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    罪な味・【ピザ】 リック&シェーン

     日付が変わったばかりの町は静かだ。ほとんどの者がベッドに入って眠りの世界にいる時間。
     そんな中、リックは親友の家に居た。その家にある古ぼけたソファーの背もたれに背中を預け、しかめっ面で腕組みをする姿からは不機嫌さが滲む。基本的に人当たりの良いリックのそのような態度を見れば普通は戸惑ってひどく気を遣うだろう。
     しかし、リックの親友であるシェーンはリックの様子を気にする素振りも見せずにクラフトビールをソファーの前にあるテーブルに置いた。その様を視線で追いかけたリックは視線をビール瓶からシェーンの顔へと移す。
    「シェーン、お前、何を考えてるんだ?」
     リックが睨んでもシェーンは飄々とした表情を崩さない。
    「自分に正直になってるだけだ。何か問題でもあるか?」
    「あるに決まってるだろう。俺は反対したはずだぞ?こんなの……だめだ。許されることじゃない。」
     苦々しげに吐き出すリックを見てシェーンは呆れたように肩を竦めるとキッチンの方へ歩いていった。
     その後ろ姿を眺めながらリックは唇を噛む。
     こんなことは許されない。とんでもなく罪深いことだとシェーンも理解しているはずなのに。
     リックは顔を正面に戻してテーブルの上にあるビール瓶を見つめた。
     そんなリックにキッチンからシェーンの声が飛ぶ。
    「リック、いい加減に諦めろよ。たまには欲に忠実になったっていいんじゃないか?俺はとっくに諦めた。」
     リックは親友の声を聞きながら溜め息を吐く。
     彼のように自分に正直に生きられたら楽だろう。それができないから自分は葛藤するというのに、簡単に言ってくれるものだ。
     シェーンに対して妬みのような感情を抱きながらもリックはその場を去ろうとはしなかった。


    *****


    「ほら、リック。これを見ちまったら降参するしかないぞ。」
     シェーンは弾んだ声と共にテーブルの上に大きな皿を置く。
     運ばれてきたのは熱々のピザだ。たっぷりと乗せられたチーズに混ざるようにして薄切りのベーコンと玉ねぎのスライスが敷き詰められている。チーズの香りと合わせて鼻をくすぐるのはピザソースの魅力的な香りに他ならない。
     オーブンレンジから出てきたばかりのピザを前にしてリックは顔を引きつらせた。小腹の空く深夜に焼きたてのピザは卑怯だ。視覚も嗅覚も刺激するそれを前にして「食べるのを我慢する」という選択肢は拷問以外の何ものでもない。
     しかし、深夜にカロリーの塊のような食べ物を口にするのは勇気がいる。これを食べてしまえば脂肪となって己の身にのしかかるのは目に見えていた。だからリックは「今からピザを食べよう」というシェーンの提案に反対したのだ。リックの必死の反対も虚しく完成してしまったピザは今、渾身の魅力を振りまいてリックに迫っている。
     ピザを凝視しながら固まるリックの隣に座ったシェーンは「兄弟、楽になっちまえよ」と肩を叩いてきた。
    「何時に食べたってピザは脂肪になるさ。」
     シェーンは何の解決にも慰めにもならないことを言ってからほぼ均等に切り分けられたピザを一つ手に取った。
     シェーンがピザを持ち上げると蕩けたチーズが糸のように伸びる。そのチーズの蕩け具合がリックにとどめを刺した。
    「──お前って奴は本当に最低だよ、シェーン!」
     降参の意を込めて言い捨ててからリックはピザに手を伸ばした。
     右手でピザを取り、垂れ下がりそうな先端を左手の指で支えながら口の近くまで持っていく。口に近づければ美味しそうな香りが鼻を直撃して口内に唾が溢れた。
     そして思いきって噛みつけば自然と頬が緩んだ。ベーコンの塩気と玉ねぎの甘みが口の中で絶妙なハーモニーを奏でている。やはりベーコンと玉ねぎの相性は最高だ。それを包み込むようなチーズの濃厚さが堪らず、チーズに負けじとピザソースの旨みが追いかけてくる。チーズとピザソースが絡み合えば抗うことなどできない。
     要するにシェーンが作ったピザは非常に美味しいのだ。スーパーで安売りしていたピザ生地で作られたピザであっても具材が揃って焼き加減が良ければ問題ない。深夜の小腹を満たすには十分すぎる味に仕上がっている。
     リックはピザを頬張りながらビールを一口飲んで深く息を吐いた。
    「……旨い。」
     リックが零した呟きを聞いたシェーンは得意げにニンマリと笑う。
    「我慢しなくて正解だろ?それにな、食べちゃいけないと思うほど旨くなるもんなんだ。」
    「わかってるさ。わかってるから我慢しないといけないと思ったんだ。本当にお前は困った奴だよ。」
     リックは呆れ顔をしながらも二切れ目のピザを取った。
     その様子を見つめるシェーンは目を細めて微笑む。
    「だが、俺と一緒にいると退屈しない。だろ?」
     その言葉にリックは一瞬キョトンとして、次に苦笑いと共に深く頷いた。
     リックは学生時代からシェーンにいけないことを教えられ、少しの罪悪感と共に大きな楽しさを味わってきた。それは大人になった今でも変わっていない。
     リックは垂れそうになるチーズを舌で受け止めてからシェーンの方に顔を向ける。
    「退屈しないのは確かだな。こうなったら深夜のアイスクリームにも挑戦するか?」
    「任せとけ。アイスクリームは常備してある。バニラでいいか?」
    「……シェーン、こういうのは時々にしておけよ。」
     リックは「親友にとって高カロリーな夜食は珍しいことではないのではないか?」という一抹の不安を抱きながらもピザを口の中に放り込んだ。

