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    しおり
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    しおり
    水晶の占いは箱に落ちた愉しい未来と偶像が踊る祝祭日/twサクラ誕THE DESTINIESFALL IN THE BOXHOME SWEET NIGHTFUTURE OR OLD AGESEVENTH HEAVEN WITHPOLE DANCER SAKURAPRECIOUS YOU
    THE DESTINIES
    水晶は嘘をつかない


    下忍になったばかりのころ、家から遣いに出されたときのことだ。
    「ちょっとぼうや、」怪しい老婆が言う。
    「あんたには運命の相手がいるよ」
    「はっきり見える。」
    「雑草みたいにしぶとい根性の持ち主」
    なんだそれ。
    「だけど花のようにきれいで可愛い子だ」
    …それ半分しか当たってないぞ。


    蛇から鷹へ変わろうとしたころ声をかけられた。
    「久しぶりねぼうや、」怪しい女が言う。
    「お相手とはどう」
    「相変わらずよく見えること。」
    「ああ、元気そうだわ。髪を切ったのね」
    勝手なことを言うな。
    「だけど今は泣きそうな顔をしているわ。可愛いわねえ」
    …あの泣き虫。


    サスケとサクラが二人で旅をしていたとき。
    「あらご両人」魔女が笑顔でこちらに近づいてくる。
    「ようやく連れてきたわね」
    「やっぱり花のような子。」
    「だけど中身は頑丈。雑草みたいな強さが磨かれている」
    その通りだ。
    「仲良くおやり。」
    ああ。


    魔女の言祝を受ける。
    「サスケくん、今のひとって知り合いなの?」
    「水晶で運命を見る魔女だ。」
    「え?」
    「オレたちの最初の子は女らしいぞ」
    「えっ?」
    運命の紡ぐ糸は彼女に繋がっていた。


    数多ある道の先で、サクラだけは揺るぎのないサスケの運命だった。




    FALL IN THE BOX
    「服を裂かれて手錠で拘束され、泣きながら脚をひらいている」
    ――罠に落ちた二人


    さる金持ちの依頼で彼らはやって来た。
    操作スイッチを失くしたという絡繰り屋敷。内部に設置された解除ボタンを押せば全てのカラクリは停止するという。
    『さぁ、下忍とは言え一般人が用意したものなんだから、おまえたちだけでも突破できるでしょ?』
    カカシの教師面がサスケは気に食わないが、言われるままに子供たちは三人で進んだ。

    「避けろ!」
    「きゃ!」
    「うわ!」
    飛矢からサクラを庇ったサスケもろとも、ナルトを残して二人は床の穴に落ちて行った。暗転。

    サクラを守りながら落ちたつもりだが、放り出された先は覚悟した固さがない。
    柔らかく軋んだ音は衝撃も少なく、サスケの体は僅かにバウンドさえした。
    「サスケくん…」
    「大丈夫だ」
    サクラの頭が頬に当たる。髪の柔らかい感触にぎょっとしたが、無闇に動くことはできない。

    「サクラちゃん! サスケェ!」
    壁の奥から微かに声が伝わってくる。
    「動くなドベ!」
    「あぁ!?」
    「無闇に動き回るんじゃねえ! カカシと合流しろ!」

    『最初は三人で行きなさい。一時間したらオレも追いつくから。』
    いまいちあれは信用できないが一人よりツーマンセルで動く方がマシだろう。
    ナルトは文句を言っているが聞こえない。サスケは体勢を直し闇に眼を凝らそうとした。瞬間、目映い光に眼をやられた。

    カシャリ、金属の触れる音。
    「!」
    「え?」
    サスケは投げ出された台座の上から身を翻して床に滑り降りたが、遅い。
    (しまった!)
    両腕が背中で拘束されている。今の音はこれかよ。
    サクラはもっとひどい。手だけでなく足首にも鉄の輪がある。この部屋は侵入者を拘束して押し込めておく絡繰り仕込みだったのか。
    「チッ」
    道理で窓も扉もない部屋なわけだ。密封された箱のような場所。無駄な豪華さで飾られたおもちゃ箱には人物画が威圧する。精巧な眸が不気味だ。サスケは周囲を睨んだ。
    どうもおかしい。中央の台座には天蓋が備えてあり、敷き詰められた布の上に横たわるサクラの姿が妙に引っ掛かる。意図が読めない。この部屋は何だ。

    「サスケくんどこ…?」
    拘束のため強制的に仰向けにされたサクラは床に膝をついているサスケの姿が見えない。
    「ここだ」
    声をかけた途端に、カシャリ。カラクリには続きがあった。
    サスケの足に新たな鉄輪、ご丁寧なことに今度は重しがついている。続けて蛇のようなカラクリが壁の一角から伸びてきた。
    「やだぁっ」
    サスケを囲むと同時に、ベッドの上ではサクラの手足を縛る鎖が動きだした。手は頭の上に、足は左右に引っ張られ、痛みはないが不安が募る。
    四方の柱から新しい器具が飛び出た。カシャリカシャリと音をたて、蛇のようにサクラを囲んだ。意志があるかのようなカラクリの先に、細い刃が光った。
    「クソッ」
    重しのついた足を軸に蹴り上げれば目の前のカラクリは壊せた。サスケは足を引きずって振り返った。
    「サクラ!」

    服を裂かれて手錠で拘束され、サクラは泣きながら脚をひらいている。

    「みないで…!」
    吊られた腕の頼りなさ、晒された羞恥は彼女の首もとまで赤く染めている。カラクリの刃が臍の下に潜ろうとしているのが眼に映り、サスケは暴ぜた。
    サクラに群がるモノを粉砕する。反抗を予想しないそれらはあっけなく散った。
    知らず発動していた写輪眼が天蓋の撮影機に気付く。
    怒りが体を支配する。
    腕は動かないが指は動かせた。煮立つ感情のままに火遁を吐く。刹那に調整した火矢は細く鋭い。火事になれば自分はともかく四肢を拘束された彼女は逃げられないだろう。思わず振り返り眼が合った。
    「すまん」

    真っ赤な顔に涙を流したサクラはサスケの早業に眼を奪われた。
    彼は鉄の鎖から逃れたのに自分はカラクリにされるままだ。みっともなく足を開いて、服までこんな、サスケくんの前で恥ずかしい。
    でも助けてくれた。最初から、ずっと。
    「ありがとうサスケくん」
    背中だけでも、顔が見えなくて腕が拘束されていても、サスケくんは格好良いなぁ。
    「見ないでなんて言ってごめんなさい」
    「いや、」
    背を向ける彼が好きだ。腕に当たる柔らかい敷布は気持ちが良い。少し冷静になれた。
    まぬけな姿を晒しているが同じ空間にいるのが彼ならいい。
    サクラの涙は止まった。深呼吸。
    「オイ動けるか」
    背中が問う。
    「ちょっと、待って、」
    慌てて眼を開ける。動けるかな。
    「んん、ふっ」
    息遣いと軋むベッド。
    「んーっ、」
    はぁ。
    「何やってるんだ」
    渇いた少年の声。
    呆れてるよねサスケくん。わたし何もできずに足手まといで、
    「ごめんなさ」
    「動けないんだな」
    「うん…」
    素直に言え。変な声で焦らしやがって。
    「おまえ今どんな格好なんだ」
    「えっ?」
    「その、見られるのが嫌なんだろ」
    「……いいよ、サスケくんなら」
    そうじゃない。いや――、他のやつが来たらどうするんだ。サクラを隠すものがない以上オレがやるしかない。
    「じゃあ見るぞ」
    強い視線にサクラはたちまち両目を閉じた。

    ぴたりと張り付いた下穿き、無理な開脚が彼女の柔らかな曲線をサスケの眼前に曝け出している。
    サスケは観察に徹した。
    裂かれた布地の隙間から白い肌が見える。服を裂き、ファスナーを下げ、裾を捲りあげて何をする気だったのか。出来るだけ肌を露出させるようカラクリは造られていたのか。
    幸い全ては途中で止まっているが、カメラが用意されていたことを思うと意図が見えて胸糞悪い。
    サクラの頬は涙で濡れている。。
    「………」
    体は無事らしく切り傷は見当たらない。下着の類も大丈夫そうだ。少しほっとしたが、今だってこんなに体を固くして、赤くなって恥じらってるんだ。ひとに見られるのは嫌だろう。
    身動きの取れないサクラは服の乱れが直せない。
    手は使えないが……、少しでも肌を隠せばいい。

    「直してやる」
    「へ?」
    「オレがいいと言うまで、そのまま眼を閉じてろ」
    サスケはまずサクラの足の間に座り込んだ。重心を落とし、捲れ上がったままの上衣の裾を噛む。彼女に触れないよう注意をして、上体を後ろに引く。口を開けばサクラの前に裾が落ちた。大きく息を吐く。これで下が隠せた。思った以上にきつい作業だった。
    次は更に厳しいので呼吸を整える。
    ギシリと重みを知らせる音。

    なんだか、怖い。サスケくん何をしてるの?
    空気が触れる気配がする。
    熱が近い。
    サスケくんが、わたしに触れてる。体の上にいるのを感じる。
    かちり、小さな金具が片側で鳴った。
    あ、これって服のファスナーの音? サスケくん、わたしの服を直そうとしてくれてるの?
    サクラは出来るだけ腰を捻りサスケに身を任せた。

    ジイ、ジ、ジ……。
    長い時間が経ったのか、それとも短かったのか。ゆっくりとファスナーが引き上げられる。
    少しずつしか動かない金具の音、サスケの息づかいが近い。自分の心臓がうるさい。
    聞こえてくる一音一音にサクラは泣きたくなった。悲しいのでも怖いのでもないのに胸が苦しくて辛い。瞳の奥が熱い。

    …サスケくんは優しいな。
    わたしは恥ずかしい。
    かっこよすぎるよ。
    大好き。
    やっぱりだめ。どきどきする。
    頭変になりそう。
    だって、体の感覚がおかしい。彼が近い場所がふわふわと痺れていくみたい。
    服を直されてるだけなのに、変に熱くなってるのは何故?
    怖いくらい、真っ白な感覚に溺れる。

