Log14-4(柑橘)
「モテる理由は顔だけじゃねえんだな」
「何それモテない男の自己擁護?」
「違えよ。てめえのこと言ってるんだ」
「ジブンがモテるわけないじゃん」
「顔と外面だけならいいだろ」
「それは認めるけどなー」
「なんか腹立つな」
「ユクシルは結局、人気あんのかアレ」
「そこそこの数の憧れの対象ではあると思うけど、それ以上はあんまり無いっぽいね。関わりないところから仲良くしようとすると、まず何考えてるんだかわからなくて心折れるんじゃない」
「喋りも表情もアレだしな。でもギルド内でなら1つくらい浮いた話あってもいい気がするが。聞いたことねえよな」
「…そうだね」
「なんだ今の間は」
「特に何もー」
「とぼけるな」
「ちっ」
「てめえ、本当おれの前では性格の悪さを微塵も隠さねえな」
「ユクシルにも隠してないけど? ただ性格の悪さが露見するような場面にも気分にもならないだけで」
「余計にタチ悪いっての」
「勘違いしないでよ。別に『ゆっくんに近付く女は何人たりとも許さない』とか思ってないし」
「本当かよ」
「むしろ結婚式には呼んでね!って感じだから。あ、でも、ユクシルにとても見合わない女がジブンに協力お願いしてきた場合は、全力で遠ざける」
「おい」
「接客担当のコはそのパターンだったなー」
「待て」
「問題ある?」
「大有りだ」
「協力してあげる義理無いだろー」
「それはそうだが、遠ざけるのはやりすぎだ。そこの判断は本人に任せてやれよ」
「えー。だって大して可愛くもないどころか、聞いたところによると内面は騒がしいわ信仰に厚いわだったんだよ」
「…それでも駄目だ」
「あっ今『それなら仕方ない』って一瞬同意しかけたね?」
「してねえ」
「ジブンが遠ざけなくたってどうせ上手くいかなかっただろうな、とは?」
「……それはまあ、多少」
「だろー」
「ま、さっきも言った通り基本スタンスが攻撃体勢なわけじゃないから」
「いや、それは最低ラインだからな?」
「ハイハイわかったって。お似合いのコが現れて、良さげな関係になったら全力でプッシュするから安心しなよ」
「どうしてそう極端なんだ」
ユ「雪の季節だな」
セ「雪かきも始まるね。半自動雪掻き機とか作ったら売れるんじゃない?(チラッ」
ウ「おれには無理だぞ」
ユ「そう言いつつもやってのけるのが」
セ「ウェズウェズ」
ウ「発明家の類じゃねえから」
朝は静かな瑠璃、昼は美しい漆黒、夕は滲んだ藍鉄。月夜は深い紺青。
一口にその色を説明する事は困難であり、またすべきではないだろう。彼の隻眼の彩は「夜色」と称するが相応しい。
対となる光に応じて様相を変え得るそれは、まさに夜が闇が、すべてを包容する存在である事を語っているのだから。
(や=やみまる)
セ「はあ、可愛いなー」
や「\(・∀・)/」
セ「喋らないけど、人によってはユクシルより反応わかりやすいかもね。結構ボディランゲージがあって」
ユ「俺も、これくらい身振り手振りしたほうが良いのだろうか」
セ「んー、見てて笑っちゃうだろうしそもそも無理だろうから。やらなくていいよ」
セ「エサあげていい?」
ユ「ああ」
セ「やったね」
セ「はいどうぞ」
や「(*'ω'*)!」
セ「葉野菜好きだね、ホント」
や「(-ω-)ムシャムシャ」
セ「やみー、とか鳴いたらもっと可愛いんだけどな」
や「(-ω-)モグモグ」
セ「ふふ。美味しい?」
や「yummy」
セ「!?」
セ「という夢を見たよ」
ユ「声をあててみよう」
セ「やみまるがそんな声低いなんてイヤだ」