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- 転生ばあちゃんサチエさんは、御年88歳。
10年前に旦那が先立ってからは身寄りもなく、ひとりで暮らしている。
サチエさんに、子どもはいない。
近所付き合いも、あいさつ程度。
月イチで町内の民生委員が様子を伺いに訪問するが、それ以外、サチエさん宅を訪れる者はいない。
サチエさんは、特に趣味もない。
日がな1日、悠々自適。
さすがに腰は曲がってきたが、それでも病気ひとつなく、体は丈夫であった。
晴れた天気の日は、コロコロで近所を散歩する。
「歩けるうちは歩こう」というのが、サチエさんのモットーなんだとか。
そんなサチエさんは、若い頃、水泳が得意だった。
といっても、泳ぎの練習場所はプールではなく、近所の川。
その川は、流れは穏やかで、底まで見える澄んだ水がキレイな川。
上流からの水の冷たさは、夏場でも震えるほどだった。
もちろん、川には魚たちもたくさんいた。
サチエさんは、魚たちと共に泳ぐのが楽しかった。
その時から、サチエさんはひとつ思い馳せている。
人間の次は、魚に生まれたい。
そして、あの川で、また泳ぎたいなぁ、と。
〈解説〉
病院で、すれ違うお年寄りの後ろ姿を眺めつつ、浮かんだお話です。
少しセツナイ雰囲気でしょうか。
でも、最近のご高齢の皆様ってすごく元気。
若者をしのぐ、パワフルじいちゃんやらパワフル婆さんがわんさかだったりします🙂
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#夢松橋まいのまいの - 脳魚あれは、ぼくが小学生へあがる春のことだったと思う。
理由は忘れたけど、その日の夕食は父親に連れられ、近所の居酒屋さんへ食べに行った。
はじめて訪れたその店は、狭くて、暗くて、ケムリがモクモク立ち込めているお店だった。
ケムリの正体は、網焼きのものか、お客さんのタバコのケムリだったか、ハッキリ覚えていない。
ただ、そこで食べたモヤシと豆腐がとても美味しかった、ということは鮮明に記憶している。
ぼくが“脳魚”に出会ったのも、その居酒屋さんでだ。
脳魚という名前は、ぼくが名付けた。
脳魚は、店内の大きな水槽にいた。
いけすではなかったので、食材として食べられることはないと思う。
店内の隅に設置された水槽の水は緑色に濁り、のぞいても、中がよく見えなかった。
でも、注意深く観察していると、ほんの一瞬、魚が泳いでいるのが見えた。
その時だ。
魚は、くねらせた自身の体の色を、虹のように変えたのは。
以来、その居酒屋さんには1度も行ってない。
けれど、目を閉じると、あの魚が脳裏に写る。
鮮やかに色を変えながら、ぼくの頭の中を泳いでいる。
〈解説〉
幼い頃の記憶というのは、実に曖昧です。
しかし、鮮明に覚えている事柄も、なかにはあります。
今回のお話で、父親に連れられて居酒屋さんに行った、という部分は実話で、モヤシと豆腐が美味しかったというのも本当の話です。
しかしなぜ、父親とふたりで夕食を食べに行ったのかは、全く思いだせません(;^∀^)。
GIFアニメは、ノープランで描きました。
色が変化するところは、1枚ずつちがう色を塗り、変えてあります。
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