そのグラスがぶつかる音は響かない
ほど小さく、カウンター席は閑散としていた──
『お兄ちゃんのバカ!』
『だから言ったじゃないか……』
兄妹だろうか?仲の良さそうな二人は、しかし喧嘩をしている様子であったそれはまるで昔の俺達のようで……(俺は……何してんだよ)
気付いたときには走り出していた 二人の方へと向かっていった そしてその声をかけた
『お前、名前は?』
突然話しかけられ驚いた表情を見せた彼女 だが少ししてから小さな口を開きこう呟いた
『結衣です……』
俺と同じ名前だったいや、偶然だろう それよりも彼女が何かを喋ったことそれこそが驚きであった何故なら彼女は一言も言葉を発さなかったからだ どうやらこの少女は人見知りをするらしい
『ゆいさんね、俺は翔よろしく!』
とりあえず自己紹介をしたするとそれに反応するようにしてゆっくりとした動作で頭を下げてきたまるでお辞儀のようなそんな動き方である
『えっと、その……』
『ん?』
また下を向いてしまった何か悪いことをしてしまったのだろうか?『ごめんなさい』
『へっ!?なんで謝るの?』
突然の謝罪に困惑する
『私のせいだからですよね? 私が変なこというから』
そういわれて、私は何も言えなくなってしまった確かにそれはあるかもしれない しかし、私はそれを自分の意思でやったこその結果なので 気にしていないし、むしろ感謝しているくらいである
『そんな事ないです!私のせいです!』
お互いがお互いに謝る変な状況になってしまった
(( ゚д゚)ハッ!これはこれでおいしいのでは?)とか思っている場合ではないのだ、このままだと平行線になってしまうとりあえず話題を変えよう『そういえばさっき何か言いかけてませんでした?』
『あっはい……その……』
少し恥ずかしそうな表情でチラチラッと見てくる仕草は控えめに言って天使だった
『あーっと……そのですね?実は……』
──ピコンッ 【メッセージが届きました】
お、ちょうどいいタイミングでメールが来た
一体誰だろう?
『えへへっ!実はこの前お母さんからこんなのが届いたんです!』
そこには一通の画像付きメールが送られてきていた これは……
『これって……』
『はい、前にお父さんが送ってくれた写真です!』
そう言って嬉しそうな表情を浮かべながらスマホを俺に見せてきたのは、最近仲良くなったクラスメイトの女子だった
『これ見て!』
画面には、SNSのアカウントが表示されていた どうやらその子は、そのSNSのフォロワー数がそこそこ多く人気者らしい 投稿された写真はどれも可愛らしく、いわゆるキラキラ系という奴だろうこういうのに興味は無いのだが…… そんな事を思いながらもとりあえず内容を確認する……ふむ、なるほど 内容は至ってシンプルで、ただ自分の好きな事を呟いているだけといった感じだだが、よく見るとこの子は色々な事にチャレンジしているようだ例えば料理だったりスポーツだったりとしかし、この子には何か悩みがあるのか? 投稿されている内容を見ている限りは楽しそうなのに何故か空元気を出しているように見えるのだ 何があったかはわからないがこんな子が悲しんでるのは見たくない 俺はそう思いながらページをスクロールしていくすると、一つのコメントが目に入った
『私の友達が彼氏から振られたんですけど、慰め方がわかりません!誰か教えてください!』