CLEAR暗闇の中に居た。
周囲の景色は見えない。
周囲どころか己の体の一部さえ見えないような深い闇。
…いや、違う。
自分の姿が見えないのは【可視化】していないからだ。
深い深い闇の中に溶け込みそれと同化している。
以前の自分であったなら
不快感、不安…そして恐怖といったものに心が完全に支配されてしまっていただろう。
しかし今は違う。
確かに不快感は変わらずにあるが…
これが自分の見ている【夢】であるとすぐに理解する事が出来たからだ。
久しぶりに見たナ〜…等と悠長に考えながら、する事も出来る事もなくその場に腰を下ろした。
音も、風もない。
温かさも、寒さもない。
どうしようもなくただただ足を投げ出した。
この夢の中ではいつも己を可視化する事が出来ないのだ。
魔力が消えた訳では無いのに…何故か。
『夢だから』と言ってしまえば身も蓋もないのだが、つまりはそう云うことなのだろう。と納得するより他がない。
「…かかって来なサイっての☆」
夢から覚めたらきっと
またいつもと変わらぬ日常が待っている。
暖かく、迎えてくれる『家族』が待っている。
だからもう…闇に漂い、呑まれそうになる夢を見ても怯えたりはしない。