Log15-1▽ペア等に「膝に乗ってください」と指定したら(元ネタはツイッターより)
・ウェズとセスタ
ウ「はあ?……っておい何やろうとしてんだよ」
セ「膝に乗ろうとしてるんだけど? 邪魔しないでよ」
ウ「てめえに乗られたら流石に死ぬ」
セ「大袈裟な。膝痛めるだけだろー」
ウ「分かってるんならやめろ!」
・ユクシルとセスタ
セ「はいどうぞ!座って」
ユ「体格的にはセスタが、俺の膝に座るほうがいいだろう」
セ「いやいや。ゆっくんに椅子?になってもらうわけにはいかないし」
ユ「ならば尚更だ」
ウ「……」
・ユクシルとリエラ
リ「意図がよくわからない内容だわ」
ユ「…座らないのか」
リ「座っていいものなの?」
ユ「当然だ」
リ「それじゃあ、お言葉に甘えて」
リ「……」
ユ「どうした。先より顔が赤い」
リ「…ちょっと緊張しちゃって」
ユ「緊張」
リ「ええ。でも気にしないで、すぐに治まるから」
ユ「わかった。そういう事ならば」
セ「(にやにや)」
ウ「(口出ししてえ)」
「時を遡り、ひとつだけ、自身の過去を変えられるとしたら」か。
変えてしまいたいような過去があるとしても、あくまで俺は変えようとは思わない。よって答えは「どうもしない」だ。
最も否定したいそれは恐らく、悔悟の原因だろう。
悔やんでいるのならば、すなわちその出来事の責任は己にある。あるいは直接の責任自体は無くとも、回避出来なかった事実は内に存在する。
それらを無かったことにするのは、己の責から逃れると同義。ならば抹殺など願わない。
幾ら後悔の念を抱こうとも。あるいは逆に、過去の記憶に伴う悲哀が苦しみが小さくなろうとも。生じた責は、罪は科は、全てもっていく。
山の麓付近に発生していた喰鬼討伐の仕事を終え、ちょうどレシュアの区画まで戻ってきた頃だった。
一歩先をあるいていたセスタが突然立ち止まったかと思うと、徐にこちらを振り向いたのは。
銃を持つ手に力が入る。
「やめろ」
ウェズは険しい表情をうかべ、短く言い放つ。
幸か不幸か戦闘の帰りであった。少なからず気は高ぶっており、装備も戦うためのそれ。ひとの命を奪い得る武器を構えるまでに、そう時間はかからなかった。
対するセスタは愉快そうに唇を歪めるだけ。
血なまぐさい仕事中もずっと所持していたらしい。懐に忍ばせていた皮袋を、真横に伸ばした腕の先でぶら下げてみせる。
「嫌だよ」
「ユクシルがいない今、やるしかないんだよ。わかるだろー」
「わかってたまるか」
引き金に指をかける。僅かに鳴った音が、冷たい風へと零れていく。
「弾の無駄遣いじゃないの?」
「そう言うんだったら無駄遣いさせるな。とっとと下ろせ」
「却下。むしろ撃てるんなら撃ってみなよ」
「もう一度言う。今すぐそれを、下ろせ」
鋼さえつらぬく高熱の弾を放つ銃口が、いよいよ本気で正面を見据える。
しかしセスタは、ふふ、と朗らかに笑んだのだった。
「誰が。はいそうですかなんて、聞くと思う?」
「――セスタ!!」
低い唸りが、引き金をひく。
そして弾丸は――セスタが手にする皮袋の腹を寸分たがわず貫き、芳しい香りとともに、蓄えられていた無色の液体を見事にぶちまけた。
「……」
「……うげ」
「いやそれはこっちのセリフなんだけど。腕から横腹までもろに濡れちゃったんだけど?」
「そのローズウォーターを、わざわざ持参してきたのはどこのどいつだよ」
「ジブンが被るためじゃなくて、ウェズに投げつけるために持ってきたんだし」
「自業自得だ」
「そうは言っても、ホントに撃つとは思わないじゃん」
「この状況じゃ撃つだろ、普通」
「そこは少しくらい躊躇うんじゃないの? もしジブンが動いちゃったら、間違って手撃つかもーとかさ」
「仮にも武器を向けられてるんだから、撃たれるとまでは思ってなくとも、てめえが無駄な動きするわけねえだろ」
「…、……それよりさ、ウェズ」
「あ?」
「これ薔薇臭い。濃度高いやつ選んだから、ジブンでもきつい」
「そりゃ大量に被ったんだしな。間違っても近付くなよ。鼻が死ぬ」
「……」
「なんだよ。本当に薔薇の匂い無理なんだから仕方ねえだ、ろ……」
「(にやり)」
「セスタ」
「あージブンからは今、ウェズの大嫌いなバラの香りがプンプンするんだーそっかそっかー」
「おい」
「ウェズよりジブンのほうが足速いよなー」
「そろそろギルドに戻りてえんだが」
「ウェズに抱き付く気持ち悪さより、ウェズの嫌がる様子だよなーーー!」
「ばっ、てめ、来るな!!!!!」
闇を抱えることを厭い、逢魔が時と深更を恐れ、黎明は絶望の終焉とする。
それでも世界を愛す静寂を、尚も理解しない星屑よ。
かの優しき闇であったならば、情けの一つや二つ、御前達にくれたかもしれないが。
己は決して貴様らなど救ってやらぬ。信仰心と云う名の、小汚い臓物を捧げ、知らず知らずの間に溝へと捨ててしまうが良い。