    End





    ・【ケーキ】 リック&カール

     カールは父と二人、玄関先に立つ。友人との数年ぶりの旅行に出かける母を見送るためだ。
     旅行鞄を車のトランクに入れた母は「お土産を楽しみにしててね」と微笑んでから運転席に乗り込み、ゆっくりと車を発進させた。
    「母さん、いってらっしゃい!」
    「楽しんでおいで!」
     カールと父はそれぞれに見送りの言葉を口にしながら車に向かって手を振った。
     カールは車が見えなくなるまで手を振り続け、腕が疲れた頃に手を下ろすと隣に立つ父を見上げる。
    「父さん、今日は何するの?」
    「まずは買い物だ。スーパーに行って今日と明日の分の食材を買おう。俺は簡単なものしか作れないが頑張るよ。」
    「僕も手伝う。じゃあ、出かける準備してくるね。」
    「頼むぞ、相棒。」
     父はそう言ってカールの頭を撫でてくれた。
     その手も嬉しいが、「相棒」と呼んでもらえたことがカールには何よりも嬉しかった。保安官として活躍する父の姿は憧れの対象で、そんな彼から「相棒」と呼んでもらえる自分がとても誇らしかった。
     出かける準備のために自分の部屋に向かうカールの足取りは軽かった。


     スーパーでの買い物を終えた親子は乗ってきた車に乗り、自宅のある方向に向かって走り始めた。
     しかし、このまま真っ直ぐ自宅に戻ると思っていたカールの予想は外れることになる。父が運転する車は途中にあるケーキ屋の駐車場に入ったのだ。
     そのケーキ屋はカールもよく知っている店だ。カールが生まれるよりも随分と前にオープンしたケーキ屋の評判は良く、この辺りに住んでいる者ならば何度も食べたことがあるだろう。それはグライムズ家も例外ではない。
     誰かの誕生日やクリスマスでもないのにケーキ屋に立ち寄ることに疑問符を浮かべるカールに父が車を降りるよう促したので、カールは頭の中を疑問符で埋め尽くしたまま父の言葉に従う。
     カールが父と共に店内に足を踏み入れると既に何組もの客がいた。どのケーキにしようか悩む客たちの姿は馴染みの光景だ。
     カールが他の客たちの様子を眺めていると肩に父の手が乗せられる。それに釣られて隣を見上げれば、いたずらっぽい笑みを浮かべる彼と目が合った。
    「カールの好きなケーキを選んでいいぞ。ちなみに、買うのはワンホールのケーキだ。」
    「え!ワンホール⁉」
     カールは目を丸くして父とケーキを交互に見た。
     今日はカールと父の二人だけだ。それなのにワンホールのケーキを買うのはなぜなのだろう?
     カールは戸惑いながら尋ねる。
    「今日は誰か来るの?おじいちゃんとおばあちゃんとか、シェーンとか。」
     その質問に対して父はゆっくりと首を横に振った。
    「誰も来ないよ。俺たち二人だけで大きなケーキを食べたらきっと楽しいと思うんだが、どうだろう?」
     カールは父の提案を頭に染み込ませながらショーケースに並ぶケーキを見つめる。
     いつもは切り分けられたケーキを一つ食べるだけなので物足りなさを感じていたが、ワンホールを二人で分けるとなれば満足するまで食べることができる。それはカールにとって非常に魅力的なことだ。
     カールは父の方に顔を戻して勢い良く頷いた。
    「最高のアイディアだよ!お腹いっぱいケーキを食べてみたかったんだ。ありがとう、父さん。」
     カールの返事に父は嬉しそうに笑った。
     そしてカールは父に軽く押し出されるようにしてショーケースの前に立ち、二人で食べるケーキをじっくりと選ぶ。
     ショーケースに並ぶケーキはどれも美味しそうだ。食べたことのあるものを見れば味を思い出して溢れる唾を飲み込み、まだ食べたことのないものはその味を想像するだけでワクワクする。こうなるとケーキを選ぶのは簡単な仕事ではない。真剣にショーケースの中を見つめるカールを微笑ましく見守る大人が父だけではないことを当の本人は気づいていなかった。
     時間をかけて選んだカールは父を見上げて意中のケーキを指差す。
    「これ。これが食べたい。」
     カールが示したのは果物がたくさん乗せられたケーキ。ふわふわのスポンジケーキに程良い甘さの生クリームがたっぷり塗られ、その上に果物が美しく並ぶケーキはカールのお気に入りなので何度も食べたことがあった。
     父は「予想通りだった」と笑いながら店員に注文する。
     会計が終わって品物を受け取るのを待つ間、カールはワクワクする気持ちを抑えられずにソワソワと体を揺する。その様子を店員や他の客たちが微笑ましげに見ていたことを知っているのはカールの父だけである。


