1月13日【1月13日】
「このパンを食べると、願いが叶うんだよ」
そう手渡されたのは、チョコレートでコーティングされたごく普通のパンだった。市販品のよくある菓子パンにしか見えない。
訝しげに思いつつも、一口かぶりついた、
生牡蠣の身のようなぷるんとした食感と、水を噛んだような味がした。見た目と味と食感の全てが余りにも乖離している。
気分が悪くなって思わず吐き出そうとしたが、海水のようなものが絶えず逆流してくるのみであった。
「願いが叶うんだよ」
たしかに"願いが叶った"のだと気が付いたのは、彼女が真っ白なふやけた腕で私を海に引き込んだ時だった。