Log13-1篠突く雨は好かない。得体の知れぬ不快感が臓腑を這い渡るからだ。
水溜の波紋から視線を上げて見つめ、正体を識ればその地虫を滅するに能うだろう。しかし我が物顔にいっさいの音を潰す水は、真実を暴くより早く身を泥濘に沈める。
そして畢竟、蛆の蹂躙を受容れざるを得ないのだ。
彼は雨、正確に謂うと土砂降りとやらが嫌いなようだった。
しとしと優しく降り注ぐ恵みの雨は、育てている草花に良いと、至極わずかに口元を緩ませる。
だが今日のような、植物の葉を打ち付け、大地を抉ろうといわんばかりの激しい陰雨には表情を消すのだ。他人からすれば平素となんら変わりないように見えるのであろうが、自分には微かに変化が見て取れた。
「天気変える何かって作れないの」
「抽象的すぎるし、そもそも無理だ。一介の人間にこんな大量の分子をどうこう出来やしねえよ」
「《湿》と《乾》、そこに《水》がきて、雨が降るんだよね」
「それが?」
「どれか1つだけでも、どうにかすればいいんだろ」
「その魔でも見つけ出したほうが早い」
「局所的だっていいんだよ」
「だから無理だっての。おれの分野じゃねえし」
「役立たず」
「他のやつには、当たるなよ」
「……わかってる」
一切の表情が無い。こう表せば事の重さもわかるだろう。だのに、何もできない自分が歯痒かった。
「闇魔、対だろうから光魔。それ以外の魔なんて、核なんていなくなっちゃえばいいのに」
「酷い八つ当たりだな」
「なんで、嫌いなんだ?」
「さあ」
「さあって……答えたくねえならそれでいいけどよ」
「言い方が悪かったな。わからない」
セ「パイ投げと薔薇投げ、どっちか選んでね!」
ウ「なんだよ薔薇投げって!てかどっちも死亡フラグだやめろ!!」
ユ「どちらも投げればいい」
ウ「は?、おいやめry」
セ「くたばりやがれウェールズファルツ!!」
休暇を持て余したトリオのあそび
試しに林檎の皮を剥こうとしただけで、指が傷だらけになり始めたから、さすがに止めたの。
ゆっくり、優しく。言ってはおいたけど、彼はまるで駄目で。不器用というのは本当みたい。
剣はあんなに上手く扱うのに。
「あのさ、これって剣で剥いちゃ駄目?」
「さすがに、マナー的にどうなのかしら」
「未使用の剣なら問題ないでしょ? そうすればウサギも楽勝だし」
……確かな根拠はないけれど、どうしてもそれは認められないわ。
(リエラとセスタ)
「衣類、布は動植物の一部から出来ている。そしてそれらは元素だ」
「つまり六柱の司る原子にとっては、空間も水中も衣類も皆同じということになる」
「『退け』『消えろ』とでも思わない限り、本来そこにあった元素は新たにやってきた原子に対し、場所を一時的に明け渡す。あくまで場所を貸しているようなものだ」
「だから原子が去れば元素は元に戻ってくるため、服も元通りになる」
ウ「悪いが、平たく言ってくれ」
ユ「俺が服ごと腕を《夜》の素の形態にしていること。そうしてから、形態を人間の腕の形に戻すと同時に服が元通りになっていること。……それらは、理論的に説明のつく現象だ」
ウ「……」
セ「こう、いちいち気にしてるから、胃痛持ち予備軍なんだよ」
ウ「そうかもしれねえけどよ、あればっかりは気になっちまうだろ」