    「っ!?」
    ふいに体が重なった。
    サスケの髪が肌に当たる。拘束が取れたのだ。カカシかナルトが解除ボタンを押したのだろう。
    「わりい!」
    重みと熱が勢いよく離れる。眩しくて、眼がちかちかする。サクラは頭が働かない。
    「オイ。おまえ何で泣いてるんだ」
    「あ…」
    サクラは両眼から涙を流していた。
    舌打ちが漏れる。
    クソ。そんなに嫌なら嫌って言えよ。
    「サスケくんちがうの」
    「あ?」
    「わたし頭真っ白で、なんか怖くなっただけなの。大丈夫なのに、泣いちゃってごめん」
    次の舌打ちは胸のうちに留めた。怖いって、やっぱりオレじゃねえか。
    「いいから、泣くな」
    「うん」
    サクラは濡れた瞳のまま笑みを作った。

    「まだ動けないのか?」
    「…うん。ちょっと、痺れてて」
    サスケは何も言わずに乱れた襟元を直し、サクラの両足を掴んで揃えた。
    驚くサクラと眼が合ったが、彼はそのままサクラの手を取って、様子を窺いながらその手を胸のうえに降ろした。
    「少し休んでろ」
    「はい」
    乱暴に目元を拭ってから、彼はまた背を向けた。

    サクラの全身を先ほどとは違う種類の痺れが襲う。ゆっくりと力を抜いてサスケの背を見つめた。
    やはり彼ならいいと思った。

    カカシが来るまで彼は背を向けたままだった。




    HOME SWEET NIGHT
    家に帰る愉しみ


    深夜の帰宅に、荷物のなか鍵を探すことが少しばかり面倒に感じた。ただそれだけのことでチャクラを使い音もなく家の中への侵入を果たしたサスケを迎えたのは、風呂上りにタオル一枚で牛乳を飲む妻の姿であった。
    突然の出現に、眼を丸くして固まるサクラに劣らずサスケも驚いたが、十年前なら騒いで煩かったろうが今なら、いやいっそのこともう十年、いや二、三十年も経っていれば互いのずぼらさを笑って注意できたのだろう。
    サクラは含んだままの牛乳をごくりと嚥下してようよう声を発した。
    「お、おかえりなさい、アナタ、」
    コップ片手に適当にタオルを引っ掛けている妻は色々と見えてる。胸の膨らみや大事な処がいくつか。唇には牛乳の跡もついているが、サスケは笑えなかった。
    「…見えてるぞ」

    無味乾燥に聞こえる声の色を、妻は正確に読み取った。
    このときサクラは明朝に重要な会議を控えていてできれば夫のそうした相手はしたくなかった。すちゃっとタオルで前を隠し、「うがい手洗い!」と叫んで逃げる。
    夫の空気は予断を許さないものであったが逃げるが勝ちという言葉もある。
    サクラの濡れた肩、湯で温(ぬく)められた肌の匂い、丸い尻にしたたる水滴にサスケの眼が反応する。任務でもあるのかサラダは家にいないようだ。

    「………」
    明確な距離を開けられ、どうしてくれようかと思いはした。
    せっかくの夜を逃がしたくはないが、盛のついたガキではないのだから。舌打ちを隠して荷物を下ろし、サスケは大人しく洗面所に向かった。
    「アナタもお風呂どうぞ」
    「サラダはどうした?」
    「ボルトたちと任務よ。明日には帰る予定だから、夕食には会えるわよ。アナタ食事は? 何か食べる?」
    「…いや、飯はいい」
    あくまで姿を見せないよう距離を保って声をかけてくる用心深い妻に少し呆れる。まぁそんな態度を取らせるのは自分のせいだと分かっているが。
    言われるまま風呂に入る。
    浴室は使われたばかりで湿度が高い。もわりとこもる湯気に、サスケは炙られる心地良さを感じた。女の匂いが充満している。
    湯船に顔をつける。妻はつい先ほどまで何の憂いもなく湯に浸かっていたのだ。

    「アナタ、お湯加減どう?」
    「大丈夫だ」
    「うん。あの、わたし明日の朝早いから、その、ごめんね」
    「…わかった」
    ドア越しに尋ねるサクラはどんな表情をしているのか。サスケの答えを聞いても磨り硝子の向こうから動かない。
    そう煽ってくれるな。オレが好きなくせに、寄ってきては背を向ける。
    「忙しいんだろ。おまえは休んでろ」
    サスケは優しく聞こえるよう言葉をかけた。
    「ありがとう。おやすみなさい」

    サクラは安心して横になり、サスケの帰宅を喜びながら眠るだろう。寝顔までありありと想像できる。
    「……」
    感じる昂まりは苦しくも愉しくもあった。抱いてもいい女がすぐ傍にいる。たとえ眠っていても、サスケが求めればサクラは拒絶しきれない。勝てる試合だ。
    「…ふん」
    サスケは短気な男であったが執拗なほどの意志の強さも備えていた。
    妻の姿、驚く顔を反芻する。風呂上がりの無防備な女はいい。やはり本物は良い。
    口角と股間が自然に上がる。一人旅の最中に覚える辛さは、安全な我が家では欲求への良いスパイスになる。明日の夜、彼女がどう出るかを想像すれば笑みは深まる。
    今夜は逃がしてやろう。
    サスケは雄の顔で笑った。
    熱は治まらないが、旅の疲れは忘れられた。

    「髪を洗ってくれないか」
    親子三人で取る夕食の席でサスケは事もなげにサクラに頼んだ。隻腕である彼の頼みは別段おかしなことではない。
    娘がどこか嬉しげに見上げる先には顔を火照らせる妻がいた。
    「もう。アナタったら、どうしてサラダの前で言うのよ」
    (それの何処がわるい)
    口では文句を言いながら従順な妻の態度にサスケの機嫌は良い。
    羞恥を隠せないのに言われるまま裸になるサクラ。これが見たかったのだ。ずっと。
    我が家はいい。妻と過ごす時間はさらに。
    二人の夜はとても長い。




    FUTURE OR OLD AGE
    One future.


    やはり彼女の生命力は三忍の中では弱く出来ていたのか。それとも百豪の術の弊害が彼女の体を人知れず蝕んでいたのだろうか。
    うちはサクラの人生は突如として幕が降りた。
    性質のわるい風邪らしい。医者の不養生だと言って笑っていたのに床につくようになり、横たわる彼女のそばでサスケは手を握っていた。
    夫を見上げ、「ありがとう」と言った彼女の表情は満ち足りていた。結局それが最期になった。
    彼女は静かに息を引き取った。
    サクラが――だなんて、信じられない。

    ナルトは真っ赤な目をして嗚咽が止まらない。夫の背を支えるヒナタもハンカチで目元を押さえながら参列している。いのの目も赤く、時折、寄り添う夫に何かを呟きながら悲しみの列にいる。
    サラダは辛うじて気丈さを保ってはいたが、それでも悲しみの底に沈む父に掛ける言葉が見つからなかった。サスケは棺だけを見つめている。
    高名な医療忍者である彼女を思慕する者は多い。治療を受けたことのある患者、風影やカンクロウといった他里の有力者も必ず弔問に訪れるだろう。客の数を見越してシカマルが会場の用意を告げてもサスケの反応は鈍かった。無理もないと、誰もが彼を気遣い休むよう声をかけていた。
    一年も経たずに彼は妻の後を追った。

    「あいつってば短気だからなぁ」
    ナルトもサラダもいっそ穏やかに葬儀を執り行った。

    サスケの魂は雷光のように駆けていったろう。彼岸で彼らはありし日のように再会を喜ぶのだろう。それとも彼女は、堪え性のない男を昔日のように叱っているのだろうか。
    ナルトは少しだけ笑みを溢した。
    目尻に浮かぶ涙には置いていかれる者の寂しさと淡い羨望が滲んでいた。

    遅れること半世紀、大往生の七代目火影は大勢の里の子らに見守られ、その魂は若々しい姿となって懐かしい友に会いにいった。
    新三竦みと謳われた英雄達への憧憬は火の意思となって繋がっていく。
    いずれの日も木の葉の里は平和であった。

    蒼空はどこまでも広がっている。










    The other old age.


    火影が亡くなった。輝かしい功績に比べ、早すぎる訃報に皆言葉を無くした。サスケでさえ耳で聞いた情報が信じられず、知らせた者に「確かな話か」 と聞き返した。
    任務のこともあって先にいくのは自分だろうと考えていた。油断と言っても良い。木の葉にいる彼らは絶対に安全だとどこかで盲信していたのだ。
    里に戻ればあうんの門で妻が待っていた。

    「ナルトの分も、わたしたちが里を支えましょう」
    憔悴した顔で言われ、友の死を実感する。医療忍者であり、最も近しい友であった彼女の辛さは言うまでもない。悲しみを共有すべくサスケはその身を抱き寄せた。
    「そうだな」
    オレたちまで何かあれば、あのウスラトンカチも安心できないだろう。脅威はまだ少なからず残っている。サスケは妻を抱く手に力を込めた。
    自分が生き残るのなら彼女にも気をつけて貰わなければならない。
    サクラがいなければ無理なのだ。この存在がなくなれば己はどうなるのか、想像するだに恐ろしいことだ。
    細い体を守るように、縋るように引き寄せる。生きることは時に死より辛い道だ。サスケはよく知っている。
    自分より大きく逞しいその背をサクラは優しく撫でた。

    覚悟を持って歩めばサスケはいつまでも精力的に戦い続けることが出来た。
    時にサクラも里の外に出て、彼の仕事をよくサポートしてくれた。時の流れはゆっくりと二人を包み、晩年は驚くほど静かに過ぎていった。
    老いた妻の髪に白いものが増え、花のようだった髪がいつしか雪化粧を刷くようになり、桜の花弁のように淡くほんのりとした髪色が白と混ざった様子を眺めているとき、サスケは過ぎし日を思い口の端を歪ませる。年を取ったものだ。彼女も自分も。
    夫の熱心な視線にサクラはじんわりと微笑む。

