3月30日【3月30日】
どこかのゲームセンターに来ていた。
友人達がアトラクションに乗ろうとしている。よくあるシューティングゲームだ。真っ暗な店内で、ゲーム画面だけが目が痛いほどに光っている。昔、家族と行ったテーマパークでも、こんな風景を見たような気がした。
友人達はもうゲームをクリアしていたようで、私もそれに続いて一通り済ませてアトラクションを降りた。
それにしても、彼女達と一緒にいるのは、どこか居心地が悪い。どうにも落ち着かない。けれど、その理由はわからない。
私がああだこうだと考えている間に、カラオケに行くことになったようだ。今はあまり金を使いたくない。断ろうと口を開きかけた時だった。
「ここにいたのかい」
突然腕を掴まれて、後ろを振り返る。誰なのかはわからないが、口ぶりからしておそらく友人なのだろう。
「このあとは私と出かける予定だろう。忘れていたみたいだね」
強引に私を連れ出すと、友人らの方向に人のいい笑顔を向けて会釈をした。連れられるままバスに乗って、どこかに向かう。料金を払えるほど所持金がないことに焦ったが、持っていた定期券の残金でどうにか凌ぐことができた。
降りた場所は街中だった。空は気づけば真っ暗であった。立ち並ぶビルの明かりが眩しい。夜の街と人混みに不安を覚える私とは反対に、彼は見るからに楽しそうな顔をしている。
「ねぇ、もう帰ろうよ」
「帰る場所なんてないだろうに」
掴まれている手は、到底離してもらえそうにもなかった。