    *****


     買い物から戻り、カールは父の手伝いをして午前中を過ごした。
     昼食後は自分の部屋で遊んでいたが、突然部屋のドアがノックされる。
    「入っていいよ。」
     カールがそう告げるとドアが開いて父が顔だけを覗かせた。
    「カール、もう三時だからティータイムにしよう。お待ちかねのケーキだ。」
    「すぐに片づけるから待って!」
     カールが遊んでいたおもちゃを慌てて片づけ始めると父は「準備して待ってるよ」と言って去っていった。
     おもちゃを片づけ終わってからダイニングルームに行ってみればテーブルの上には既にケーキの入った箱が置かれていた。キッチンでは父が二つのティーカップに紅茶を淹れている。
     テーブルにはフォークと皿がなかったのでカールが食器棚からそれらを出そうとすると父の声が飛んでくる。
    「皿は出さなくていい。フォークだけ出してくれ。」
    「フォークだけ?」
     カールは皿に向かって伸ばしかけた手を止めて首を傾げる。
     切り分けたケーキを乗せる皿が必要なはずだが、なぜ出さなくていいのだろう?
     カールは頭を捻りながらも指示に従って食器棚からフォークだけを取り出して各々の席に置く。カールの席は父の向かい側だ。
     そしてカールが自分の椅子に座ったところで父がティーカップを運んできてくれた。
    「よし、準備ができたからティータイムを始めよう。」
     少し弾んだ声の父は箱からケーキを出して自分とカールの間に置いた。予想した通り、ケーキは切り分けられていない。
     カールが戸惑い混じりの視線を父に向けると彼は楽しげな笑みを浮かべる。
    「カール、どうやって食べるのかわからないんだろう?」
    「うん。切ってないし、お皿もないし、どうするの?」
     カールが尋ねると父はフォークを手に取ってこう言った。
    「ワンホールのままフォークだけを使って食べるんだ。」
     予想外すぎる答えにカールは思わず「えぇ⁉」と声を上げる。
     二人で一つのケーキを、しかも切り分けることなくワンホール丸ごとを皿を使わずに食べるだなんて聞いたことがない。同級生の中にもそんな食べ方をした者はいないだろう。
     予想外の展開に目を丸くしているカールに父は「俺が学生の頃なんだが」と話し始める。
    「シェーンと二人でワンホールのケーキを食べたことがあるんだ。切り分けないで、それぞれにフォークだけを使ってな。ケーキの山を掘りながら食べているみたいで楽しかったし、いつもより美味しく思えた。だからカールともやってみたいと思ったんだよ。」
     懐かしそうに目を細める父の顔はとても楽しそうなものだ。
     しかし、その楽しそうな笑みが消えて苦笑が浮かぶ。
    「俺にとっては楽しいことだったが、行儀が悪いのは確かだ。汚いと感じるのも無理はない。だから嫌なら正直に言ってくれ。一番大切なのは楽しいティータイムにすること。そうだろう?」
     カールは自分がどうしたいのかを考える。考えるといっても何分も悩んだりしない。答えはすぐに出た。
     カールは口を大きく開けて「やりたい」と父に告げる。
    「すごく楽しそうだから僕もやりたい。父さんとシェーンだけ楽しいことをするなんてズルいよ。僕もやる。」
     カールの返事に父は心の底から嬉しそうに笑った。その笑顔にカールは自分も笑顔になったのがわかった。
     そしてカールはフォークを手に取って構え、準備ができたことを伝えるために父に向かって頷く。それに応えて父が同じように頷き返した。
    「じゃあ、早速食べよう。カール、自分が食べたいように食べればいいんだぞ。好きなところから食べていけばいい。」
    「うん、わかった。ええっと、それじゃあ……」
     カールは少し悩んでからケーキの端をフォークで掬い上げた。遠慮なくスポンジを削ったため、フォークからスポンジと生クリームが少しはみ出している。
     カールはフォークに乗ったケーキの塊を見て胸がドキドキした。こんなにも大きな塊を口に入れるのだと思うと妙にワクワクして、楽しさが全身に流れていくようだ。
     カールは口を最大限に開けてケーキを口の中に迎え入れた。ケーキを口の中に入れ、その美味しさを味わうカールの目は徐々に見開かれていく。いつもと同じ店で買ったケーキなのに今までで一番美味しく感じたからだ。
     カールは一口目のケーキを飲み込むとすぐに二口目のケーキの塊を掘り出して口の中に放り込む。今度は果物を掘り当てたため爽やかな甘さが口の中に広がっていった。
     カールは夢中で大きなケーキにフォークを突き立て、甘くて美味しい山を崩していく。頂上に並ぶ果物ごとスポンジを掬うと他のスポンジが少し崩れ、中に潜む果物が顔を覗かせる様子がとても魅力的だった。それを見ただけでますます食欲が湧いてくる。
     大きなケーキの塊を口に入れると、はみ出た生クリームが口の端を汚したので思わず舐め取った。流石に行儀が悪かった、と気まずい思いで父に視線を向ければ彼が自分の唇に付いた生クリームを舐める瞬間を目撃することになった。
    (父さんもあんなことするんだ)
     初めて見る父の仕草にカールは意外さと親近感の両方を抱き、思わず頬が緩んでしまう。
     普段は格好良くて頼りになる父にも少し行儀の悪いところがあったのだ。それはカールにとって嫌なことではなく、父への親しみを強くさせるものだった。
     カールは小さく笑みを浮かべ、先程までと同じように再びケーキと向き合う。そしてケーキを頬張りながら父に話しかける。
    「父さん、いつもより美味しい。それに楽しいね。」
     カールの言葉に父が嬉しそうに目を細めた。
    「よかった。……そうだ。言い忘れてたが、母さんには内緒だぞ。」
    「内緒?どうして?」
    「俺たちがこんな食べ方をしたなんて知ったら母さんは引っくり返るさ。だからカールと俺の二人だけの秘密だ。いいな?」
     カールは口の中にあったケーキをゴクンと飲み込んで父の顔を見つめる。向かい側に座る父はなんだか楽しそうに笑っている。
     この食べ方は楽しいが行儀は悪い。母が知れば驚き、そして自分たちはひどく叱られることになるだろう。それならば黙っておいた方が懸命だ。それに「カールと父の二人だけの秘密」という言葉がとても魅力的に響いた。大好きな父と自分だけの楽しい秘密があるのは悪くないどころか最高だ。
     カールは一切の迷いなく首を縦に振った。そうすると父が拳を突き出してくる。
    「よし、約束だ。誰にも言うんじゃないぞ。シェーンにもな。」
     「あいつに言うとローリにバラされる」と笑う父の拳にカールは己の小さな拳を触れ合わせた。
    「約束するよ。だから、また二人だけの時にやろうね。」
    「ああ、もちろんだ。これも約束だな。」
     カールは父と拳同士を触れ合わせたまま笑顔を浮かべる。
     幸せな思い出と楽しい秘密、そして嬉しい約束。それらのおかげで甘くて幸せな気分がカールの心を埋め尽くした。それは目の前のケーキ以上に甘いということは父にも秘密だ。