    「いやだ。そんなに見つめないで」
    老境に差し掛かっても男の髪は黒々としており、髪に白いものが出たのは彼女の方が早かった。サクラが気にしていることは知っていたが、妻の髪はいつどんなときでも好ましく映る。…ほんとうに綺麗だ。
    今ではサスケの髪も色艶を失い白髪もずいぶんと増えた。サクラがうっとりとした顔でサスケを見つめ、「ロマンスグレー」と呟いたときは閉口したものだ。
    実は似たもの夫婦なのかと思う。サスケはつい見つめてしまう。お互い様だな。彼のそれも習い性と言えた。
    そういえば昔はもっと、ばれないように見ていたはずだ。彼女の髪や表情、好ましい眸の色の全てを。
    時間の変化は髪だけではない。見えない場所まで愛でるのはサスケの数少ない愉しみだ。
    サクラの瞳がなんと訴えてもサスケは視線を外さない。微笑で隠しながらも羞恥を抑えきれなくなっている妻の様子に、彼はとうとう笑みを零した。
    “おばあちゃん”と呼ばれるようになってかなりの年月が経ったというのに、サスケには変わらない反応を見せるサクラ。
    妻に手を伸ばし、白い頭を己の胸に引き寄せる。

    「オレが苦労させたからだな」
    囁いて、キラキラと陽に透ける髪を存分に眺める。目尻の皺すら愛おしい。人生のほとんどを共に生きた伴侶。二人の時間は今も同じ速さで流れていく。その幸福を思う。

    「若いころは確かに苦労したけど、もうずいぶん長いこと、とっても幸せよ」
    サスケは指の腹で妻の額を二度ゆっくりと撫でた。サクラはまた嬉しげに笑う。
    主語を言わない会話にもすっかり慣れたものだ。

    二人ともが幸福な、春の近いあたたかい日の午後だった。




    SEVENTH HEAVEN WITH


    They are NANA-HAN GIRLS! ... and He?


    彼女たち三人のユニット名が決まった。
    メンバーの共通項からこの三人は“seventh heaven”だ。これ以上のものは考えられない!
    シーンによって表記方法は変えるが正規は小文字。略称はセブンス。デビュー曲も同タイトルで行くよう進行中である。

    さる高名な占い師にユニット名についてアドバイスを貰ったところ、メンバーと関連のある数字が吉という結果が出たのだ。
    彼女たちが所属するレーベルの社長は漠然と「七」が良いと考えていた。これはただの直感だが業界ではこういう直感こそ大事なのだ。
    そこでメンバーに関連のある数字ということで、ヒナタ17+いの50+サクラ39=106→1+0+6=7という計算結果に社長よっしゃあ! という流れである。先の占い師に確認して貰えばこの名前こそ彼女たちにとって末広がりの大々吉。メンバー全員の幸福は確実であり、所属する事務所も更なる発展を遂げゆくゆくは全国民が彼女たちを末長く祝福するようになるとのことだ。グローリア!
    更に言えばこのseventh heavenには“第七天国”という意味があり、まさに彼女たちのイメージにぴったりだとプロデューサーも絶賛。三人の透明な歌声と可愛くて複雑なダンスがもたらす心地の良い空間。彼女たちは渦巻く薔薇の花弁のような、甘く謎めいた天上世界を見るもの聞くものに与えてくれる。
    関係者一同が諸手をあげて迎えたネーミングのおかげか、三人はティーンズを中心に幅広い層から支持のあるトップアイドルの仲間入りを果たした。テクノポップとキレのあるダンスが人気を博し、あらゆる年代の男女問わず、海外ツアーも成功した実績のある女性アイドルグループとなった。

    一方で最も人気のある男性アイドルと言えばまず挙げられるのが“KONOHA”だ。メンバーはナルト、サスケ、サイ、シカマル、我愛羅の五人組。異なる個性を持つ魅力的な五人は歌って踊れる正統派アイドルだ。全国民の弟という立場を数年前からキープしてきた大手プロダクションに所属する彼らは、人気実力ともに芸能界ナンバーワンのアイドルグループである。

    さてそのセブンスのさ~ちゃん(ダンスを覚えるのは三人のなかで一番早い、優しいピンクのボブカット。ちなみにライブなどのMC担当は金髪のポニーテールいのっちである)こと春野サクラと、KONOHA一のイケメン――声よし芝居よしダンスのキレありまくりの高身長アイドルマシーン。愛想だけややなしを補ってあまりある顔の良さは、たとえ叩き売りをしたとしても大量に在庫が確保できてしまう超絶イケメンアイドル――うちはサスケがどうやらお互いを憎からず想い合っているらしい。という噂がある。
    その道の情報通が密やかに、まだ笑顔で話をしているところを見ると火種は小さい。しかも聞くところの内実はお友達の域を越えていないようだ。二人とも絵に描いたような美男美女だのに今まで浮いた噂は一つもなかった。もし成立すれば芸能界でもめったにないほどの美形カップルの誕生だ。もしかしたら成立したときの絵面の良さだけで噂されているのではないかと言われるが、彼らに近しい関係者の間でもこっそりと取り沙汰される微妙な問題である。

    その二人が某ドキュメンタリー番組で共演することになった。オファーにはセブンス側からうちはサスケへの強い出演要望があったという。
    その番組とは某公共放送による『天才人形師サソリの造る「櫻」、三年に渡る軌跡』へのゲスト出演である。
    『櫻』はサクラと同じ薄紅色の髪をした美しい娘人形だ。
    そしてサソリとは、あの人形浄瑠璃の若手人形遣いの実力者であり、今回三年もの月日をかけて自ら創った人形『櫻』の完成記念ドキュメンタリーの主役となっている。
    つまり自身と同じ名前を付けられた人形のそのモデルこそ、セブンスの春野サクラそのひとである。
    彼女はこの番組のゲストに呼ばれたとき、共演者を一人、同席させてくれるよう頼んだ。うちはサスケにそばにいて欲しいと。

    もともとのきっかけはKONOHAのリーダーである我愛羅だった。
    古くからある伝統芸能の家に生まれついた彼には優秀な姉と兄がいるが、末っ子ながら彼もまた能力の高さゆえに幼いころから周囲の期待に応えるよう求められていた。
    それが一転してアイドルになると言い出したのだ。当然のように彼は周囲から猛反対にあった。
    幸いにも優しい母の仲介があり、姉のテマリや兄のカンクロウも我愛羅の熱意に気づくことができた。そうして頑固だった父も末子の意思の強さを認めるようになり、今日の彼、KONOHAの我愛羅がいるのだ。
    彼は才能豊かな好青年として己の夢に邁進している。幼いころから大人に囲まれていた我愛羅は、現在の職種についてようやく友人と呼べる存在も出来た。
    器の大きい少し天然の気のあるおっとりとした彼を同メンバーや周囲の人間がサポートしてくれる。KONOHAのメンバーはみな兄弟のように仲が良い。
    なお、同じく音楽業界に進んだ姉のテマリと家業を継ぐため日夜修行に励むカンクロウと我愛羅たち三人は、本当に仲の良い姉弟として各々の道に励んでいる。

    そういった紆余曲折があったせいか、我愛羅は兄カンクロウの舞台があれば、スケジュールの都合をつけて観に行くことがよくあった。姉のテマリとも一緒にだ。
    その日も本当は我愛羅とテマリが出かける約束だったが、我愛羅のスケジュールに急な変更が入ったため、テマリはダメ元で、セブンスのサクラにLINEを送った。
    テマリとサクラは我愛羅とも共通の友人である。
    サクラに以前、弟の公演のことを話したら、仕事に関係なく観てみたいと言ったことを思い出したのだ。
    すぐ既読マークがつきメッセージが表示された。

    『お誘い嬉しいです。スケジュールが急に空いて明日まで予定なかったんです』

    年に一度あるかないかのグッドタイミングだ。
    テマリは鼻歌でリズムを取り、本気でバレないような、かつトップアイドルの彼女と並んでも見劣りのしないコーディネートを選び出した。
    サクラといると気分が華やぐ。
    初めて彼女を見たときなんて美人なのかと目を見張った。アイドルのレベルは凄いもんだと感心した。
    そんな美しいアイドルの見本のようなサクラは、少ない友人を非常に大事にする。
    ブラウン管でのサクラはクールビューティーと勘違いされやすいが、実はただの人見知りのちょっと不器用な女の子だ。
    カメラの前とは異なる顔を見る度に、テマリはなんとも言えない気持ちになる。芸能界で気の置けない同性の友人は貴重だ。懐いてくれる美人は眼にも楽しい。

    サクラは本当に嬉しそうな様子で待ち合わせ場所に現れた。髪を一つに縛りつばのあるハットと濃い緑のフレームをした眼鏡が彼女によく似合っている。変装しながらも可愛い姿に(彼氏でも男でもないが)満足する。我愛羅も可愛いところのある弟だが、本当に可愛い女の子とのデートは良いもんだ。

    「テマリさん!」
    本当は我愛羅が来る予定だったと聞いたがスケジュールが押してしまったらしい。彼は今ドラマの主役で忙しいのだ。
    「我愛羅くんは残念ですけど、テマリさんとのデートはとっても嬉しいです」
    「可愛いことを言うな。送り狼になるぞ」
    「え、テマリさん今夜はお泊まりできるんですか? オフに会えたのも嬉しいのにこういうの久しぶりだし、わたしだけなんてもったいないかも。いのとヒナタも呼びたいけど、二人とも実家だって言ってたし、でもあの、テマリさんほんとにわたしと遊んでくれるんですか?」

    気を許すと饒舌になるサクラ。嬉しそうな顔はどこか遠慮がちだ。セブンスのメンバーは性格の違いはあれど三者三様の魅力があってまことに可愛らしい。
    こんな妹が欲しかった、いや今も欲しいと切実に思うが、現役アイドルのプライスレスな笑顔を前に、弟達にはまだやるまいと誓うテマリである。
    そういう趣味はないが男兄弟しかいないテマリにとって、一人娘の箱入りアイドルは女の子の夢全開の愛らしさがある。KONOHAのイケメン(あの男も本当に目の保養になってイイ!)の噂は聞くが、願わくばもうしばらく誰のものにならず女の子の夢でいて欲しいと切に思う。(しかしこの二人のツーショットは欲しい! 欲しいぞパパラッチ!)(いかん我愛羅に頼もう。)

    「よし。じゃあ舞台が終わったら軽くメシを食べて、今夜はわたしの家に泊まりでいいか?」
    きゃあ嬉しい! と声をあげるサクラに心を擽られてしまうテマリである。

