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    フィアンセ
    「Aji」の開店記念で現れた龍前寺アキ子は3曲歌い終わると休憩のため
    客席のテーブルに腰掛けた。
    目の前にはアジフライ定食を食べている東海林がいた。
    「お客さんそのわかめ頭はどないしはったんどす?」
    アキ子は冗談で東海林の頭をわかめに見立ててからかった。
    「相変わらずだな…とっくりは。まぁいい、俺も色々いいたことがあるんだ」
    「いいたいこととは、なんどすか?」
    アキ子は肘をつき東海林の目をじっと見つめた。
    そんなアキ子を東海林もじっと見つめて深呼吸して吐き出した。




    「俺、婚約してるんだ」





    アキ子の目が、飛び出すかのようにぎょっとしていた。
    そんなアキ子を見て東海林は話し続ける。
    「昔お見合いした頭取の娘さん…2か月前に偶然会ったんだ。
    それで話していたら彼女…シングルマザーでさ、2人の子供がいるんだよ。
    俺に見合い断られてやけくそで結婚したらしくてさ…偶然会えたのも
    運命なんて言われちゃって…でも俺もすぐ離婚して失敗した経験が
    あるから、しばらく一緒に住んで結婚前提でお付き合いしようってことになったんだよ」
    アキ子の体の中にやかんが沸騰してピーピーなるような音がしている。
    思いがけない告白に頭が付いていかない。そんな春子を切なそうに見つめている東海林は
    「俺はもし結婚してもお前の事は一生忘れないよ、だからお前も賢ちゃんと仲良くな」
    食べかけのアジフライ定食を持ち帰りにしてもらい、東海林は浅野と一緒に
    会社へと戻った。



    「大前さん、東海林さんとなに話してました?」
    「大前ではありません、龍前寺アキ子です」
    その声はさっきよりもトーンダウンしてまるで空気の抜けた
    風船のようだった。


    アキ子、もとい春子は演歌歌手になり東海林ともつかず離れずの関係で
    いようと思っていた。それは東海林が自分の事を思っているということありきで
    考えていたのだ。
    それなのに、東海林から婚約者がいると聞かされそのもくろみが一気にくるってしまった。
    アキ子は力をなくし近の車で帰ることにした。

    家へ着き、着物を脱ぎ髪をほどく。
    朝早くから着付けをしてサプライズで登場したというのに
    このぽっかり穴の開いた感情は何なのか。


    「あのくるくるパーマめ…だったら最初から思わぜぶりなことを言うな」
    気が付くとポロポロ涙が出ていた。
    一年前、東海林の告白から逃げ続けていたのは自分だ。
    だけど自分が素直になれるまで時間がかかるからと相手を放置して
    結局別の人と一緒になっている。これじゃ13年前と同じじゃないか。


    だが、これもそれも全部自分のせいだ。
    後悔しても、もう遅い。

    東海林が婚約した頭取の娘には長男と長女がいた。
    10歳の和樹と7歳の日菜子だ。

    「おかえりーたけちゃん」
    東海林がマンションに着くと帰りを待ち構えていたように玄関まで迎えてくれる。
    「おーっ、カズとヒナは今日も元気だな」
    東海林は子供がいることでどこか心が安らぐような気がした。今までずっと1人でいたから、帰りにおかえりと言ってくれる人なんていなかったからだ。


    「おかえりなさい、武さん。今日はとんかつと海老のサラダよ」

    頭取の娘がキッチンで慌ただしく用意していた。
    「着替えたら手伝うよ、待ってて」
    東海林はそう言って寝室へ向かった。

    1人で服を脱ぎながら今日のことを思い出す。着物を着た春子は綺麗だった。だがもう自分には婚約者がいる。2度も裏切ることなんかできない。


    (ああー早く忘れろ、俺!!)


