Log14-3セ「じゃーん炒り済コーヒー豆! ちょっと安く売ってたから買ってきたよ」
ユ「珍しい」
セ「ね。向こうで豊作だったのかもよ。ってわけでウェズヨロシク」
ウ「挽いて準備しろってか」
セ「ご名答。まさかリエちゃんにやらせる気じゃないだろー」
リ「私も手伝うのに」
セ「いいのいいの、リエちゃんは一緒に待ってれば。問題ないでしょ」
ウ「セスタの態度以外はな。で、厨房にミルとドリップポットは揃ってるんだったか?」
ユ「ああ。言えば貸してくれるはずだ」
ウ「じゃあ行ってくる。ほら豆渡せ」
セ「さっすがウェズウェズ優しい」
ウ「端からそのつもりだったんだろ」
リ「コーヒー好きなの?」
セ「ミルク入れたのは好きだよ。レシュアには沢山入ってくるわけじゃないから、偶に飲む程度だけど」
ユ「チノーブではよく飲まれるのか」
リ「そうね、港町だからかそれなりに流通してるんじゃないかしら。時期のときはうちの店でも出すし」
セ「いいなー」
ユ「港の有無で結構変わるものだな」
セ「レシュアも港のすぐそばに発生すれば良かったのに……いや、でもこの辺りの土地が豊かだからこそ、基本的に料理美味しいんだよな」
リ「そうね。パンや野菜はこっちのほうが美味しく感じたわ」
ユ「ではやはり、農業をするならレシュア近郊と」
リ「? 確かに私が訪れてきたまちで、ここが一番良さそうだけど……」
セ「ユクシルはね、自分で畑耕して野菜育てるのが夢なんだって。それで、将来どこの土地を買うか考えてるんだよって話」
ユ「ああ」
リ「部屋のベランダにも鉢があったけど、植物を育てるのが好き?」
ユ「好きだな。草花それぞれが可愛らしく、眺めていると和む」
セ「それ聞くと、畑じゃなくて庭だけでいいんじゃないって気がするけどね」
ユ「一面に広がる麦畑、を一度自分の手で育て上げてみたいとは思わないのか」
セ「思わないよw」
ユ「綺麗だろう」
リ「それとこれはちょっと別だわ」
セ「――なら、パイかタルト作ってよ。季節の果物を使ったやつ」
リ「もちろん。私でよければ」
ユ「果樹は難しいが、ベリー系統はいけそうだ」
セ「ふふ、夢が広がるなー」
ウ「なんの話をしてるんだ?」
セ「あ、おかえり」
リ「将来ユクシルが麦を育てたらそれをどうするのかって話から、使い道、お菓子の話に」
ユ「作物は全て売らず、幾分かは手元に残しておこうと。農業をするに叶ったならば」
ウ「あー……なんとなくわかった」
セ「で、コーヒーは?」
ウ「見りゃわかるだろうが。カップも砂糖ミルクも持ってきてやった」
ユ「助かる」
リ「私淹れるわね」
セ「じゃあお願いしちゃおう。ミルクの量はリエちゃんの感覚でいいよ」
リ「2人は?」
ユ「砂糖を一匙」
ウ「おれのは何も入れなくていい」
ウ「……美味いな」
セ「買ってみるもんだね」
ユ「リエラもミルクのみを淹れる派、と」
リ「そうね。まろやかになって丁度いいの」
セ「わかるわかる。でも砂糖まで入れると甘すぎちゃうから、これがベストなんだよなー」
ウ「何も入れねえのが一番美味いと思うんだがな」
ユ「甘味の供には確かにブラックだ」
ウ「だろ」
ユ「甘さが過ぎてもな」
リ「ウェズはいつも何も入れなくて、ユクシルはその時々なのね。紅茶でも同じなのかしら」
ウ「まあな。でも、そんな事訊いてどうするんだ?」
リ「ちょっと覚えておこうと思って」
セ「ほら、将来スイーツ作ってもらう予定だからね」
ウ「はあ」
セ「その時飲み物もつくでしょ。また淹れてくれるってことだよ」
(何気ない先の日常に、思いを馳せる)