    急なスケジュール変更にスマホを見たらテマリから連絡が入っていた。彼女は用がなければあまりLINEは使わない。
    (前に観てみたいと言ったことを覚えててくれたんだ。)
    急なオフも嬉しいが、憧れの女性との約束はもっと嬉しい。シートに座り、客席の明かりが落ちるとサクラは眼鏡を外した。
    ――初めて見る古典の世界に彼女はすぐに引き込まれた。

    「とっても、とっても素敵でした」
    パンフレットを手にサクラは素直な興奮を話す。
    「あのお人形もすごく可愛いのに、きれいな女のひとの表情になって、三味線もすごく素敵。太夫さんの声も、おじいさんの声なのに、すごく悲しげで、なんていうか、本当に感動しました」
    人形の左遣い(左手を操る)であるカンクロウは顔も見せない舞台であり、伝統芸能というものは初めて見る者には難解かもしれない。だがサクラは人形たちの仕草、太夫の声、三味線の音色に涙を落とした。
    これが一年前の話。

    今日はカンクロウの先輩であり稀代の人形遣いサソリの独演会である。
    後輩であるカンクロウも出演するし、サクラのスケジュールの都合もついて、我愛羅とテマリも一緒に観に行くことができた。サソリの独演会は非常に貴重な見応えのある舞台らしい。
    カンクロウの尊敬する主遣おもづかい(人形のかしらと右手を操る)である彼はいずれは人間国宝になるだろうと言われる天才だが、同時にちょっとした奇行の目立つ問題児であった。
    彼は連綿と続く伝統よりも己の追及する芸道に没頭するいわゆる芸術家肌タイプだ。先輩や年長者を立てることはそれなりに出来るが、いわゆる生活感などといった愛嬌の感じられない人形遣いにしては顔の良い、自身も人形のような男だ。(ファンの女性陣や玄人衆は彼のそこをお気に召しているらしいが。)
    とりわけ彼が考案した一人傀儡とあだ名される出し物で、彼は三人で行う人形繰りを唯一人で行ってしまう。これは度々問題となるのだが彼は一向に止めようとしない。それどころか年を重ねるごとに工夫を凝らしているらしい。
    本業である三人繰りの主遣いの動きも呼応するかのように研ぎ澄まされていく。彼と組む左手と足は、自分たちが人形を操っているというより、サソリに操られているようだと述懐する。恐ろしいほど業の冴える、困った操演者である。
    浄瑠璃人形の古くは一人で操作するものであった、そう言って彼を擁護する者もいるが、やはり彼は異端である。

    若くして主遣いに昇格したサソリは童顔の三十五歳。彼は常に永久の美を求めて人形を操り、時に自ら理想の人形を作ることを趣味としていた。三人で行う人形操りでは己の思うような操演ができない。だから理想どおりに動く人形を作る。左手と足も己一人で操りたい。それだけのことだ。
    だがサソリはついに理想の人形に出会った。己が今まで人形を造っていたのはこのためだった。

    「いやだ、離してください!」
    娘の口からこぼれた悲鳴も良かった。鈴の転がるような声音、とはこういう啼き声だろうか。
    抜けるような白い膚、若葉のような淡い瞳、櫻色の髪が揺れる、その軽やかな繊細さ。
    これだ。これを己の人形として美のなかに閉じ込め、その美しい人形を思うままに操る。それはどれほどの快感と、幸福を己にもたらすだろうか。
    それをするまでこの腕を離さない。サソリは小柄の体に秘めた情熱のままに手を握りしめた。
    娘は泣きそうな瞳で男を見返した。サソリの背中を更なる興奮が走る。
    カンクロウと我愛羅、テマリが口々に制止の声をかけ彼の腕を離そうと手を掛けるが、楽屋の入り口で始まった騒動はなかなか治まらない。

    「サソリ、その手を離しな!」

    チヨ婆と呼ばれるサソリの祖母の一喝が轟くまで、カンクロウの楽屋に挨拶にきてくれた貴重な文楽ファン、人気アイドルseventh heavenの春野サクラの白い手を、サソリが離すことはなかった。

    その後もたいへんだった。創作意欲に火がついた彼は公演スケジュールも全てキャンセルしかねない勢いで、海外公演の予定もあるというのに関係者一堂は彼の意思を聞いて発狂寸前。そもそも彼女は一人形師にどうこうできる暇人ではない。だがサソリは、芸能人というよりも芸術家であって世間もアイドルも知らない彼は、そういった常識には一切頓着せずとにかく彼女が必要であるとの一点張りだ。
    残念なことにサソリは己の芸術を貫くためなら反社会的な行動も全く辞さない危険な男である。周囲は非常に困った。
    身内から犯罪者を出すわけには行かない。このままでは良くてアイドルの追っかけ、わるくすれば、たぶん十中八九そうなるが、完全に犯罪同然のストーカーが出来上がる。

    二人が顔を合わせるきっかけになってしまったカンクロウは磨り減るほどに問題解決に頭を悩ませ、弟にも口を利き、なんとかして穏便に、両者の仲を取り持つために奔走した。これはヘタをすると浄瑠璃の今後を左右する大問題である。
    場に立ち会ったチヨ婆にも協力してもらい、ひたすら頭を下げ、本人と所属会社の協力を取り付けることが出来た。ああ、これで浄瑠璃界の未来も救われる! 誇張でなく彼はそう漏らしたという。
    テマリは苦い顔をしていたが、こうなった以上は仕方がない。サソリはもともと変態的な天才である。彼女と接触させたのは、こちらの落ち度だ。

    折衝において最も難しかったのは人形に使う人毛だった。どうしても人形にサクラ色の毛髪を使いたいサソリは本人に髪を伸ばしてくれるよう依頼した。
    それは流石にと誰もが眉を潜めたが、彼は譲らない。様々な重鎮、師匠、太夫、三味線、職人、裏方まで、とにかく関係者一同が説得を試みるが、カンクロウも泣いて頼むがだめだ。チヨ婆でさえお手上げだ。彼は望んだ通りの人形を創らなければ、他のことは一切手がつかないと言う。三度の飯より人形が好きで、本当に人形を操っていれば食事を取らない男なのだ。

    「あの小娘に聞いてみろ。オレの死か、自分の髪を提供するか、どちらがいいとな」
    人形か、死か。
    いや、本当に何言ってんすかサソリさん。
    カンクロウは白旗を振った。変態的な天才、いや天才的な変態に匙を投げた。常識と良識のある大人たちは膝を屈した。

    浄瑠璃界の面々はアイドルに頭を下げに行くことにした。その段になって問題を知らされた我愛羅は遅まきながら説得に向かったというが、根競べをしても日が暮れるばかり。我愛羅の意思もあの変態に負けないほどには強いのだが、如何せんアイドルが自由になる時間は少ない。
    カンクロウが菓子折りを持って謝罪に赴くとき、姉のテマリともども三姉弟は首を揃えてセブンスの事務所を訪なった。
    サクラは恐縮していたが、隣に座るいのの手をずっと握っていたことには、三人とも項垂れる他ない事実である。
    曰く彼女の髪型は仕事にも関係のあることなので本当に難しい問題だったのが、何よりも本人の承諾が得られたことにより春野サクラのロン毛三カ年計画が始動した。
    ボブカットが定番の彼女は時にウイッグを用意してライブに向かい、「長い髪ひさしぶりだから、ブローがちょっと面倒だな」と朗らかに笑ってくれるまでの長い期間、『おつきあいいただきまして、ほんとうにありがとうございます。まことに申し訳ございませんでした。』という花輪が送られてきたのが、その約束の三年の期間満了の日。なんていう仕事もない一日のことだった。

    断髪式よろしくプロの美容師がカットに訪れ、切られたサクラの髪の全てを回収していく。もちろんこれまでの間に発生した、彼女の落ち髪も全て確保されてきた。(これはきもい!と、いのは見るたび文句を言っていた。)
    そのうえサクラは定期的に自宅の櫛に残る髪を提供していたのだ。彼女のヘアメイク担当は一本の喪失も許されない。サソリってやつ変態、まじできもい!
    いのの発言に力なく笑うサクラも、ヒナタでさえ反論はしなかった。

    最初こそサソリと対面もして、写真やプロフィールを用意した。PVやテレビ番組にも出ているのだから、そういったもので満足してもらいたかったのだが、協力すると言った以上は最低限のことはしよう。
    そう覚悟をして面通しをした彼は自分と同年代にも見えるような容貌で、話す内容は異常。正直二度と会いたくない。彼の人形遣いは確かに素晴らしかったのに。
    髪を提供すればこの関係は終わり。そう思って耐えてきたのに、この奇妙な人形造りを知った某大手テレビ局が番組出演を求めてきた。

    (怖い。キモチワルイ。)
    素直にそう思う。絶対に出たくない。しかしサクラの出演は芸能好きのプロデューサーの押しによって決まってしまい、我慢のできない彼女は心身の安全のために、どうしてもそばにいて貰いたいと、KONOHAのうちはサスケに出演を頼んだ。
    この流れで言えば我愛羅の方が良いのではないかと言われ、一度は肯くものの、番組には出なくて良いから、むしろ番組に出ないのに無理を頼んで申し訳ないが、なんとかして撮影のその時間に、同じスタジオに来てもらえないかとお願いをするアイドルに、本人からの快諾があったという。

    番組冒頭にサソリが見せてくれた実演は恐ろしいほど素晴らしかった。
    モデルとよく似た肩で切り揃えられたサクラ色の髪の、美々しい浄瑠璃人形は見事な意匠の振袖姿でサソリに寄り添っている。サクラは血の気の引いた白い顔だ。スタッフに声を掛けられてアルカイックスマイル。我愛羅はサクラを慰めながら、人形の出来映えにサソリの本気を感じていた。

