二度寝
ほどよい暖かさと弾力に包まれていたかったが、就寝前にグループチャットへ投げておいた件の反応がどうしても気になったのだ。なるべく静かに腕の中から抜け出し、リビングでタブレットを開く。細い指がついついと画面をたぐり、目的のそれについて同志たちが盛り上がっているのを確認。自然と顔がゆるむ。
「よし」
「…急ぎか?」
うわびっくりした。ソファの後ろから声がかけられて、右肩に重み。
「んー、もう済んだ」
「……」
無言でいばらのタトゥーに鼻先をすり寄せる高い体温に、ソーンは内心しまったなあと軽く天を仰いでいた。
休みの日の眠りが深いのは知っていたから抜け出しても起きないと思ったんだよな。
でも事実こうして、起こしてしまった。
目はほとんど閉じたまま、動作は緩慢、いつものキラキラはすっかり鳴りをひそめているにせよ。
「……寝る…?」
「うん」
のっそりと立ち上がる姿は本当にクマみたい。合わせてゆっくりとベッドに入る。
「起こしてごめんね」
うう、と唸って抱擁が少し強くなって、それから、弛緩。すうすうと規則正しい寝息に合わせていれば、寝付きの悪いソーンもあっという間に眠りに落ちていった。