて怒っちゃうんだろうナ…
どうやってご機嫌取ろうかナ?
…そんな呑気な事を考えながら。