    人形は自分とは違う。そう言い聞かせながらサクラは、カメラが廻っていないシーンではとにかくあの男とは距離を取り、眼を合わせなかった。それが良くなかったのか。

    アナウンサーに話を振られサクラが顔を上げるや、
    「小娘、オレの人形になれ」
    と言ったサソリに、うちはサスケがカメラの前に飛び出てきた。

    「断わる!」
    と言った男の背に、サクラはすす、と隠れた。
    サソリに負けず劣らず、サスケもサクラも本気だった。

    件のシーンを間近で見ていた我愛羅は、「ドラマ、いや映画が撮れる画だな。」と考えてしまい、己が芸能界に毒されていたことを反省する。
    しかしテマリにはどうしてそれをカメラに残さないんだと怒られた。
    局のカメラは回っていたから頼めば写真に出来るのではないか。伝えるべきか迷うところである。

    うちはサスケと春野サクラのスクープ記事が出回るのは、この後である。




    POLE DANCER SAKURA


    ポールは娯楽であり競技であり芸術である。
    宙を舞う彼女は、地上を隔絶するかのように美しい。


    春野サクラは新体操部のホープだった。少女らしいすっきりとした肢体は何をやらせても抜群の運動神経で、サクラも新体操が大好きだった。
    なのに突然の出会いが彼女を変えた。演技の参考に見た一枚のDVD、そこには百年に一人の天才ダンサーがいた。

    『大蛇丸』
    その名を見た瞬間ゾクリと走った怖気は武者震いでもあったようだ。ポールの上を滑るように登り、重力を無視して異次元の世界を魅せる彼に、彼女は夢も希望も奪われてしまった。サクラは彼という存在によって己の目指している世界を知ってしまった。他のものはもういらない。
    友達の声に我に返り、日常に戻っても胸の高鳴りは消えなかった。欲しい世界がある。あそこに行きたい…!
    高校は卒業した。皆と同じように大学に進学するものと思われていた彼女は日本を出た。サクラは一人で準備を整えていたのだ。

    高校二年のあの日、サクラはすぐに行動を開始した。ネットで調べて一番近い公演チケットを入手。部活動をしているため貯金の用意はあった。交通費も安くはなかったが本物は格別だった。目の前に立つ彼を見て確信。
    (わたしも、あの世界を演じたい!)
    弟子になるしかないと思った。楽屋に押しかけ必死に話しかける。緊張と興奮によるつたない英語に彼は何も言わずに立ち去ってしまったが、マネージャーだという人物に連絡先を教えてもらう。すぐに連絡を取り合い必要なものを準備していく。

    大蛇丸はサクラの姿、骨格と容姿、手足の長さを見てわるくはないと思った。ポージングを見れば経験者なのはわかる。あまりない色だから手元に置いてもいい。それ位の気持ちだ。
    弟子はともかく若者を見ているのはきらいではない。

    「アナタの気紛れに付き合わされるのはごめんですね」そう言いながらカブトは名刺を渡しに行った。彼の面倒見の良さは折り紙つきだ。
    メールのやり取りは現実味のあるものだったが大蛇丸から伝えられた条件は、高校を卒業すること。彼からはそれだけだった。
    上等よ。高校の間は今まで通り新体操の練習を続け、自主トレに語学を加える。卒業後は両親を説得して渡欧する予定なのだ。出来る準備はやっておきたい。
    親友のいのには進路のことを話しておいた。いのは驚いてショックを受けていたが最後には応援してくれた。一緒に大学に行けなくてごめん。あんたのことが大好きよ。でもどうしても、この目で見たい世界ができたの。

    大蛇丸はサクラの演技を見て「いいんじゃない」と言った。
    苦もなく器材を使いこなす彼女は新体操全国経験者。身体能力が高くてバレエの素養もあるサクラは体力根性を備えており座業も優秀。一度見たもの聞いたものはほとんど再現できる。けっこうな逸材ね。
    「基礎は出来ているようだから、アナタちょっと武者修行でも行ってきなさい」
    にっこりと人生の目標に追い出され、大蛇丸の知り合いだというサーカス団に入れられた。説明は全くない。

    ええっと、
    「サーカスって何するの?」
    「なんだ新入り。リングのことを何も知らないのか?」
    そこには大蛇丸の子飼いだという香燐、水月、重吾がいた。三人ともサーカスで生まれ育った生粋のサーカス団員だという。
    香燐は「困ったことがあればウチに聞け」と言ってくれた。聞けば同い年だと言うので嬉しくなって、サクラは大蛇丸のことも含めて彼女を質問責めにした。

    サーカスのアクロバットは新体操に通じるものがある。体の柔らかさと見かけによらない驚異的な怪力には自信があった。実際に新体操で鍛えた表現力と幼いころから習っていたバレエのおかげで大抵のことはこなせた。
    サクラの技術と表現力は大蛇丸とサーカスという世界に出会って加速度的に向上した。

    自分の体の魅せ方を一段上に持っていくこと。今までとは違う鍛え方、美しい肉体の保持、あとは絶対に怪我をしないよう気をつける。ショービジネスでは体も商品なのだ。もう少し太れと言われたが、昔っから太りにくい体質だから難しい。せめてごつい体にならないよう注意しなきゃ。
    柔軟体操は必ずやる。習慣になっている美味しい「飲めるお酢」も両親に頼んで送ってもらう。

    サクラはマットの上で脚を開き、ぺたりと上半身を沈めた。
    コントーション(軟体)は得意だ。エアリアル(空中演技)はどれも楽しい。わたしって高い場所が好きだったのね。
    体を支えるのは自分の腕だけ。
    上下異なる世界を見下ろす。
    こんな場所があるって知らなかった。なんて気持ちがいいの。
    ポールがやりたくて大蛇丸の弟子になったのに、こんなに毎日充実してたら練習だってのめり込んでしまう。地上にはもう戻れない。
    世界はサクラが思った以上に広くて高い場所にあるらしい。修行したいことばかりで困る。香燐と毎日のようにドルチェを食べてもちっとも太らないのは問題かもしれない。
    休む時間があれば練習をしたいのに、適度な休憩を取る重要性について香燐だけでなく重吾や水月にもうるさく言われてしまう。大蛇丸曰く、日本人の睡眠時間は世界一短いと言われる。返す言葉がないかも。(いのにもよく叱られたなぁ。)

    サクラの才能はみるみる開花した。
    サーカスのリングで、時には音楽のかかる屋内施設で、少女はプロとして舞台に立つ。

    幻想的な音が流れ、鮮やかなライトが一転、ポールに寄り添うサクラに集まる。
    ほっそりとした体が回転し、彼女の足が地上から天井へと開脚する。
    ありえない角度。
    細いのに軟らかい。美しいのに恐ろしい。
    張り詰めた雰囲気のなか長い手足が三本のポールに絡まる。地上と平行に体を伸ばす彼女の体はぴんと伸びて静止する。
    指先まで緊張は切れない。
    淡い髪が揺れる。
    膚の色と寸分変わらない薄い衣装に身を包む彼女の体には余分な肉がない。
    スパンコールの輝く真っ白なコスチュームがライトに消える。あるはずの布は肉体との境目がわからない。
    ストイックな動きと浮き彫りにされる官能。
    生まれたままの姿で、彼女は無機質な棒と戯れているのか?
    サクラはポールを飛び移り、腕一本、足の甲だけで体を支え、観客とは真逆の視線を投げる。舞台メイクの施された濃い隈取の瞳で笑みをつくった。
    歓声と拍手。

    サクラは大蛇丸のスタジオにも自由に出入りが許されるようになった。
    「やっと始まるのね」
    「ええ。おいでなさい、サクラ」
    若いサクラに大蛇丸の作り出す美のエッセンスが注がれる。
    繰り返し行われる練習と肉体が創りだす魔法。その秘密を受け入れる器がサクラにもあったようだ。
    彼女を見る大蛇丸の口元は美しい弧を描いている。
    大蛇丸の魅せる妖艶な世界はサクラをますます虜にして行った。

    彼女は数年で大蛇丸の数少ない本当の弟子になった。
    時にチームを組んでの集団であったり、大蛇丸や香燐、水月や重吾とペアになって興行を行う。テーマに合わせて演者はどんな世界も体を使って表現する。大蛇丸とサクラの演舞は「蛇と桜」という名を冠され、ショーに引っ張りだこだ。

    桜色の少女は白い体を蛇に遊ばれるかのように演舞する。
    薄紅色の髪に淡いグリーンの衣装は春の化身そのもの。軽やかな音に乗り、彼女は重力がないかのように宙を舞う。あどけない表情。
    細く輝くような手足、まろやかな臀部がくるくると回っていく。黒い蛇が地上から狙っているとも知らず。
    怪しくて美しくて恐ろしい蛇が音もなくポールを登る。蛇の動き、その速さと静かなことは尋常ではない。
    突如として太い紐が柔らかな春を絡め取る。
    黒い髪を垂らして蛇が花を襲う。引きつる顔、乱れる手足の動き。ああ、彼女はもう自由になれない。
    人形のような無表情は諦観を表している。訪れた静寂に固唾を飲んで見守る人々の鼓動だけが高まっていく。
    一転して薄紅色の花は白い肉体をくねらせ、髪を乱して自ら蛇にからみついて行く。花はより高く、強く躍動的にポールのうえを跳ねる。蛇とともに。
    逆さずりの少女に浮かぶ恍惚とした微笑に、観衆のため息が漏れる。彼女は蛇に魅入られたのだ。
    二匹の蛇、二匹の蝶、時に二人は大輪の花の如く、揺れる髪だけをその場に置き去りにして、非日常の世界を観客の眼前に具現化してくれる。
    大蛇丸とともに舞いながら、サクラはポールの上にこそ自分の人生があるのだと思う。
    熱狂的な歓声はいつまでも続いた。

    客演の一つとして、有名な「うちは」で彼に出会った。
    火炎系の大技を得意とするうちはの中で、猛獣使いのサスケは幼いころから兄弟のように育った大虎、デンカとヒナを目線ひとつ、仕草ひとつで意のままに操る。普段の無口な彼はつまらない男にしか思えないが、虎達に見せる彼の表情は男に興味のないサクラでも可愛いと思った。これが母性本能?
    動物好きの重吾やイケメンだと騒ぐ香燐だけでなく、なんと大蛇丸すら彼がお気に入りらしい。
    必然的に彼とよく顔を合わせたが、サーカス団員とは思えない愛想のなさだ。彼のお兄さんは素晴らしいクラウンなのに。実際無口な彼は兄のイタチと舞台に出る。口上は全て道化師に扮するイタチが引き受けているのだ。

