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    Log15-6【歌】


    ユ「ジングルベール、ジングルベール」
    セ「怖いからメロディーつけてよ」
    ユ「つけている」
    セ「あれ、音程が一定に聞こえるジブンがおかしいのかなー」



    【生クリームたっぷりのパンケーキやシュークリームの、食べかたの上手さグランプリ】


    セ「生クリームたっぷりだってさ。参加しなよウェズ、というかするでしょ?ね」

    ウ「よく考えろセスタ」
    セ「うん? 何を」
    ウ「グランプリっつうんだから比べる相手が必要だ。でもって万が一おれがやるはめになったら、その相手としておれはてめえを道連れにする。てめえが食うのド下手なのは知ってるぞ」

    セ「で、でこぽんのくせに卑怯だー最低だー!」
    ウ「おれにやらせなきゃいいだけだろ!」



    【死に泣いてくれるか】


    ウ「おれが死んでも泣かねえだろ」
    セ「よくわかってるじゃん」
    ユ「『悲しいからといって、泣くとは限らない』」
    セ「そう……って補完し、うん、人によってはそういう場合もあるんだろうなー」

    ウ「? 今なんか言いかけたな」
    セ「言葉選びなおしただけだよ」





    【主による、或る語り】


    “昔むかし、北のまちに美食家の兄弟がおりました”。
    そんな句から始まる、一種の民話がある。
    裕福な美食家の兄弟が美味な食材を求め、やがて悪食と呼ぶにふさわしい様相へと変わり、最終的に喰鬼の肉を食べようとする話だ。

    知っての通り、喰鬼は絶命すると角、それから正確に言うならば絶命前に流していた血液以外が全て塵となり、そして瞬く間に霧散する。殺さずに部位のみを切断出来たとしても、体積が小さすぎればそれだけ先に消えてしまう。喰鬼討伐後には、血の海しか残らないのが常だ。

    脚などを根元から切り落とせば、本体が絶命するまで消えない肉が手に入りそうな気もするか? だがそれには技術を要するし、何より人間が大腿部から下をまるごと失えば高い確率で失血死するように、喰鬼も大量血を流せば死んでしまう。

    つまり喰鬼の肉を食べようとするのならば、塵と化すより早くそれを口に含み味わうか、生きた喰鬼に直接齧りつくしかない。
    現実には中々困難な真似だ。それを成せるだけの腕があるのならば是非オプファースとして勧誘したいものだな。

    しかし物語とは都合の良いもので、非力な美食家兄弟たちは食堂に誘い込んだ喰鬼を生け捕り、テーブルに縄で縛りつけ拘束することに成功する。
    そこでまずは兄が、喰鬼の脇腹に、ナイフで丹念に切れ込みを入れ、肉に食らいつく。動物の肉とて生のまま食べる行為は褒められたものではないが、そこはさすが悪食と言うべきだろう。

    ところが、肉を噛みちぎり咀嚼し、のみ込んだ瞬間だ。突如として、兄はフォークとナイフを投げ捨て、身体を折り曲げ、味の感想も口にせず悶え始める。
    異様な光景に弟は動揺し、結局どうすることもできないまま、兄はあっけなく死んでしまう。

    一体どういうことかと、我に返った弟は恐る恐る兄の口の中を覗く。するとあるはずのものが無かった。舌だ。
    更にその舌は、どうやら喉に詰まっているという。
    兄は、とにかく取れた舌が喉に詰まり、窒息死したということだ。

    随分と冷静な、いや、己の欲に素直な弟はそこで考える。
    兄の舌は何故落ちてしまったのか。それは喰鬼に肉が、舌が落ちるほど美味しかったからだと。
    目の前の食材が極上であると判断した弟は、兄と同じように喰鬼の身へナイフを入れた。

    舌が落ちてしまっては味覚が失われるというのに、躊躇する様子は一切なかった。 弟は美味なものを食したいという熱意で、思い切り引き千切った喰鬼の肉を、口いっぱいにほおばる。
    ところがだ。喰鬼の肉は、まるで腐った酒に浸けた魚の内臓の味がした。

    美味しくはないどころではない、この世で最も不味いと言えるような、それはそれは酷い味だったのだ。
    こんなもの食えたものではない。そう思った弟は慌てて、口の中のものを吐き出そうとした。

    喰鬼の肉は、口からではなく、顎の下から床へ吐き出された。
    何故、と思う暇もなく。次の瞬間、弟は想像を絶する激痛に襲われ、痛みに苦しみ呻き、のたうち回り、程なくして兄同様に死んでしまう。

    のちに兄弟を発見した使用人が、弟の亡骸を見ると、弟は舌だけではなく、その下の肉まで腐り落ちており、大きな穴が空いてしまっていたという。

    ――おおまかに「喰鬼の肉を食べると身体の一部が腐り落ちる」といった、後味のよくない話だ。

    現実に喰鬼の肉を食べると、身体の一部が腐るのかは、判然としない。
    しかし合理的な根拠が無くとも、喰鬼という“人間の屍のみを喰らい、屍を喰らうため人間を殺す”異形の一部を摂取すれば、人体に何かしら重大な悪影響が出るという説には、人々の間で一定の信憑性がある。

    いくら腕に自信があり、いくら腹が空いていたとしても。あえて死を望むのではない限り、喰鬼を食すなど考えるべきではないと、忠告はしておこう。





    【Winter solstice】


    セ「んー、美味しい!」
    ユ「それは何よりだ」

    セ「毎年順調に進化してるよね。かぼちゃのプリン、ムース、そして今年はタルト」
    ユ「折角だ、様々なものを作ってみたいと」
    セ「でも野菜を使った料理以外は作らないの?」
    ユ「……作ろうと思ったこと自体があまりないな」
    makiwaka90 Link Message Mute
    2019/01/13 19:32:35

    Log15-6

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