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- りあるRPG部「『りあるRPG部』創部以来、ラスボスまで来れたのは、おまえだけだぞ」と、毛むくじゃらの顧問の先生から褒められた。
いやいや、褒められても、ぜんっぜん嬉しくない!
それどころか、最終ボスまで来たことを、後悔さえしている。
最後の敵は、あたしの想像をはるかに越えていた。
例えるなら、ワニ顔のティラノザウルスだ。
恐竜図鑑の、ティラノそのもの以外の何者でもない。
はたしてヤツに、この細腕女子の極細剣で、太刀打ちできるのだろうか?
一応、何かあった時には『ギブアップたまご』を、毛むくじゃらの顧問の先生が投げる救済措置はある。
しかし、何かあってからでは遅い。
そもそも、剣で切ったら、血が出るじゃん。
ドラゴンの血が何色か知らないけど、あたしは血を見るのが苦手。
見たら、失神してしまう。
そんなあたしは高校卒業後、この春から看護大へと進学する。
血ぃ見たら失神するのに、だ。
「さぁ、そろそろ覚悟を決めて行こうか」と、毛むくじゃらの顧問の先生が、あたしを促す。
わ、わ、わかってるから、押さないで先生。
目の前のコイツを倒せば、見事エンディング。
そして、晴れて高校卒業なのだ。
と言っている間に、ウチらに気づいたドラゴンが、火、吹いてますけど……。
やっぱ退治は、限りなくムリっぽいなぁ。
毛むくじゃらの顧問の先生、ヤバそうな時は、『ギブアップたまご』を、“早めに”お願いします。
〈解説〉
今回は、もしもリアルにモンスターと戦う部活動があったら? 的なおはなしです。
このお話の彼女も、入部当初はお弁当なんかを持ち寄り、ピクニック気分で部員仲間とスライムを倒し、レベルアップにつとめる日々が、楽しかったことでしょう。
しかし、相手も徐々に強くなり、生キズたえない部員がひとりまたひとりと退部していき……、そして最終的には彼女だけが残ります。
まあ、そんな部活、現実にはありません。
おはなしは、イラストが完成してから考えます。
なので、絵を描いている時は、なんで女の子が剣を構えているのかや、後ろの毛むくじゃらは何者かとかは、全く頭にありません。
毛むくじゃらの持っている赤いたまご形も、『ギブアップたまご』と後に出た発想で、なんとなく絵と文章の辻褄が合ってくれると、うれしい気分になります(^-^)
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