    頬を叩きシャツを脱いでパーカーに着替えるとまたリビングに戻る。


    「もうできましたよ、食べましょう」
    すでにテーブルには料理が並べられている。
    「おいしそうだな、手洗ってくるよ」
    「私も!」
    「ぼくもー!」

    和樹と日菜子も一緒についてくる、その姿がとても可愛くてしらずしらずに笑顔になる。


    本当はこんな平凡な毎日を望んでいたのかもしれない。それなのに春子に固執するあまり自分から茨の道ばかり選んできた。


    これからは穏やかな草原をゆっくり歩こう。


    「いただきます」

    湯気のわいたテーブルで東海林は両手を合わせて食事をとった。

    「海の底に、人間と魚の体をした「人魚」が住んでいました。
    ある日人魚は浜辺に出て遊んでいると、波打ちぎわに倒れている人を見つけました」

    春子は図書館で本の読み聞かせをしていた。今日は小学生対象に行なっている。
    演歌歌手だけではお金はたまらないので、司書として図書館にハケンで働いているのだった。
    「王子様は怪我をしていたので、人魚は手当てをしてあげました…」
    春子の読み聞かせは好評で参加者も以前の倍になったほどだ。感情をこめつつ、子供に親しまれる声で語っているからだろう。
    そんな中、遅れて来た家族連れがお話しルームに入ってきた。
    「すみません、途中でもいいですかー?」
    そう言いながら入って来たのは、東海林と2人の小学生だった。


    「まさかとっくりが読み聞かせとはな」
    「そのお子様たちは婚約者さんのお子様ですか?」
    「…そうだよ、和樹と日菜子って言うんだ」
    読み聞かせが終わり、片付けをしている春子に東海林から話しかけて来た。和樹と日菜子はお互い読みたい本を探しに行ってその場にはいなかった。

    「休日のパパのようですね」
    春子は嫌味まじりで言ったが
    「そうだろ、まさかいきなり2人の子供のパパになるとはな」
    そう軽く返された。
    「婚約中でまだ父親ではないのでは?」
    「そうだけど…あいつらといると毎日楽しいんだ、もう気持ちは父親だよ」
    その言葉が春子の心にナイフのように突き刺さる。

    「たけちゃーん、おまたせ!」
    和樹と日菜子は一緒に戻ってきて各々好きな本を抱えていた。そして春子と話していた様子を見て
    「おばちゃん、たけちゃんの友達?」
    和樹が尋ねると春子は
    「おねえさんです、ただの知り合いですよ」
    大人気ない返事をする、だが和樹は動じることなく
    「そっか、お友達なんだね!じゃあ教えてあげるよ、たけちゃんはもうすぐ僕たちのパパになるんだー」

    屈託のない笑顔で告げられる。


    春子は海に沈んだようにうまく呼吸ができず苦しくなった。



    そんな春子を東海林は寂しそうな目で見る。
    まだ浄化しきれない思いを抱えたように。
    そして3人は図書館をあとにした。


    本を片付けて元の場所へ戻しに行く。
    今日読んだ人魚姫の表紙を見て、ふと自分に重ねる。


    王子様に想いを告げられないまま、泡になって消えていく人魚姫。どこか自分のように思えた。


    だが、自分は人間なのに。好きな人を追いかけて思いを告げなかった。私は人魚姫以下だ。


    そんな風に自分を責めて、潤んだ目を擦りまた鋭い目に戻す。

    「今日はもう失礼するよ、お疲れ様」
    「お疲れ様です、東海林課長」
    東海林は最近仕事が終わると寄り道せずにすぐ帰っている。理由はいわずもがな婚約者とその子供たちが待っているからだ。

    会社のエントランスから外に出た時、歩道のポールにもたれている1人の女性に気がついた。

    「とっくり…」
    「こんばんは」
    春子はいつもの態度とは違いしおらしい様子で、東海林は何故か戸惑う。

    「どうしたんだよ、待ち構えていたような態度で」
    「お祝いを言いにきました」
    「え…?」
    春子は東海林を見つめて笑顔になる。
    「婚約おめでとうございます、どうぞお幸せに」
    今まで見たことのないような晴れ晴れとした明るい表情だった。
    「あ、ああ…ありがとう」
    「それでは失礼します」