    細身の青年に寄り添う二頭の猛獣。優雅で巨大な虎達はマタタビに喜ぶ猫のようにサスケと戯れ、次の瞬間には牙を誇示し、爪を立てて人間達を威嚇する。あれが全てサスケの指示に従っているのか。
    獣が喉を震わせて唸る声に、観客だけでなくサクラまで背筋を凍らせる。猫は好きだけど、牙を持たない生き物の性が本能的な恐怖を喚ぶ。
    平然としているのは大虎に囲まれるサスケ一人。口上役のイタチが一緒になって恐れを共有してくれなければ、サクラでさえ叫び声を上げてしまいそうだ。観客の拍手に同意せざるを得ない。

    まぁ素敵かも。
    サクラはポールが導いてくれた世界にすっかり魅了されていた。テントの隅から男の横顔を熱心に見つめる。
    ミコトさんとイズミさんのトラピスは本当に綺麗。(この二人が姉妹じゃなくて義理の親子だって言われてすごく驚いたんですけど。)イズミさんに教えてもらったジェラートも格別。(いつか、いのが遊びに来たらお店に連れてってあげたいな。彼氏が出来たってホントかしら。)
    師には適わないまでも、うちはには才能のある演者が多い。
    サスケに悲劇が起こったのはそれからだった。

    ひどい火事だった。彼が何より大切にしているデンカとヒナが亡くなり、彼も利き腕に大きな火傷を負った。尊敬する兄のイタチさえ引きこもるサスケと話もできない日々が続く。

    「神は気紛れなものよ。彼だけが特別というわけではないわ」
    大蛇丸の言葉を理解できないわけではない。ただサクラは、デンカとヒナを可愛いと思っていた。彼らと戯れるサスケのことも。
    ――彼の舞台が見られないのはイヤだと思ったのだ。
    今サスケには一室が与えられている。イタチに話して、彼の部屋に忍び込む。音もなく進む蛇のように。大蛇丸の稽古がこんな形で役立つなんてね。
    傷ついた男を誘惑して、孤独からサーカスの世界に引きずり戻す。ポールの助けはない。この体と声だけで彼を魅了してみせる。春野サクラ、一生に一度の渾身の演技よ。
    悲しみが消えないとしても独りにはならないで、「サスケくん」

    闇のなかに黒い獣がいた。
    「出ていけ!」
    灯りも点いてない部屋。サクラはサスケがなんと罵っても部屋を出ずその場に立ち続けた。苛立つ男が近付いてもサクラは退かない。
    「おまえ、うざいんだよ」
    壁に追い詰めて威嚇する。サクラはそれでも微動だにしない。
    陽が落ちた部屋のなか、至近距離でようやく彼女が如何に真剣な眼で己を見ているかに気づく。その若葉のような色を好ましく感じていたことを彼自身も知らない。
    物言わぬ芸術品となったサクラは悲しむ男の前で立ち続ける。サクラは一言も口を利かずに悲しみの共有を表現してみせた。

    「……」
    根負けしたサスケはサクラを抱くことを選んだ。細い腕を引く。
    「サクラ」
    男の体は冷えきって固い。
    サスケが零す弱音を彼女はただ受け止め続けた。


    おまえなんか、毛皮もないし、服も着てる。
    そうね。髪くらいしかついてないわ。服を脱いだらわたしの体なんて、ちっともあったかくない。
    女だし、
    うーん。男の方が良かったかな、
    男と寝る趣味はねぇ。デンカとヒナがいい。
    ごめんなさい。つまんない女の体で。
    女って、変な感触だな。
    ん…、サスケくんはあったかいわ。
    おまえもヒナより小せえくせに、あったかいな。
    うん。こうしてるとあったかいね。初めてしったよ。
    オレも。
    気持ちいいね。
    ああ――

    腕のなかで見るサクラの髪、その流れるような髪色はデンカとヒナの毛皮の次に好きなものだとサスケは思った。
    二人は朝までくっついていた。虎のように裸のままで。


    朝陽のなか一枚の毛布だけが二人の体を隠している。男は極上のカナリアを食べた猫のように満ち足りていたが、口ではまだ文句を言っている。手は女の腹に回っていて外れそうにない。
    「…なんで抱かれた」
    「言ったでしょう。デンカとヒナの代わりよ」
    「人間のくせに」
    「うん。本当の代わりにはなれないってわかってたけど、ひとりでいるよりはいいと思ったの。くっついてればひとの体もあったかいし、裸で寝るのって気持ちいいね」
    「……」
    「人間でもこんなにあったかいんなら、もっとあのこ達のこと、たくさん撫でれば良かった」
    重吾が触らせてもらったぞ! と嬉しそうに告げてきたとき、皆で順番に触らせてもらった。毛皮の下がたるっとして柔らかかったな。
    「…撫でていいぞ」
    「へっ?」
    「頭なら、少しは似てんだろ」
    「う、…うん。じゃあ、せっかくだから、」

    さわ、さわり。さわさわ、なでなでなでなでなで……。
    「ん」
    サスケは気持ちよさそうに眼を閉じ、ありし日の虎達のようにだらりと寝そべった。無防備にサクラの前で四つ足を伸ばす美しい生き物は、穏やかな少年のような顔をしている。

    なんだろ……、このサスケくんカワイイ!!

    たぶんサクラが恋に落ちたのはこのときだった。
    膝のうえに頬を擦り寄せてくる男にようやく胸を高鳴らせ、サクラは「気持ちいいからもうやめろ!」とサスケに怒られるまで頭を撫で続けた。
    二人は明るい部屋のなかでもう一度獣に戻った。

    昼も過ぎてから空腹に堪えかねてサスケとサクラは部屋から出てきた。
    久しぶりに見た次男が若い女性と腕を絡ませている姿に、団長のフガクは空いた口が塞がらない。イタチとイズミは嬉しそうにしていた。

    妊娠して娘が産まれた数年、ポールを使う演技はできなかったが舞台には度々出演できた。風に舞う軽やかなリボンや光るフープは丸みを帯びた肢体を華々しく飾る。
    丸く膨れた腹を晒して微笑む美女の姿は女神のようであり、同時に妖艶な魅力を湛えていた。
    まろやかな腹を隠す布を一枚ずつ脱いでいけば、母性の持つ偉大さと崇高な美しさはひとが額づくほどの力がある。
    生命を宿す神秘を人々は称賛する。
    産み月に入って演目から名前が消えるとファンの間では悲鳴が上がったほどだ。
    彼女の創り出す世界の美しさに大蛇丸は微笑する。花がもたらした風は芳しい。
    サクラは彼の手から離れて、更に飛躍していくだろう。
    (妊娠て興味深いわね。)
    大蛇丸には新しい関心事が出来た。

    サクラは子どもを産んでから故郷に帰り、夫と子どもを両親に紹介した。
    春野という家は名前の通りに明るい精神の持ち主だった。サスケは一人娘の父親に殴られる覚悟をしていたが、日本に着いた夜には「いけめん」の意味も分からず酒を呑むことになった。日本酒はひとを和ませる、らしい。

    復帰後、サクラは夫である蛇使いのサスケと舞台に出るようになった。
    サスケは毛皮のある動物はもういいと言って、大虎と同じぐらいのサイズの蛇を選んだ。彼の左眼は動物達を服従させる力を持つ魔眼、心を写す写輪眼という。魔法はサーカスの至るところについて回る。アオダと呼ばれる大蛇は猫のように従順に、礼儀正しくサスケに懐いた。
    「美女と大蛇」は大人気の演目で、サスケの新しい相棒は冷たい鱗が美しく、サクラは今日もリングの上でサスケとアオダに抱き締められる。

    滑らかでほっそりとした肢体を柔軟にくねらせ、少女のような清らかな瞳を、時に妖艶な微笑に変えるサクラはますます美しくなったと評判である。
    美の神は花のような髪をした新緑の瞳の持ち主だと囁かれる。ポールは女神と地上の生き物を繋ぐ道具であるらしい。
    天上世界を浮遊する女神を妻にした男はいかなる噂を聞いても余裕を崩さない。美しい毛を持つ動物の一人ぐらいはいつでも支配できると嘯いている。
    だが実際のところショーから離れた普段の彼は妻子に甘く優しい良き家庭人である。

    サーカスという大きな家族のなかに、うちはサクラの家族がいる。
    彼女にとってポールは家族を繋ぐ大切な道具だ。


    ポールは娯楽であり競技であり芸術であり、それ以上のもの。
    宙を舞う彼女は地上の全てに愛を贈る。だからこそサーカスの紡ぐ魔法は夢のように美しい。




    PRECIOUS YOU
    Happy Birthday My Dear!


    「お誕生日おめでとう!」

    可愛いワンピースを着た笑顔の女の子が花束を手に、たくさんの友達に囲まれている。最近木の葉の里でよくある“お誕生日会”の光景の一つだ。
    昔はなかった風習だが、主賓の女の子は大抵リボンなどが一杯付いた、いわゆるピアノの発表会、という服装をしているのでナルトにも一目でわかる。
    山中生花店はイマドキの女の子達にも利用されているらしい。隠れて注文をした影分身のナルトは己の見たものを親友に話して聞かせた。今も昔も女の子に花はぴったりだってばよ。それにつけても、

    「女の子って凄いよな。あんな服着たらお姫様みたいじゃね?」
    「アホか。そういう人種は本来膚を出さないものだ」

    なるほど。主役の女の子のスカート丈は膝にかかるくらい、膨らんだ袖は肘までしかないが、ヒマワリの絵本に出てくるお姫様というやつは長いスカート(正確にはドレス)だ。
    しかしあの可愛さってのはそういう問題じゃない。たしか昔、これってお姫様じゃねえの! と強烈に思ったことがある。
    たしか下忍のころ、泊りがけの任務で、サクラがめちゃくちゃ可愛い服装で現れたのだ。
    彼女は腕も足も出していたけれど、そんなことより長い髪を二つに結ぶリボンだとか、ひらひらした飾りがたくさんついたシャツ? とか、ふんわりした短パン姿がパジャマだと言われ、驚愕した。
    あんなに可愛い格好で寝るなんて、お姫様が着る服ってこういうものじゃないかと思った。
    サスケが文句を言ったことが信じられなかった。
    あんなに可愛い服を普通に持ってて、それがとっても似合ってる彼女の可愛さに本気で驚いたものだ。

