12月9日【12月9日】
どこかの国で起きた戦争の様子を眺めていた。
三百人ほどの侵略者達は、平和だったその町を瓦礫の山へと変えてしまった。大きな壁に囲まれた都市は見るも無惨な姿に変貌していた。もちろん、三千人ほど居た現地の住民達も抵抗して戦っていた。戦況は膠着していた。
現地の住民達も侵略者もじわじわと消えていった。最後に残されたのは、三人の侵略者と一人の住民だけだった。
銃弾飛び交う中を生き残ってきた手練達である。外国の映画に出てきそうな強面の男性二人と屈強な女性一人が、瓦礫に隠れて銃を構えて残る住民を探しているのが見えた。
突然、片方の男性が頭を撃たれて倒れ伏した。混乱して叫ぶ二人も肩や胸を撃たれた。三人は死ぬその瞬間まで、ついぞ狙撃手の居所を掴めなかった。
侵略者達が全て死んで物音も立たなくなった頃、壁の中から一人の男が出てきた。
壁の中は空洞になっていた。現地の住民達のほとんどは死んだのではなく、その中に避難していただけだったのだ。
壁の影に隠れたつもりになっていた侵略者を撃ち殺すのは、さぞ簡単だっただろう。
避難生活から開放された住民達の歓声が響いていた。