    春子はそれだけ告げるとすぐに背を向けて去っていった。
    東海林はその背中を追いかけたかった。だが、自分にはもうすぐ家族になる人たちがいる。


    それでも、どうしても気持ちを抑えきれずに春子を追って腕を掴んだ。


    「おい、なんで急にそんなこと…」
    そう言って春子の体を自分に向けた時、涙の粒が
    飛んでネクタイに跳ねた。
    それは生まれて初めて見た春子の涙だった。
    いつも強気でロボットのような女が感情剥き出しで涙している。
    そんな姿を見て放っておけるわけなどない。


    気がつくと強く春子を抱きしめていた、一緒にいることはできない相手だとわかっているのに。
    「どうして、泣いてるんだよ…期待しちゃうじゃねーか」
    「わかりません…勝手に出てくるんです」



    本当は春子が好きで好きで仕方なかった、だけど春子には自分にこれっぽっちも気持ちがないことが辛くて虚しくて、一年前にいなくなったとこをきっかけに諦めようとした。


    それなのに、突然現れてお祝いの言葉を告げられたと思ったら号泣している姿を見せられた。

    こんなんじゃまた期待してしまう、俺のことが本当は好きなのかとー。


    「とっくり、本当は俺に結婚して欲しくないのか?」
    「……」
    春子は声を殺して泣いたまま返事をしない。

    「お前がずっと一緒にいてくれるなら、婚約解消するよ」
    卑怯な男だと、自分でも思う。散々癒しを求めておいて結局好きな女を忘れられないなんて。どんなに詰られてもいい、なにかを犠牲にしても手に入れたい人がいるー。

    抱き合ったまま、どのくらいたっただろうか。春子が閉じていた口を開いた。

    「私は…あなたのことがー」


    ピロリロリン、ピロリロリン

    春子の言葉を中断させるように携帯の音が鳴る。思わず東海林はポケットに手を入れて電話に出た。急ぐあまり、相手が誰か確認せず。


    「もしもし」
    「武くん、今会社?」
    その声は頭取の娘だ、なぜか春子といることがバレたのかと思ってしまい、ドキンと胸が震えた。そのせいか春子を抱きしめていた手を離してしまう。
    「いや、帰ってる途中だよ…」
    目の前の春子の顔が見れず、横目で不自然に返事をすると


    「和樹と日菜子がまだ帰ってきてなくて、学校にもいないの…」

    「ーーーえ!?」


    この時の選択が、東海林の人生にとって大きな分岐点となった。

    「和樹と日菜子が帰ってない…って、どこにいるんだ!?」
    「それがわからないから電話したのよ、武さんなら何か心当たりないかと思って…」
    あまりにも動揺しすぎて、会話が噛み合わない。東海林の携帯を持つ手が震えている。

    その会話と態度ですぐに異変に気付いた春子は、小声で耳打ちした。
    「落ち着いて下さい、学校は何時に終わったか聞いてください」
    「ああ、わかった」
    春子の指示を電話に向かって言ったせいで、また頭取の娘は混乱した。
    「わかったって何を?」
    「いや、こっちの話だ。2人の終業時間わかるか?」
    「2人とも3時には下校するはずなのよ」
    今はもう5時半だ、2時間半も経っている。一体どこへ行ったのかー…と、思っていたらまた春子が話しかける。
    「小学校の場所を教えて下さい。そこから移動範囲を計測します」
    春子に指示されて少し冷静になれたのか、東海林は同じセリフを伝えて小学校の名前を教えてもらう。
    2人は私立波薄小学校に通っていて、S&Fからそう遠くはない場所だった。
    東海林は一旦電話を切って学校の近くを探す事にした。
    「子供の足なら時速3キロほどなので、学校から7.5キロまでは行動範囲と見ていいと思います」
    春子は携帯の地図アプリを開き東海林に見せた。半径7.5キロというとかなり広くなる、この中から行きそうなところを探し出す…かなり苦しくないかと思いつつも子供が行きそうな、公園やデパートなどをピックアップする。
    「ちょっと、公園ってこんなにあるのか…」
    公園だけでも20もあった、これを一つ一つ回っていたら一日が終わってしまうほどだ。でも早くしないと事故や連れ去りが起こるかもしれない。
    「とにかく、しらみつぶしに探してみる」
    東海林は春子にそう言うと1人で向かおうとした、ところが腕を掴まれて引き止められた。
    「待ってください、思い当たる場所がありました」
    「…え?どこだよ」
    「区役所です」