    End





    ・【肉】 リック&ダリル

     ダリルはいつもより少し早めの昼食を終えた後、リックを連れて調達に出た。今回は他の同行者はいない。
     そして今現在の二人は住人のいなくなった家の中で物資を探している。ダリルは荒らされた印象のある家の中を探索しながらも、その頭の中にあるのはリックのことだった。最近のリックは畑と家畜の世話にかかりきりで刑務所の外に出ることが少なく、皆との交流も減っていた。
     外出が減ったことは問題ではない。忙しいのであれば仕方のないことだろう。ダリルが心配しているのはリックが自分の子どもたちやハーシェル以外の者たちと積極的に関わろうとしなくなっていることだ。
     ダリルにはリックがウッドベリーから連れてきた者たちや新たに刑務所の住人として受け入れた者たちだけでなく、付き合いの長い仲間とも距離を置いているように感じられるのだ。現にダリルは最近リックと会話らしい会話をしておらず、挨拶程度しか言葉を交わしていなかった。こちらから話しに行ってもリックは何かと理由を付けて立ち去ってしまうのだが、これはダリルだけでなくグレンやキャロルたちに対しても同じらしい。
     ハーシェルは「リックはリーダーとして重責を担ってきたことやローリを喪ったことによるストレスを癒やしている最中だから見守ってやりなさい」と話していたが、だからといって放っておくことはできなかった。孤立してしまいそうなリックを一人にしておけないダリルはリックを調達に連れ出したのだ。
     人手が足りないことを理由に同行してもらったが、少し強引だったのではないかとダリルは今更ながらに気にしている。同行を依頼した時のリックの困ったような顔が目に焼きついていた。
    (孤立させたくないってのは俺の独りよがりか……)
     リックは大勢の仲間たちに囲まれて笑っている方が似合う。一人で畑にいる彼を見るとダリルは胸が痛くて仕方ないのだ。ただ、それはダリルが勝手に胸を痛めているだけの話であり、リック自身は誰にも構われたくない可能性がある。彼のためを思っての行動だったはずが、結局は自分のためでしかないのかもしれない。
     そう考えて落ち込みそうになるダリルは目ぼしいものがないリビングルームでの探索を切り上げてキッチンにいるリックのところへ向かった。


     キッチンではリックが調理器具や食器を広げて持ち帰るものを吟味している最中だった。ダリルは床に座り込むリックの傍らにしゃがみ込んで彼の顔を横から覗く。
    「どうだ?何か良さそうなものはあったか?」
    「食料はないが、調理器具や食器の種類はなかなか多いぞ。木製の食器がそれなりの数があるから、食器はそれを持ち帰ろうと思う。」
    「ああ、それいいな。落としても割れにくいし。車に運んでおく。」
    「ありがとう。その前に見落としがないか見てもらっていいか?」
     ダリルはリックからの頼みに頷いて応え、キッチンの中を観察して回る。
     引き出しや流しの下の扉を開けて一つずつ見たが残されているものはない。見落としはなさそうだ。
     そう考えたダリルはカウンターの隅に並ぶ瓶詰めの存在に気づいた。いくつも並ぶ瓶の中には様々な食材が濁った液体に浸かっていたり、乾燥したハーブが入っているものもある。この家の住人は中身の入った瓶を並べておくのが好きだったようだ。長く放置された結果腐っているため持ち帰ることはできないが、なかなかに興味深い。
     ダリルは単純な興味から瓶の群れを眺めていたが、そのうちの一つを見て目を瞠る。ダリルの目に留まったのはスーパーなどで普通に売られているスパイスの瓶だ。世界が変わる前、数えきれないくらいに目にしたラベルのことはしっかりと覚えていた。
     それは肉用のスパイスで、肉の旨みを引き出すために様々なハーブがブレンドされている。それだけでなくローストしたニンニクと玉ねぎが混ざっていることにより味に深みが増すのだ。焼いただけの肉を素晴らしいメインディッシュに変えてくれるスパイスはダリルもよく世話になっていた。
     ダリルは惹かれるようにスパイスの瓶を手に取ってじっくりと眺める。スパイスは残り少なく、瓶の底の方に少しだけ残っているそれを見ると思わず溜め息が出た。
     刑務所に辿り着くまでの旅路における調達での最優先は食料であり、調味料のことなど頭の片隅にもなかった。今までに立ち寄ったところにもこのスパイスはあったのかもしれないが今更どうしようもない。そう考えても実際に目にしてしまうと「このスパイスがないか探せばよかった」と後悔してしまう。
    「ダリル、どうした?」
     ダリルの様子に異変を感じたリックが近づいてきたのでダリルは振り返ってスパイスの瓶を見せてやる。
    「これ。気に入ってよく使ってた。」
     ダリルが掲げた瓶を見てリックが目を丸くした。
    「知ってる!焼いただけの肉がすごく旨くなるよな。俺も好きなんだ。」
    「あんたもか?俺は凝った料理なんか作らねぇから常備してた。こいつさえあれば問題ないからな。」
    「持って帰りたいところだが、量が少なすぎるな。持って帰っても仕方ないか。」
     そう苦笑するリックの声には残念さが滲んでいる。その声を聞くとダリルもますます残念な気持ちになった。
     ダリルは瓶を元の場所に戻そうとしたが、どうしても手が離せない。スパイスの味が舌に甦ったような気がして惜しむ気持ちが消えてくれなかった。
     諦めきれずに瓶の中身を見つめていると残りのスパイスの量から小さい肉なら足りることに気づく。大勢ではなく二人分だけであれば何とかなる。そう思ってしまえば食欲が抑えきれなくなった。
     ダリルはスパイスの瓶を持ったままリックの顔を見てこう告げる。
    「リック、二人分なら足りる。俺たちだけならこいつを使った肉が食えるぞ。」
     「たかがスパイス」にしては異様に熱の籠もった声だが、それだけダリルは必死だった。
     スパイスの効いた肉の美味しさを思い出してしまった今、このチャンスを逃せば後悔するのは目に見えている。何度も味を思い出しては「どうにかして食べればよかった、持ち帰ればよかった」と悔やむことになるだろう。
     ダリルが食い入るようにリックの顔を見つめていると彼はスパイスの瓶に視線を向けた。その顔は少し切羽詰まったように見えた。
     そして、リックの喉が大きく上下に動く。
    「──参ったな。味を思い出したら食べたくなってきた。」
     溜め息混じりに呟いたリックは視線をダリルの顔に移して苦笑する。
    「ダリル、今から狩りをしようか?そんなに長い時間は取れないが。」
     リックの提案にダリルはニヤリと笑う。堅物に見えて意外とノリの良い彼のこういったところをダリルは気に入っていた。
    「俺に任せとけ。あんたは荷物を車に運んでから火を起こす準備をしてくれ。」
    「わかった。頼んだぞ。」
     互いに頷き合うとすぐに行動を開始する。
     たかがスパイス。たかが肉。それでも二人は真剣だ。


