4月9日【4月9日】
「探し物を手伝ってくれないか」
柵越しに声をかけられる。見れば親戚がいた。他にも何人かの少年がいる。高い柵の内側は雑草が生い茂っているため、足元は見えない。
特に断る理由もない。分かったと返事をして、どうにか柵をよじ登る。
ここに大切なものがあるようには見えない。
そう疑問を持ったのは、一息に柵の中に飛び降りた時だった。周りを見ると、先程までいた少年達は誰一人としていなくなっていた。嫌な予感がした。
柵を登ろうとしたが、内側に向けて鉄線が張られているため、逃げることは叶わない。この檻のど真ん中を陣取る溜池から、ごぽごぽと音がした。
ああ、徹底して逃がさないつもりなのだ。
ぬっくりと這い出た真っ白にふやけた腕が、私の脚を掴んだ。