    春子が携帯画面の地図を指さした、そこには世田谷区役所と書かれている。

    「和樹と日菜子が帰ってない…って、どこにいるんだ!?」
    「それがわからないから電話したのよ、武さんなら何か心当たりないかと思って…」
    あまりにも動揺しすぎて、会話が噛み合わない。東海林の携帯を持つ手が震えている。

    その会話と態度ですぐに異変に気付いた春子は、小声で耳打ちした。
    「落ち着いて下さい、学校は何時に終わったか聞いてください」
    「ああ、わかった」
    春子の指示を電話に向かって言ったせいで、また頭取の娘は混乱した。
    「わかったって何を?」
    「いや、こっちの話だ。2人の終業時間わかるか?」
    「2人とも3時には下校するはずなのよ」
    今はもう5時半だ、2時間半も経っている。一体どこへ行ったのかー…と、思っていたらまた春子が話しかける。
    「小学校の場所を教えて下さい。そこから移動範囲を計測します」
    春子に指示されて少し冷静になれたのか、東海林は同じセリフを伝えて小学校の名前を教えてもらう。
    私立波薄小学校に通っていて、S&Fからそう遠くはない場所だった。
    東海林は一旦電話を切って学校の近くを探す事にした。
    「子供の足なら時速3キロほどなので、学校から7.5キロまでは行動範囲と見ていいと思います」
    春子は携帯の地図アプリを開き東海林に見せた。半径7.5キロというとかなり広くなる、この中から行きそうなところを探し出す…かなり苦しくないかと思いつつも子供が行きそうな、公園やデパートなどをピックアップする。
    「ちょっと、公園ってこんなにあるのか…」
    公園だけでも20もあった、これを一つ一つ回っていたら一日が終わってしまうほどだ。でも早くしないと事故や連れ去りが起こるかもしれない。
    「とにかく、しらみつぶしに探してみる」
    東海林は春子にそう言うと1人で向かおうとした、ところが腕を掴まれて引き止められた。
    「待ってください、思い当たる場所がありました」
    「…え?どこだよ」
    「区役所です」


    春子が携帯画面の地図を指さした、そこには世田谷区役所と書かれている。




    「どうして区役所になんて行くと思うんだ!?」
    「行けばわかります」
    春子の自信ありげな表情を見ると、東海林はなぜか信じてしまう。そうやっていつも助けられたからだ。
    「わかった、急ごう」
    東海林はタクシーを拾い春子と一緒に乗った。そこでやっとさっきのセリフを思い出す。
    「婚約解消するよ」
    そう言った矢先に婚約者の子供たちが行方不明になっている。本当に婚約解消して、和樹や日菜子とも離れていけるのか。東海林はさっきの返事を聞きたくても今は自分の気持ちがわからず聞くことができなかった。

    そして春子もただ黙ったまま窓の景色を見つめていた。


    区役所まであと1キロほどの場所で、春子が突然
    「降ろしてください!」
    と、叫んだ。
    東海林が春子の方を向くと、指を指しながら
    「あそこにいました!」
    暗い窓の外を覗き込むと確かに歩道を歩く和樹と日菜子がいた。

    2人は急いで降り、和樹と日菜子の元へと駆け寄った。

    「和樹!!日菜子!!」

    東海林の叫び声に気付いた2人は大声で叫び走ってきた。
    「たけちゃーーん!!」
    しゃがみ込み2人を抱え込む、よく見ると目からは涙が流れている。きっと暗くなり不安で泣いていたのだろうと東海林は感じた。
    「何やってたんだ、2人とも…心配したんだぞ!!」
    「ごめんなさい…これをもらってきたの」