    *****


     運はダリルとリックに味方した。狩りを始めて一時間も経たないうちにウサギを一匹仕留めることができたのだ。
     ダリルがリックのところに戻ると彼は持ち帰る荷物を車に運び終えて焚き火に使う小枝を集めていた。ダリルがウサギを捌く間にリックが火を起こし、その火で新鮮な肉をじっくりと焼いていく。
     地面に腰を下ろして肉が焼ける様子を二人は黙って見守っていたが、ダリルは心に引っかかっていることをリックに打ち明けると決め、焚き火に注いでいた視線をリックへ移した。
    「なあ、リック。……無理に連れてきて悪かった。」
     ダリルの謝罪にリックが首を傾げた。謝罪の理由がわからないらしい。
    「あんたは一人でいたいのかもしれないが、俺はあんたを放っておけない。リックが孤立してるのを見るのは辛い。だから今日の調達に連れ出したが……あんたの気持ちを無視してるよな、俺。」
    「そんな風に思っていたのか……。俺は自分が孤立していると感じたことはない。だから、そんなに心配しなくてもいい。すまなかった。」
     リックの気遣わしげな声にダリルは溜め息を吐いて俯く。自分の方が気遣われてしまうなんて情けない。
     その時、リックの手がダリルの肩を軽く叩いた。
    「顔を上げてくれ。俯いているなんてお前らしくない。」
     柔らかな声音に誘われるようにリックの方に顔を向けると彼は穏やかに微笑んでいた。
    「心配してくれる気持ちは嬉しいし、お前やみんなのことは今でも大切な家族だと思っている。ただ、俺の中に決断を迫られるのを避けたい気持ちがあって、話しかけられると身構えてしまうんだ。だから無意識にみんなから離れるんだと思う。」
     苦笑しながら自分の状態を説明するリックの顔からダリルは一瞬も目を逸らさなかった。
     リック一人に重責を背負わせてきたツケが回ってきているのだと思うと罪悪感で胸が苦しくなる。それでもこの苦しみから目を背けてはならない。救いなのはリックが仲間を拒絶したいわけではないということだ。
    「ダリル、俺にもう少し時間をくれないか?自分自身とじっくり向き合いたいんだ。」
     リックの目は真っ直ぐにダリルを見ている。そのことがダリルは嬉しかった。久しぶりにリックと視線を合わせて話ができたからだ。
     ダリルは笑みを浮かべながら頷いて「わかった」と答える。
    「俺が一人で焦りすぎた。もっと落ちついてあんたを見守るようにする。悪かったな、リック。」
    「お前が謝る必要はないさ。……さあ、この話は終わりにしよう。そろそろ肉が焼けたんじゃないか?」
     リックの明るい声に頷き、ダリルは肉が刺さった枝を火から外す。角度を変えながら焼け具合を確認してみたが問題なさそうだ。
    「もう食えるな。切り分けるからちょっと待て。」
     ダリルは探索した家から持ち出した皿の上で焼けたばかりの肉を二つに切る。
     熱々の肉を切るのは少々苦労するが全く苦にならない。肉に刺さったナイフの隙間から漏れ出る肉汁に思わず唾を飲み込むダリルの横ではリックが「良い香りだ」と声を弾ませる。
     そして均等に分けられた肉を各自の皿に置き、その肉にリックがスパイスをかけていく。その手つきは振りかけるというよりも丁寧に乗せていくという方が相応しい。まるで宝物のようにスパイスを扱うリックの手元を見つめる自身の目が子どものように輝いていることをダリルは知らなかった。
    「──よし、スパイスを使い切ったぞ。冷めないうちに食べよう。」
