キスで起こして「東海林所長、今月の配送履歴書できましたよ」
休憩室のドアを開けて入ると、目の前にソファーで爆睡する東海林がいた。
春子は東海林に近づき耳元でもう一度同じセリフを言うが、それでも変わらず寝息を立てている。
東海林はここ最近忙しくて帰宅も午前様だ。なんせ3ヶ月で社長賞を取る為春子と奮闘しているためだった。
(疲れているのね…)
春子は東海林の髪を撫でる。天然パーマが優しく指に絡みつく。
そしてふと唇を見つめた。
柔らかそうで、口角は犬のような線を描いている。
肌も綺麗でシミも少ない、まつ毛も普段はわからないが閉じていると長いのがわかる。
世間的にはイケメンとは言わないかもしれない、でも私にとってはこの顔が好きだ。
春子はそっと唇にくちづけた。
1.2.3.4.5…10秒で離そうと心でカウントしていたら、突然大きな手で頭を掴まれた。
顔を傾けて東海林が深くキスをしてきたからだ。
春子は少し驚いたもののそのまましばらく身を委ねた。
唇を離すとお互い目線を合わせてしばらく見つめ合う。
「寝てる間にキスしてくるなよ、そんなに俺が好きなの?」
「好きですが、それが何か?」
「お前が素直だと恥ずかしいんだよ…」
もう一度キスして、続きはまた夜に。
そう約束したわけじゃないけれど、目がそう言うから東海林は早く仕事を片付けようと事務所へ戻り、春子も配送を早く片付けようと早々にトラックへと向かった。