    そう言って、日菜子が手にしていた紙を広げて見せた。
    それは婚姻届だった。



    「え……?」

    東海林は当惑しながらその紙を受け取る。

    「ママがたけちゃんがパパになれないのはけっこんするための紙がないからよって言ってたの、だからどこにあるか聞いて取りに行ってたの」
    日菜子は目を潤ませながら東海林のスーツをぎゅっとつかむ。

    「でももう大丈夫だよね?たけちゃんパパになれるよ」


    東海林はきつく2人を抱きしめた。こんな小さな子供でも悩んだり考えたりしていた、そんなことも気がつかなかった自分を恥じながら、こんなにも自分を必要としてくれる子供たちを見捨てることはできない。

    東海林は立ち上がり、その様子を見ていた春子に視線を移した。
    そして深く頭を下げる。


    「ごめん……やっぱり俺は」
    「それ以上言わないでください!!」
    春子は東海林の言葉を遮った。そして首筋を抑えながら言う。


    「あなたは嘘がつけない人です、そんなあなたが好きなんです。だから……絶対に嘘つきにはならないでください」


    一筋の涙が頬を流れた、その光は流れ星のように一瞬で光りそして消えた。

    「あなたが幸せなら、私も幸せです」





    「春子……俺も好きだったよ」


    東海林からの過去形の言葉が春子の心を泡にした。きっとそれは少しずつ弾けて消えていくのだろう。


    春子は最後に笑顔を見せて、その場を去った。


    「…たけちゃん、あのおばちゃん好きなの?」
    日菜子が訪ねてきた、やはり女だからだろうか。何か感づいたようだった。
    東海林は小さくなる背中を見送りながら言う。
    「ああ、好きだったよ。最高の仕事仲間だ」



    家に帰ると頭取の娘が和樹と日菜子を抱きしめてしばらく泣いていた。
    「ごめんね、ママがあんなこと言ったから…」
    その言葉が気になり東海林は声をかけた。
    「あんなことって何…?」
    「……私が、なんでまだ結婚しないのって聞かれて、区役所に婚姻届を取りに行く暇がないからって誤魔化したから……」
    涙を拭きながら告げられて、東海林はふとその拭った手を見つめた。
    ひび割れができてあかぎれもできている、昔みたいにネイルもせず痛々しい手。それを見ただけでも、シングルマザーとして子供2人を育ててきた苦労が垣間見えた。
    東海林は一緒に暮らし始めてからのことをページをめくるように思い起こす。家も綺麗で、食事にも気を使ってもらい、洗濯だってしなくていい。家のことを完璧にこなしながら子供の世話もしている。
    そんな彼女にたいして、答えを出さずにふわふわしていたのは自分だ。


    答えを出すことから逃げられる辛さは自分がよくわかっていたはずなのに、同じことを他人にしてしまうなんて……。

    東海林も跪き、みんなと視線を合わせた。

    「ごめん、俺が1番悪いんだ。バツイチだから慎重になろうなんて言い訳だった。結婚しよう」


    「武さん…」


    「たけちゃん、ほんとに!?」
    「やったあ!!じゃあ今からパパって呼ぶ!!」
    「おいおい、気が早いなぁ」


    翌日、東海林は婚姻届を提出して1ヶ月後には親族で式を挙げて、1年後には東海林そっくりの子供が産まれた。







    その頃、春子はスペインに移住して演歌歌手として活動していた。演歌はスペイン人にうけがよく、今日もライブを見に大勢の客が来ていた。


    「今日は新曲を歌います、タイトルは『あばよ、くるくる』です」



    ♪東京行きののぞみに一人で乗った
    涙止まるまで山手線2周した
    あなたについていくと誓ったけど
    2人の未来は別々のドアだった
    あばよ、くるくる
    メリーゴーランドに乗った2人
    どんなに回っても追いつかない
    あばよ、くるくる
    愛しているからさよならさ
    幸せ願って歌います♪


    客席からは大きな拍手が沸いた。







    しゅ Link Message Mute
    2021/01/15 12:50:24

    フィアンセ

    東海林と春子が再開してからの話。
    シリーズで書いていたので6ページになっています。


    #ハケンの品格 #二次創作 #東春

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