     リックは号令と共にダリルに肉の乗った皿を差し出してきた。ダリルは感謝の言葉を返しながらそれを受け取り、肉を掴んで口に入れようとした。
     その時、リックの手にした肉に目が吸い寄せられる。ダリルはリックの肉を見てから自分の肉を改めて見て軽く目を開いた。スパイスの量が自分の肉の方が明らかに多いのだ。
    「おい、リック──」
     慌てて声をかけようとしたダリルの目の前でリックが自分の肉に噛みつき、肉に噛みついたままダリルを見て「ん?」と首を傾げた。こうなってしまえば肉の交換を申し出てもリックが首を縦に振ることはないだろう。
     ダリルは「何でもない」と頭を振ってから自分の手の中にある肉を見下ろす。
    (本当にお人好しな奴だな)
     心の中だけで呟き、スパイスと共にリックの優しさもかけられた肉に向かって微笑んでから勢い良く齧りついた。
     しっかりと焦げ目の付いた肉は柔らかく、噛む度に肉汁が口の中に広がる。その肉汁と混じり合って程良く香るスパイスが食欲をそそった。肉の臭みを消して旨みを際立たせるためのハーブはその効力を発揮し、ハーブの香りと同時に来るニンニクの風味は最高だ。玉ねぎの仄かな甘みが肉の味と合わされば文句なしの美味しさになる。
     一口目を食べた瞬間からダリルは肉に夢中になった。それはリックも同じようで、互いに無言のまま肉を頬張っている。
     夢中で食べ進め、やがて残り一口程度の量になったところでダリルは深く息を吐いた。
    「久しぶり過ぎるせいなのか前より旨く感じる。」
     ダリルの意見に同調するようにリックが頷く。
    「俺もだ。……ビールが飲みたい。」
     ボソッと呟いたリックに向かってダリルはしかめっ面をする。
     そして残りの肉を口の中に放り込みながら携帯している布で手の汚れを拭き、立ち上がるとリックの膝を軽く蹴った。
    「せっかく言わないでやったのに言うなよな……。俺だってビールがあったら最高だと思ったのに。」
    「あ、すまない。」
     ダリルからの苦情にリックは苦笑いを返し、最後の一口分の肉を口に入れてから立ち上がった。
     ダリルはリックが手の汚れを拭き取っている間に焚き火に土をかけて火を完全に消す。肉を食べ終わったなら後は刑務所に帰るだけだ。
     二人揃って車まで戻り、乗り込む前にダリルはリックに呼びかける。
    「おい、リック。今回のことは他の奴らには黙っておけよ。」
    「わかってる。『二人だけ狡い』なんて恨まれるのは嫌だ。」
     ダリルは「それならいい」と頷いてから運転席に乗り込んでエンジンをかける。そしてリックが助手席に座ってドアをきちんと閉めたのを確認してからゆっくりと車を走らせ始めた。
     探索を終えた家から遠ざかっていくと、リックが不意に「ダリル、ありがとう」と感謝を口にする。突然の言葉に驚き、チラッとリックの顔を見てみれば彼は柔らかく微笑んでいた。
    「懐かしい味を楽しめて嬉しかったし楽しかった。気が向いたらまた調達に誘ってくれ。」
     思いがけない申し出に返す言葉が瞬時に浮かばなかった。
     ダリルは前方を見つめたまま何を言うべきか考え、少し躊躇いがちに口を開く。
    「俺に構われるの、鬱陶しくないか?」
    「鬱陶しいなんて思ったこともない。暇な時は畑にも遊びに来てくれ。歓迎する。」
    「手伝いが欲しいだけだろ?」
    「バレたか。」
     そう言って楽しそうに笑い声を上げるリックに釣られてダリルも笑い声を上げる。
     リックを調達に誘って良かった。
     ダリルは少しの迷いもなくそう思えた。

