4月4日【4月4日】
クラスメイトが特別学級に移ることになった。
朝から教室がざわついている。そういえば、彼は元々出席回数も少なく、見かけたことも数えられるほどだ。もちろん、話したこともない。
何かしらの事情があるのだろうが、それをああだこうだと推察するのも下品である。気持ちの悪い騒音を遠のけたくて、ノートを開いた。ペンを走らせて、適当に落書きをする。
彼をからかう言葉は鳴り止まない。
意味のない線を紙ごとぐしゃぐしゃにして、気を紛らわせようとした。自分のことでもないのに、苛立ちが収まらない。授業にも身が入らず、終始足を組み直したり、ため息をついたりしていた。
気付けば休み時間になっていた。クラスメイト達は席から立って楽しげに話している。私も友人に話しかけようと、立ち上がろうとした。
しかし、話そうとした友人らは既に他の人と話している。
私を嫌い、陰口を叩いてくる人間と話している。
先程までクラスを移動することになった彼を揶揄していた彼女は、今度はこちらを指さして何かを言う。それを聞いた周りの子達が笑っている。
見たくない、聞きたくもない。
やめてくれ、もう何も奪わないで。
そんな言葉が喉に張り付いたまま取れなくなった。