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- 転生ばあちゃんサチエさんは、御年88歳。
10年前に旦那が先立ってからは身寄りもなく、ひとりで暮らしている。
サチエさんに、子どもはいない。
近所付き合いも、あいさつ程度。
月イチで町内の民生委員が様子を伺いに訪問するが、それ以外、サチエさん宅を訪れる者はいない。
サチエさんは、特に趣味もない。
日がな1日、悠々自適。
さすがに腰は曲がってきたが、それでも病気ひとつなく、体は丈夫であった。
晴れた天気の日は、コロコロで近所を散歩する。
「歩けるうちは歩こう」というのが、サチエさんのモットーなんだとか。
そんなサチエさんは、若い頃、水泳が得意だった。
といっても、泳ぎの練習場所はプールではなく、近所の川。
その川は、流れは穏やかで、底まで見える澄んだ水がキレイな川。
上流からの水の冷たさは、夏場でも震えるほどだった。
もちろん、川には魚たちもたくさんいた。
サチエさんは、魚たちと共に泳ぐのが楽しかった。
その時から、サチエさんはひとつ思い馳せている。
人間の次は、魚に生まれたい。
そして、あの川で、また泳ぎたいなぁ、と。
〈解説〉
病院で、すれ違うお年寄りの後ろ姿を眺めつつ、浮かんだお話です。
少しセツナイ雰囲気でしょうか。
でも、最近のご高齢の皆様ってすごく元気。
若者をしのぐ、パワフルじいちゃんやらパワフル婆さんがわんさかだったりします🙂
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