    End





    ・【フルーツティー】 リック&ニーガン

     今日はとても暑い日だった。照りつける太陽に焼かれ、熱を孕む空気にまとわりつかれ、暑さによる喉の渇きに苦しめられた日。そんな日は普段よりも仕事量を抑えて家の中で静かに過ごしたくなる。
     しかし、救世主たちに支配されているアレクサンドリアの住人はそんなわけにはいかない。支配者に差し出す物資を集めなければ待ち受けているのは仲間の死だ。町のまとめ役を担うリックも当然休むわけにはいかず、全身から噴き出す汗に顔をしかめながらも打ち捨てられた家々を回って物資を探した。
     調達を終え、暑さのせいでいつも以上に疲労を感じながら町に帰れば救世主たちの車が堂々と停まっていた。
     「徴収日はまだ先だぞ」という嘆きを心の中だけで零しながら住人の一人にニーガンの所在を尋ね、返ってきた答えに溜め息が漏れる。「ニーガンはリックの家にいる」と言われたのだ。
     リックは重い足を引きずりながら我が家に向かい、怒りを堪えながら玄関ドアを開ける。
     家に入ればニーガンがダイニングの椅子に座っている姿が見えた。いつも着ている黒の革ジャケットとルシールという愛称のバットをテーブルの上に置き、白のTシャツ姿で本を片手にリラックスする男に改めて怒りが込み上げる。
     ニーガンは家の中に入ってきたリックに気づいて顔を上げた。
    「よう、リック!こんなクソ暑い日に調達に行くなんて熱心だな。俺のためだと思うと嬉しくて泣けてきそうだ。」
     からかうような口調のニーガンは本をテーブルに置いて立ち上がった。そのニーガンの前にリックは立ちはだかるように立って鋭い眼差しを向ける。
    「今日は徴収日じゃない。ここに来る必要はないだろう。何しに来た?」
     リックは苛立ちを隠さずに問いかけた。その声の鋭さをニーガンが気にした様子はなく、そのことが更に苛立ちを煽った。
     ニーガンは自分を睨むリックの視線を無視してキッチンに入り、食器棚からグラスを二つ取り出す。その勝手な行動を咎めるためにリックが名前を呼んでもニーガンは知らん顔で次は冷蔵庫に近づいた。
     リックは大股でニーガンの傍に寄ると間近で男の顔を睨み上げる。
    「俺の家のものを勝手に使わないでくれ。」
    「俺の?」
     リックの主張に対して疑問系で返したニーガンの目を見てリックは背筋が寒くなった。
     何の感情も浮かばない目が自分を見下ろしている。それなのに薄い笑みを浮かべる男からは確かな威圧を感じた。
     自分の発言がニーガンは気に入らないのだと瞬時に悟ったリックは向けられる眼差しから逃れるように俯いた。
    「……この家もあんたのものだ。悪かった。」
     リックが謝ると「素直なのは良いことだ」とニーガンが柔らかな声を出した。
     己の不甲斐なさを噛みしめるリックの目の前でニーガンが冷蔵庫を開けてガラス製のピッチャーを取り出した。その中に入っているのは紅茶と小さく切った果物だ。
     リックがピッチャーを見つめながら首を傾げるとニーガンがそれを掲げて得意げに笑う。
    「フルーツティーだ。昨日の調達で茶葉が手に入ったから久しぶりに飲みたくなって、せっかくだからリックにも飲ませてやろうと思ったってわけさ。俺が作ったフルーツティーを飲めるなんてお前は運が良い。」
     ニーガンはそう言ってウインクを一つ寄こすとピッチャーの中に氷を入れ、それを二つのグラスと一緒にトレーに乗せてダイニングへ移動する。リックは慌てて後を追いかけて「必要ない」と拒否の言葉を口にした。ニーガンから施しを受けるなんてとんでもない。
     ニーガンはトレーをダイニングテーブルに置いてからリックを見つめてきた。眉を下げて悲しそうな表情をしているが、それが非常にわざとらしい。
    「おいおい、寂しいことを言ってくれるなよ。お前に旨い茶を飲ませてやろうと思って材料を持ってきて作ったんだぜ?毒が入ってるかもしれない、なんて疑ってる?冗談だろ!俺がそんな奴に見えるってのか?」
     ニーガンは悲しげな顔で嘆いているが、その目には全く悲しみの色が見えない。むしろ愉悦が浮かんでいることにリックは嫌悪感を抱いた。
    ──この男は自分を弄んで楽しんでいる。
     その確信はリックの心に怒りを生み出したが、それを本人にぶつけることはできない。黙って耐えるしかないのだ。
     リックが拳を握って己の中に渦巻く感情を抑えつけていると、ニーガンが顔を寄せて囁く。
    「俺の好意を泥塗れの足で踏みつけるなんて失礼なことをする気はないよな、リック?」
     覗き込んでくるニーガンの目がギラリと光る。獲物を甚振って楽しむハンターの目だ。
     リックは「あんたのは好意じゃなくて押しつけだ」と怒鳴りたい気持ちを堪えて返事をする。
    「あんたの好意に感謝する、ニーガン。ありがたく頂こう。」
     そう答えた瞬間、ニーガンが勝者の顔で笑った。
     ニーガンはリックから体を離すとリックの近くの椅子を指差す。
    「リック、そこに座れ。疲れて帰ってきたお前には俺の作ったフルーツティーを飲んでリラックスする権利がある。」
     どこか勝ち誇ったように言葉を紡ぐニーガンからリックは視線を外さないまま椅子に座った。自分は腹を立てていること、ニーガンからの施しに屈辱を感じていることを示すために敢えてそうしたのだ。
     しかし、ニーガンは鼻歌交じりでグラスにフルーツティーを注いでいるので気づいているのかどうかわからない。
     もしかしたら気づいていても「取るに足らないことだ」と無視しているのかもしれない。
     そう考えると虚しくなり、リックの口からは重い溜め息が漏れた。


