1月4日【1月4日】
猫になってしまった。
サーカス見物に出かけた先で、観客の一部が忽然と消えるという事件が起きた。その謎を追いかけて調査をしていたところ、何者かに捕まって猫にされてしまったのだった。
目を覚ましたのはケージの中だった。ここから出せと言おうとしても、喉から出るのはにゃあにゃあという鳴き声のみである。
ケージに入れられたまま、サーカスのステージ上に連れていかれた。見世物にでもされるのかと身構えたが、どうやら売りに出されるらしい。
ろくでもない人間には飼われたくない。身を縮こまらせて自身を買おうとする人間を見定めていた。
幸いにも、私は話の通じる者の元に出されることになった。
飼い主になったのは人間ではなく、二足歩行をする鹿であった。そのせいだろうか。人の姿に戻れなくとも、意思は通じた。経緯を説明して、人を助けるのを手伝ってほしいと伝えれば、すぐに快諾してもらえた。
サーカステントの片隅に居た虫を助けると、従業員が使っている風呂を調べなさいと虫に教えられた。言われた通りに調べてみると、風呂の底には数多の死体が隠されていた。
消えた人々のどれだけが無事で居るだろうか。
俯く私の背を飼い主が撫でた。