星に願わずとも「アタシの願い星、アンタに譲れば良かったわね」
「へっ、」
突拍子もないヴィルの発言に監督生は目を見開く。
「願掛けが嫌いだからって何もそこまで……」
「アンタこそ仲間外れにされるのが嫌な癖に自分から仲間外れになってんじゃないわよ」
「え、」
「願い星をグリムに譲ったこと、アタシが知らないとでも思ったのかしら?」
「いだだだだ」
ヘッドスパと呼ぶには暴力的が過ぎる指圧に監督生は情けない悲鳴を上げる。
「……参考までに聞くけど、もし今アンタの手元に願い星があったら何を願うの?」
「え?えっと……デュースの努力が報われますようにって……あの、ヴィル先輩?」
「恋人の前で違う男の名前を出すなんて良い度胸してるわねアンタ」
「お、怒るポイントがおかしくないですか!?」
鬼のような形相をするヴィルに怯えつつも監督生は反論を叫ぶ。
「何かこう、自分のためになることを願え的なことを言われるんじゃないかと思ってたんですけど……」
「アンタの迂闊な発言のせいでそれどころじゃなくなったわ」
監督生の頭を鷲掴みにしたままヴィルは眼光を鋭くする。
「友達思いなのは結構なことだけど、時と場合を考えなさい」
「……もしかして拗ねてますか?」
「どうかしらね」
これは間違いなく拗ねてると判断した監督生は恐る恐る手を伸ばし、ヴィルの頭を撫でる。
「自分は今回仲間外れになってませんし、ヴィル先輩が仲間外れにならなくて良かったと思ってますよ?」
「……ものは言い様ね」
ヴィルが表情を緩めたことに監督生は安堵した。