    「おまえんとこのサラダも、ああいう服って着たりすんのか?」

    ヒマワリの誕生日ではそれなりにきちんとした格好をしていた気もするが、あのときのサクラちゃんのパジャマとはちょっと違う気がする。やっぱり忍び里ではお姫様みたいな服ってのはめずらしいよな。

    「…サラダはあまり好みじゃないらしいが、サクラが何かと言いくるめて着飾ってるな」
    「わかってねえなぁサスケ。女の子は口ではなんと言ってもリボンとか花が好きなもんだぜ。サラダはサクラちゃんと似てるのに、おまえにもちょっと似てるせいで素直になれないとこがあるから、サクラちゃんがママとして色々やってくれてんだぜ、それ」

    サラダが照れた顔で髪飾りをつけている姿を見たことがある。彼女の黒髪に赤いシンプルなリボンは凄く似合ってた。うんうん。女の子だよなあ。

    「おまえ、意外に詳しいな」
    「オレだって娘がいるんだぜ。女の子が可愛い服を着てたらまずは褒めるってばよ。文句だけ言ってたら臍を曲げるだけだぞ。それが女心ってやつだ」

    にひひ。と笑ってやるとサスケはフンと言って反論しなかった。ちょっとは成長したか。
    あんときのサクラちゃんにもいい顔してなかったけど、あんな可愛い服を着るのが夜だけってもったいなくねえ? サクラちゃん任務のときは無理でも、休みの日とか着てもいいのにって言ったら、あんなはしたない格好で外をうろつくなんて真似をさせられるかって言ったよなあ。(はしたない、の意味が当時はぴんと来なかったので、妙に覚えてる科白だ。)
    あれって今思うと独占欲っていうやつだよな。あんな昔の、オレがよく分かってないときからおまえって、ほんと昔っからそういうやつだよ。
    うんうん。おまえの男心ってのは狭いもんな。

    今の女の子達があんなに可愛い格好を誕生日のたびに出来るなんて、平和ってすげえいいってばよ!
    まぁサクラちゃんはお姫様みたいなドレスなんかなくても、オレらのお姫様みたいなもんだし?
    うわ! 殴んなよてめいまだに独占欲の塊かよ! 花投げんなバカやめろ!
    うっせえ! あほみたいなでかい花束注文しやがって!
    そんぐらいオレらの気持ちとしては当然だろ!
    うるさいおまえが言うな!
    んだよ。サイもめっちゃイイ笑顔だったろ。(あ、ムカつくこいつ。めっちゃ颯爽と花束キャッチしやがって。ちくしょうイケメンめぇえええ!)

    「おいサスケェ、おっまえその花束ちゃんと渡せよな」
    「チッ」

    こういうの、譲らないくせに素直じゃねえんだからよ。

    「なあ、ケーキはサラダが用意してんだろ?」
    「あいつの方がサクラの好みをよく知ってるからな。花を渡すときは一緒がいいと言っていたが、」
    「あ、出てきたぞ。ようサラダ」
    「七代目、お忙しいのにパパの面倒までありがとうございます」
    「うぅ、なんて出来たいいこなんだよサスケェ。おまえに似なくて本当に良かったよなぁあ!」
    「てめえが泣くなあほ」
    「お、おう。(ここは同意なんだなおまえってば…。)じゃあ準備はいいな」
    「パパ、照れずにちゃんと言ってよ」
    「…わかった」
    (サラダ、ナイス)
    よし。今日は彼女の特別な日だ。
    「いくぞ、」

    彼らは愛するひとを迎えた。

    「ママ、」
    「サクラ、」
    「サクラちゃん!」

    「「「誕生日おめでとう!」」」



    大切な君にあらんかぎりの気持ちを贈る。




    グレ Link Message Mute
    2022/09/19 20:00:00

    水晶の占いは箱に落ちた愉しい未来と偶像が踊る祝祭日/twサクラ誕

    #サスサク  #現パロ  #転生パロ  #インドラ
    pixiv2016年12月15日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。

    春野サクラちゃん並びにうちはサクラさんお誕生日おめでとうございます!
    3月28日を祝してtwから7本のネタを加筆修正して更新します。ツイートが元ネタなので軽い話です。以下詳細をご確認ください。(お名前掲載等ご許可貰い済)

    p.1「THE DESTINIES」
    →水晶の魔女。初めて意識して書いたtw文。加筆ほぼなし一部から旅まで。激短。2016年1月初出。

    p.2「FALL IN THE BOX」
    →箱(罠)に落ちた二人。一部。2016年1月初出。

    p.3「HOME SWEET NIGHT」
    →愉しい我が家。時期は外伝以降。2016年2月初出。

    p.4「FUTURE OR OLD AGE」★サクラ、サスケ、ナルトの死ネタを含みますのでご注意ください。
    →老婦人サクラの白髪。2016年2月初出。

    p.5「SEVENTH HEAVEN WITH」
    →アイドルと人形遣い。木の葉女子の三人は七班ガールズ!と言うためだけに書いた設定的アイドルパロと人形遣いサソリ。2016年2月初出。

    p.6「POLE DANCER SAKURA」
    →四季様が呟かれたポールダンスの結果サーカスに。現パロ。2016年3月初出。
    ポールダンスという文字を見た瞬間から妄想が駆け巡りましたがサーカスという着地に。

    p.7「PRECIOUS YOU」
    →赤縞様のパジャサクが愛らしすぎて+祝意。2015年初出。
    皆様ご存じのパジャサク作品の愛らしさに初めて見たときから胸キュンが止まらず誕生日に託つけて書かせていただきました。

    御二柱の女神のご快諾まことにありがとうございます。
    これらは全てツイートのおかげで生まれたSSです楽しいです。素敵な情報と魅力的なサクラさんを日夜ありがとうございます。

    more...
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    • もうドレスは破らないでよ!(サスサク) #サスサク  #映画パロ  #R-15
      pixiv2016年2月20日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。

      放送見てカッとなってやったSasuke & Sakuraです。セッ○○連呼というだけのR15です。Mr.& Mrs.~って超弩級サスサク。なのにあまり発見できず辛いです。探し方がわるいのか、皆様ぜひサスサクってくださいませ。
      グレ
    • うちはサクモ6才、おねえちゃんけっこんおめでとう。 #サスサク  #新うちは一家  #小説
      pixiv2015年6月24日初出
      うちは家長男による代理で両親への手紙
      外伝連載時の千々に乱れる不安と可愛さのジェットコースターを解消するためには第二子頼む!
      名前思いつかないのでいただきましたカカシ先生お父様

      ★2015/6/30蛇足。以下は本文の後にどうぞ。
      両親への手紙について、新婦のサラダさんは、感謝の気持ちを伝えたいがきっと泣いてしまうから、自分ではできないとおっしゃって、代わりに弟のサクモくんが手紙を書いて、今のように読み上げてくださいました。たいへん素敵なお手紙で、やっぱりサラダさんもお母様も泣いていらっしゃいますね。お父様もですが、いかがでしたか息子さんのお手紙は?
      「……サクモ、ママは渡さん」
      「アナタ、そっちじゃないの!」
      お父様は少し(かなり)お酒を召されているようですね。
      グレ
    • 『ハロウィンパーティー』インキュバスのサスケ #サスサク #いの #現パロ
      pixiv2020年11月29日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      全忍集結16開催おめでとうございます!
      皆さま良い日をお過ごしください!
      この話はサスサクワンドロライの修正版です。健全の現パロです!
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <一>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2017年7月23日初出。以下は当時のキャプションより抜粋修正。
      あの有名なアラビアンパロです。いのと香燐が友情出演してます。
      大好きな書き手様の一人のあるつたさんとハーレ○インサスサクについて話していた結果こうなりました。シークものが好きなので古典を参考にしたスルタン風です。

      これは2018年10月28日発行した本の加筆修正前の文章になります。
      グレ
    • サスケ、一切を吐け。さもなくば歯を食いしばれ #サスサク  #小説
      pixiv2015年6月16日初出
      外伝連載時ふと思い立って書きました。以下は当時の心境。
      サスケというか少年誌の良心を信じてはいるんですけどちょっとだけ怖い。私は700+6しか読めてません最後まで聞かないと怖いので。情報だけで胸がひきちぎられそうに不安です。サスケぇ、おまえわかってるよなマジだからな私は…。
      グレ
    • サスサクワンライまとめ十題0812-0923(修正あり) #サスサク
      pixiv2017年9月24日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      ワンライより10個のお題とおまけ短文をまとめました。句読点や気になる部分は加筆や修正をしていますので、提出分とは少し異なりますが大筋は変わっていません。全部一時間クオリティです。

      土曜日の「サスサクワンドロワンライ #サスサク深夜版の真剣絵描き字書き60分一本勝負」様より以下の7題とおまけ小話。
      水曜日の「夜のサスサクワンドロライ企画 #夜のサスサクワンドロライ」様より以下の3題。
      見直したら誤字などたくさんあってすみませんでした。いつも閲覧ありがとうございます。ワンライ難しいけど楽しいです。
      グレ
    • サスサクワンライまとめ十三題0927-1230(修正あり) #サスサク
      pixiv2018年1月3日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      ワンドロライ企画より、都合があわずタグ付の参加をしてなかったものを含めてまとめました。加筆修正などで提出分と異なるものや、すごく短いものもあります。作中の時系列はバラバラで話は繋がってません。
      水曜日の「夜のサスサクワンドロライ企画 #夜のサスサクワンドロライ」様と、土曜日の「サスサクワンドロワンライ #サスサク深夜版の真剣絵描き字書き60分一本勝負」様のお題より書かせていただきました。素敵な企画とお題をありがとうございます。
      いつも参加することに意義がある感じの拙いものに閲覧等まことにありがとうございます。
      グレ
    • 口紅とシャンプーとCM(サスサク) #サスサク #チャラサク #現パロ
      pixiv2017年6月18日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      現パロのチャラサクとサスサク、夫婦サスサクの雰囲気小話3本です。ふと思いついて書いたものばかりですが、3枚目は同じ趣味のかたと話していて書き出したものです。その節はありがとうございます!
      グレ
    • 悪魔なガールフレンド(サスサクでエロウィン) #サスサク #現パロ #R-15
      pixiv2018年10月30日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。