     テーブルに乗せたリックの腕の近くにはフルーツティーが注がれたグラスがある。その中身を睨むように見つめるリックの向かい側にはフルーツティーを美味しそうに飲むニーガンがいた。
     リックは視線をグラスからピッチャーに移し、眉間に刻まれたしわを深くさせる。
     紅茶の中には様々な種類の果物がゴロゴロと沈んでいた。今が旬のものや保存用に乾燥させたものが混ざり合っているため種類も量も多い。これだけの果物を用意できるのはサンクチュアリが食料や物資に困っていない証拠だ。
     つまり、ニーガンたち救世主の本拠地であるサンクチュアリは食料や物資が豊富にあり、それだけの量を確保するための人員が揃っているということである。ぎりぎりの人数で調達に駆けずり回るアレクサンドリアよりも圧倒的に力があるのだ。
    (ニーガンは俺に力の差を示すためにこんなものを用意したんだろうな)
     恐らく労うためなどではない。リックを押さえつけて反抗させないためだろう。
     こんなことをしなくても逆らうつもりはないのに、とリックが苦い思いを噛みしめているとニーガンから声をかけられる。
    「おい、リック。怖い顔してないで飲めよ。温くなっちまうぞ。」
     ニーガンは中身が半分ほどになったグラスを片手に微笑む。
     リックは仕方なくグラスを手に取って「一口だけだ」と自分を宥めながらグラスに口を付ける。
     しかし、一口だけでは終わらなかった。リックは半分ほどを一気に飲むとグラスから口を離して驚きと感心の両方を抱きながらそれを眺める。
     紅茶の上品な風味と果物の甘みが絶妙に合わさって舌に染み込むのだ。氷が溶けて薄まることを考慮して濃い目に作られた紅茶のおかげで「味が薄くてまずい」という結果にならず、果汁と混ざり合って爽やかな味になっている。
     リックは半分残っているグラスをテーブルに戻す気になれず、再びフルーツティーを口にした。その様子をニーガンが満足げに見つめていることも知らずにリックはフルーツティーを堪能する。
     フルーツティーを口の中に迎え入れると紅茶の風味が先に来て、その後に次々と果物の味がやってくるのが楽しい。甘みがあるのにベタついた感じがないのは砂糖の甘さではなく果物の甘さだからだ。そのおかげでクドさがなく、さっぱりしているのが嬉しい。
     程良い甘さと冷たさが疲れた体に染み込む心地良さにリックは思わず吐息を漏らした。
    「旨いだろ?」
     ニーガンから味について尋ねられ、リックは首を縦に振る他なかった。否定しようがなく美味しかったのだ。
     リックは空になったグラスをテーブルに置いてニーガンを真っ直ぐに見つめる。
    「美味しかった。だが、こういったことは遠慮してもらえないか?俺だけが良い思いをするのは嫌だ。」
     もちろん、リックは自分が良い思いをしているとは感じていない。今回のことはリックへの遠回しな牽制であって贔屓ではない。こうしてニーガンと同じ空間で過ごすのも苦痛だ。
     そうであっても「ニーガンがリックにだけ特別なことをしている」という事実に間違いはない。ニーガンが自分のコミュニティーの食材を支配地域の住人であるリックのために使っていることには変わりなく、第三者から見れば立派な特別扱いだ。リックがそれを受け入れることはできない。
     これも反抗的な態度だと受け取られてしまうだろうか、とリックが少しだけ不安に思っているとニーガンが目を細めて笑う。機嫌が悪くなった様子はない。
     ニーガンが「グラスを寄こせ」と手を差し出してきたのでリックは戸惑いながらも空のグラスを渡す。
    「リック、今のは俺の期待通りの反応だ。お前がそういう奴だから俺は安心してお前を特別扱いできる。」
     ニーガンは受け取ったグラスにフルーツティーを注ぎながら言葉を続ける。
    「気に入ってる奴には少しぐらい特別扱いをしてやりたくなるもんだ。だが、大抵の奴はすぐ調子に乗っちまう。それじゃあ困る。その点、お前は特別扱いされることを嫌うタイプだ。そこがいいね。」
     リックは予想外のニーガンの反応に困惑して眉を下げた。
     単純に特別扱いが目的だったのだと言われても信じられず、浮かんだ疑問を口にする。
    「力の差があることを見せつけるためじゃないのか?」
     フルーツティーで満たされたグラスをリックに差し出そうとしたニーガンは目を丸くし、次の瞬間には堪えきれないといった様子で笑い出した。
    「リック!全く、お前って奴は最高に面白いな!そんな風に考えるとは思わなかった!」
     気の済むまで笑ったニーガンは笑いの余韻を引きずりながらもリックにグラスを渡してくる。リックはそれを受け取ると「ありがとう」と言って口籠った。
     ニーガンはテーブルに肘を突いて顎を支え、もう片方の手で自分のグラスを弄ぶ。
     そして楽しげに目を輝かせながら言う。
    「俺のお気に入りの中で特別扱いしても調子に乗らないのがお前だ、リック。これからも俺の気まぐれを受け入れて俺を満足させるのがお前の仕事さ。そういうわけだから遠慮なく飲め。」
     ニーガンの主張を聞いたリックの感想は「やはりニーガンは理解できない相手だ」というもの。
     自分のお気に入りの相手に気まぐれで特別扱いをするのがニーガンの趣味ということだろうか?ただ、それをする相手は特別扱いされても調子に乗らない者に限る。
     調子に乗らない相手かどうかを考慮してまで誰かを特別扱いしたいだなんて、特別扱いするのはそんなにも楽しいことなのだろうか?
     どれだけ考えてみてもリックには理解できないことだった。
    (この男の考えを理解するのは無理だな。もう考えるのは止めよう。疲れるだけだ)
     リックはそのように結論付けてグラスを口に運ぶ。
     フルーツティーを口の中に流し込めば「美味しい」と称するしかないそれが喉を潤していく。二杯目のフルーツティーも美味しい。
     大嫌いな男の作ったものなのに美味しいという事実を前にして、リックはこっそりと溜め息を吐くしかなかった。

    End
    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2019/07/27 20:56:02

    罪な味

    #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


    pixivに投稿した作品と同じものです。
    リックと誰かの食にまつわるお話。
    時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


    ・【ピザ】 リック&シェーン
     アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

    ・【ケーキ】 リック&カール
     アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

    ・【肉】 リック&ダリル
     平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

    ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
     S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


    リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
    よかったらどうぞ。

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    • リック受まとめ #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • 飽きたなら、さようなら #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


      ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 夢の残骸 #TWD #ニーガン #ゲイブリエル ##TWD

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S9ep5後で、リックが死んですぐの頃。
      リックの死を悲しむニーガンのお話。ゲイブリエルがそこそこに出番があります。リック、カール、ジュディスの出番は少々。


      リックが死んだと知らされたらニーガンは悲しむんじゃないかと思って書いてみました。
      もしかしたらドラマの中で触れている内容かもしれませんが、「こういう妄想をしました」という報告書みたいなものだと思ってください。
      特に盛り上がりのない話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
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