続・凶夢
頭がぼんやりしているのは
未だ引かない熱のせいか
それとも今朝の悪夢のせいか…
静かな部屋でベッドに横たわったまま
鈍い思考を巡らせた。
もしもあれが現実になったなら…。
元よりこちらでの活動はまだ駆け出しの新人枠であちらであっても認知されてきた頃に休止に入ったため、そこまで知名度がある訳でもない。
「…どっち道宙ぶらりんだもんね…」
仕事に手を抜いたことは無い。
どんな仕事も自分に来た仕事なら持てる力全てを尽くして向かっている。
けれど…正直それが鼻につくという者も居るのは事実だ。
Deuilとの繋がりが強くなってからは特に。
向けられる悪意に精神が抉られることもあり正直、怖い。
それでも、間違ってでもそんな事を彼らの前で口にする事など…してはならないと戒めている。
目を閉じると鮮明に浮かぶ
静まり返った観衆
孤独を煽られるステージ
こんなに惨めな思いをしてまで
『続ける意味』など
とっくに無くしているのに。
どうして…手放せないのだろう…
身体を抱き込むようにして身を縮めた。
苦しい、辛い、怖い
そんな言葉が頭を過ぎると共に
深く深く意識が沈んでいくのが分った。
「もえ、もえ!!!」
身体を強く揺すられる感覚にはっと目を開く。
いつの間に眠っていたのか…。と、考えているとまた名を呼ばれ、声のする方へ視線を向けた。
そこにはロティをはじめ、ミミとニャミ、そしてポエットが居る。
「「ああ、良かった…」」
胸を撫で下ろした様子の面々に一体何事かと問えば酷く魘されていたのだと聞かされた。
「あんた、また無理…無茶したんでしょ!!
だからダメだって言ったじゃない!!!」
ロティの剣幕に思わず身を縮めた。
「ご、ごめんなさい…!
あの、あんまりそんな自覚はなくて…」
と、そう口走ってしまってから失言であったと気づく。
「…ダメね。
あんたにはもう四六時中監視をつけないと!」
力強く放つロティの言葉にミミもニャミもポエットもうんうんと頷いている。
「え!?い、いえそんな…!」
「あんたに拒否権はないわよ?
だって、こうして結果が出てるんだからね。」
「う…うぅ…」
最早手も足も、ぐうの音も出ない。
「それより体調はどう?」
そう言って額にその手が伸ばされる。
ひんやりとした綺麗な手が心地よい。
「あ…良くも悪くもあんまり変わりはないです…。」
「そうみたいね。顔色も良くなってないし。
食欲も落ちてるんですってね。」
「はい…。」
「ちゃんと食べなさい!…って言いたいけど…無理させると返って良くないからね。」
「お菓子とかもダメ?」
「ん〜…本人が食べられるなら
別に構わないけど…」
「「よしっ!ティータイムしよう!!」」
「…なんでそうなるのよ。」
「いーじゃんいーじゃん♪」
「あたし、アッシュに言ってくるね♪」
「ありがとミミちゃん♪
準備はお任せ☆」
嬉々として部屋を出ていったミミをニャミも嬉々として見送るとさて。と自分の荷物をゴソゴソと漁る。
「実はさぁ…お茶することがあったら、みんなと食べようと思って気になるお菓子色々買ってたんだよね〜♪」
次から次へと出てくる菓子にポエットはわぁ!と表情を輝かせている。
「スマイル達帰ってきたらここに呼んでさ、一緒にお茶しようよ♪」
「アッシュもなにか用意してるだろうし、いいアイデアね♪」
「でしょー?」
「わくわくなの♪」
楽しげな様子を眺めていると心が落ち着く。
嫌な夢の記憶も薄れていく気がした。