      現パロで悪魔なサスサクエロウィンです。プライベッターに上げたものを少しだけ修正しています。
      サスサクでエロウィン〇です。
      全忍10では皆様ありがとうございました。
      私は初参加で最初すごいあわあわしたのですが、おかげさまで楽しく過ごすことができました。諸々嬉しくてすごい話しかけてしまい現在では反省しておりますが、その節は本当にありがとうございました。
      グレ
    • 卵とトマトあったかい飯。(サスサク) #サスサク
      pixiv2016年4月17日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      ツイッタ再掲+加筆。ベッター(全体公開)に短い版あり。素敵可愛い、さぼ様のオムライスツイに興奮して書きました。(ご了承済!)オムライスって可愛い!そこにサスサク!っていう。サスケは大人になるまでオムライスを食べたことがなかったんじゃないかと思います。後付けですが、あったかいメシを提供したいしサスサク提供したい。っていう気持ちも込めて、元気元気元気!
      グレ
    • Trick or Treat~うちはサスケ(3X才)の場合~ #サスサク
      pixiv2016年11月1日初出。以下は当時のキャプションより抜粋と修正。
      サスケが食べているのは南瓜の煮物です。短いけれど一日遅刻のハロウィンに寄せて。
      アニメ見てないのにすみませんが可愛いと思ったので一部時代にそういう任務があったことにしています。
      グレ
    • うちはの三つ巴 #サスサク  #現パロ  #転生パロ  #うちサク  #インドラ  #マダラ
      pixiv2016年1月24日初出。以下は当時のキャプションより抜粋編集加筆。
      転生者三代嫁取り合戦風パロ。確か、全忍2に合わせて書きました。インドサク・うちサク増えればいいのにSuky!サスケくんがんばって。ガチで相手やばいよあいつらきっとすぐマジになってくるよ。
      グレ
    • うちはの三つ巴、「断片 2」 #サスサク  #現パロ  #転生パロ  #インドラ
      pixiv2016年12月15日初出。以下は当時のキャプションより抜粋編集加筆。
      ずいぶん間を空けてから書いた、うちは現パロの続きです。分かりにくい話ですみませんが二人が春野家に泊まった夜からになります。
      前代にも登場いただきたい気持ちはあったのですが、筆者の技量や話の展開上こんなにも地味な続きで内容が無くて申し訳ありませんが更新させていただきました。
      グレ
    • 六月珈琲王国と夏(サスサクtw短文) #サスサク  #R-15
      pixiv2016年8月11日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。短編4つ。
      夏の挨拶代わり更新です。サスサクとちょっとナルト。六月~八月にツイッタに流したりベッターに書きました四つほぼそのままだったり少し加筆した軽い話です。

      p.1「If June」→サスケとサクラのサラダ作りのある一日。素敵なタグを見て6月21日に書きました。

      p.2「Coffee Break of Night」→ベッター再掲。ナルサクも好きです。
      夜にコーヒーよりホットミルクかノンカフェインのハーブティがお勧めですが、サクラさんはまだ仕事する気だったんですね。あとナルトさんは疲れのあまり子供っぽくなってるつもりです。(説明ェ)

      p.3「SAKURA KINGDOM」→Ifのショタロリです。カカシくんも先生じゃないはず?の先生。原案はairanさんで、引用もさせていただきました。幼いサクラちゃんかっわ!!!

      p.4「春野サクラ水着祭2016」
      →ゲームサクラさんの水着。全FANが同じネタ考えたことと思いますのに重複すみませんが水着!!!
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <六>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2018年7月24日初出。アラビアンパロの続き<六>です。以下は当時のキャプションより。
      ※参考文献追記20181125

      アラビアンパロの<六>です。おまけを書くべきかなと思うのですが、ひとまず終幕です。
      本当は昨日更新したくて焦ってしまい色々お許しくださいませ。サスケさんお誕生日おめでとう!妻子と仲良く幸せな良い日を過ごしてくれぇえええ!!!
      たいへんな暑さの日々が続いております。皆様どうぞご自愛くださいますように。


      読みにくい粗い文章を読んでくださりありがとうございました。
      自分でも長くてたいへんだと思いながら書いていたので、閲覧や評価コメントタグブクマにメッセージなど、様々な形で拙作にお気持ちを寄せていただきましたこと、とても嬉しく励みになりました。身に余るお言葉も頂戴しまして、重ねてお礼申しあげます。(前回までの分も恐縮です)

      ☆このシリーズを加筆修正して本にしました。
      グレ
    • Not falling in love…(七班男子とサクラ) #サスサク  #ナルサク  #サイ  #小説
      pixiv2015年8月21日初出。以下は当時のキャプションより一部抜粋編集。
      ナルトの初恋について。原作読み返したらクシナさんがサクラちゃんと激似で今さら動揺しました。サイは友情出演で、おまけのサスケはロンゲ美人サクラちゃんの姿を見せてやりたかったんです。
      外伝を全部読んだらそんなにサスケわるくなくて、いや少しわるいと思うんだけど(あの700+6の科白は誤解を生む!)同誌の某海賊漫画でも父子はかなり一緒に暮らしてないと思ったらじゃんぷで働くパパって大変だ。
      七班仲良しのつもりでタイトルは恋に落ちたのではなく…、愛です。というつもりで、新旧班の仲良しが好き。
      グレ
    • あるダブルオメガの考察(サスサク) #サスサク  #R-15
      pixiv2016年11月13日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      本番なし。以前にふわっと書いた設定風オメガバースです。独自設定を盛り込んでます。元は狼制度だと聞きますが、女王蜂?のようにオメガ優位も好きなので一つの可能性として読んでいただければと思います。
      さらに設定のみ。
      表面的な里の教育しか知らないサクラは綱手様に庇われたり実は幼少期に受けてたサスケからの疑似番効果でオメガとしての機能を抑制されていたお陰で湿っぽいオメガバース要素のある二部時代を切り抜けつつ原作エンド。
      グレ
    • インドラの花 #サスサク  #インドサク  #小説
      pixiv2015年7月28日初出
      インドラさんやサスケに妻という響きを課す素敵さ。新三忍の回でサクラちゃんが強くなったのを見たサスケがうっすら笑んでいたことも気になります。強い女がすきなの?昔もっと修行しろ、なんて言ってた相手がほんとに強くなったのが嬉しいの?自分好みに育った彼女見てドヤ顔で笑いやがってこのやろう、いいぞ。今なら全巻サスサクに見えます。
      グレ
    • 秘密のシスターサクラちゃん #サスサク
      pixiv2019年11月9日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      達。
      すごく遅くなりましたが短いハロウィンものです。わかりにくい話ですが、ハッピーハロウィーンです!
      グレ
    • TEAM☆7(勝手におめでとうございます七班バンド!) #サスサク  #現パロ  #第七班  #7班  #小説
      pixiv2015年9月3日初出。以下は当時のキャプションより一部抜粋編集。
      全FANが固唾をのんで見守った超ド級素敵作品の完結を祝してバンドパロ7班です。隊長はサポートメンバーなのでライブに行くと会えます。勝手ながらmomo様に捧げる作品。続きあり。
      グレ
    • TEAM☆7番外twitter?それともLINE?(七班バンド) #サスサク  #現パロ  #第七班  #7班  #小説
      pixiv2015年9月19日初出。以下は当時のキャプションより一部抜粋編集加筆。
      わかりにくくてすみません。ツイッタとかラインとか適当にワード入れてるので脳内変換か補填をお願いします。(この当時SNSはやってませんでした)よくわかってないバンドネタにお付き合いくださいました皆様ありがとうございます。バンドパロ良いですよね。どなたか書いてください。(本気)
      グレ
    • TEAM☆7-②(七班バンドより愛を込めて) #サスサク  #現パロ  #第七班  #7班  #小説
      pixiv2015年9月8日初出。以下は当時のキャプションより一部抜粋編集。
      「ありがとう(ございます)!」を言うために書いたバンド妄想7班の続きです。バンドわかりません!なので適当ですが、隊長はヴィジアル系ロッカー時代のカカシ先生の大FANでギターもローディーも何でも出来るしカカシに言われるままに何でもやります尊敬してるから。ロックバンドのつもりなのにデビュー曲もラブソングぽくなったな~。
      グレ
    • うちはの三つ巴、「断片」 #サスサク  #現パロ  #転生パロ  #インドラ
      pixiv2016年2月5日初出。
      続きでなく過去に戻ってます。うちは三代転生者とサクラの出会い、前作の断片を改めて描写したのみ・途中まで・なんかふわっとしてますが、ご参考までにどうぞ。筆者の中でサクラは、いの、サスケに会うという発達段階を経るか否かで人格形成が異なります。
      ※サクラの両親が亡くなっています。
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <二>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2017年8月28日初出。以下は当時のキャプションより抜粋修正。
      アラビアンパロです。まだ途中です。
      今回の作品は名称などで特に参考にしている資料があるため末尾に記載いたします。何かございましたら私(グレ)までご連絡ください。
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <五>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2018年6月10日初出。
      アラビアンパロの続き<五>です。まだ終わってません。前半いのサクっぽいです。
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <四>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2018年3月28日初出。アラビアンパロの続き<四>です。以下は当時のキャプションより。
      春野サクラちゃんならびにうちはサクラさんのお誕生日ですね!更新内容とは関係ありませんが、サクラちゃんお誕生日おめでとう!乙女で人妻なあなたが大好きーーー!!!
      グレ
    • 火の国のアルフ・ライラ・ワ・ライラ <三>(サスサク) #サスサク #アラビアンパロ #R-15
      pixiv2017年9月28日初出。アラビアンパロの続き<三>です。
      グレ
    • 冬のホリデイ、春のシロツメクサ #サスサク
      pixiv2019年11月9日初出。以下は当時のキャプションより抜粋。
      聖夜に生まれたとんでもなく素敵な絵画への思いをSSにしました。
      これだけでは短いので、不定期サスサクワンドロライで書いた「シロツメクサ」もアップです。
      グレ
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