ある2月の話(未完)
2月のビッグイベントであるバレンタインデーを控えた東京の街では製菓会社の策謀にまんまと踊らされた健気な乙女たちの激戦があちこちで繰り広げられている様だ。
この時期は街を歩けば嫌でも目に入る。
多種多様な色や形。
様々なコラボレーション。
プチプライスなものから高級ブランドまで。
最近は女子ウケするデザインが多い事もその一因であろうか。
それは友達へ贈る為に、或いは自分へのご褒美の為にと購入するパターンも増えている事にある様だ。
自分とて今まではウキウキしながらこの時期を楽しんでいたのだが、ここ暫くはそんな気分にもなれずにいた。
弟を亡くして生活環境が変わり
心身の不調からの回復…
そして『恋心』というものを知った。
現在晴れて想い想われの『恋仲』となったその彼と彼の仕事仲間であり家族とも言える二人のバンドメンバーは自分の立場からすればまるで雲の上の存在だ。
しかし彼らが今自分に注いでくれる想いは本物だ。と…それはよく判る。
だからこそ『何故それが自分だったのだろうか…』と出もしない回答を求め深く考え込んでしまう瞬間があり、まるで全てが夢のように思う瞬間さえあるのだった。
誰もが知るショコラトリーのショウウインドウには勿論のことデパートやスーパー、コンビニに至るまでここぞとばかりにバレンタインを意識した品が並び、通り過ぎる女性たちがそれらを視界に捉えては無邪気な笑顔を輝かせていた。
更にはここ、メルヘン王国も例に漏れず…と言ったところだろうか。
東京での用事を済ませて神への報告の為にメインオフィスを訪ね報告を済ませると次の仕事の下見を兼ねてポップンシティモールに立ち寄る。
モールの中央イベントブースでは今年も大々的に特設が組まれ、バレンタインデー直前の週末にはイベントが行われる予定となっている。
想い人のいる女性客だけでなくカップルや男性客も多く訪れる人気イベント。
これは【隣の芝生は青い】と云う現象なのだろうか。
周囲を見回しながらふらふらと歩いていると楽しそうにしている人々が酷く羨ましいと感じてしまう。
自分もあんな風に心からバレンタインデーを楽しめたなら…。
そう思ってしまう自分が酷く卑屈で醜く感じた…。
特設に並ぶ品々はどれもこれも既製品ならではの美しさで食べるのが勿体ないなどと考えてしまう。
きっと皆、想い人の事を考え
様々な気持ちを抱えて
贈り物を選ぶのだろう。