イラストを魅せる。護る。究極のイラストSNS。

GALLERIA[ギャレリア]は創作活動を支援する豊富な機能を揃えた創作SNSです。

  • 1 / 1
    しおり
    1 / 1
    しおり
    飽きたなら、さようなら「お前はいつも俺のことを考えてろ。俺がお前の最優先だ、リック。」
     そんな傲慢な言葉を俺に向かって吐いたのはニーガンだ。
     何度目かの訪問の時にあの男は俺の顔を指差しながらそう言った。
     それが服従した者の務めだ、と。統治者である自分に貢献するためには常に自分のことを考えているべき。自分勝手とも言えるようなことをニーガンは平然と言ってのける。
     それを跳ね除けることができない俺は奴の望むように「わかった」と頷いた。
     そうすると従順さを褒めるように顎の下を撫でられる。その手の感触に鳥肌が立つが、叩き落としたい衝動をどうにか堪えた。
     あの時のことを今でも覚えている。言われた言葉はハッキリと耳に残っている。
     だが、今のニーガンは俺に向かって全く別のことを言うんだ。


    「リック、お前は来なくていい。好きなようにしたらいいさ。」
     アレクサンドリアに気まぐれで遊びに来たニーガンは俺の顔を見るなりこう言い放った。
     そして視線を俺から外すとゲイブリエルに向かって手招きをする。
    「今日は神父様の話でも聞こうか。来いよ、お散歩だ。」
     困惑を隠し切れないゲイブリエルが俺に顔を向けた。その縋るような眼差しを受け止めた俺は黙って頷くことしかできない。
     大丈夫、従順に振る舞えば問題ない。
     そう言い聞かせるように彼の目を見つめれば小さく頷き返される。
     俺たちのやり取りを見つめていたニーガンは親しい友人のようにゲイブリエルの肩に腕を回して歩き始めた。慌てたように歩き出すゲイブリエルの足が少しもつれたのを見て思わず足を踏み出しかけた。
     だが、「来なくていい」と言われたことを思い出して踏み止まる。視線を自分のブーツの爪先に落とすとニーガンの楽しげな笑い声が遠くに聞こえた。
     ニーガンが俺以外の人間を散歩の供に選ぶのは五回目だ。
     最初はカール、次はダリル、その次はロジータで、そのまた次はミショーンだった。出迎えるために門まで出向いた俺に、あの男は「お前は必要ない」と追い払うような仕草をして他の人間を呼びつけるのだ。
     他の人間を選ぶのが三回目の時に「俺は飽きられたんだな」と思った。
     あいつが興味を持つような面白い話などできない。あんな奴をおだてたり取り入るなんて無理だ。特技も何もなく、どこにでもいる平凡な男。それが俺という人間だ。
     最初のうちは新たに出会った人間ということで物珍しさがあったんだろうが、俺がつまらない人間だと理解したんだろう。
     「あいつに付き合わされなくて清々する」と思えたのは少しの間だけで、どこで何をしているのかがひどく気になった。誰かにひどいことをするんじゃないかと不安になり、自分の知らないところでとんでもない事態に陥るのではないかと心配になった。ニーガンの動向が気になって、放っておくことなんてできなかった。
     だから毎回毎回、懲りもせず居場所を探して様子を見に行った。そうすると俺に気づいたニーガンは呆れたように笑って肩を竦める。
    「おいおい、リック。お前は必要ないって言っただろ?ガキが親の後ろを付いて回るわけじゃあるまいし、自由に遊んでこい。」
     ニーガンがそう言って供に選んだ人間の肩を抱く度に心が軋むのを自覚した。
     「お前は必要ない」とストレートに言われたことが予想以上に俺の心を抉る。
     リーダーに向いていない。特別な知識も技能もない。強い精神を持つわけでもない。何も持たない俺を誰が必要とする?
     そんな風に揺らぐ自分を「我が子たちがいるだろう」と叱咤したこともある。それでもニーガンに対して怯むことなく向き合うカールを見て、あの男と楽しそうに過ごすジュディスを見て、その思いさえ揺らぐことがあった。
     揺らいで、揺らいで、宿敵であるはずの男から与えられた「お前は特別だ」という言葉に自分が随分と支えられていたのだと思い知った。
     情けないにも程がある。俺が仲間のために行動するのは誰かに必要とされたいからじゃない。守りたいという気持ちがあるからだ。
     それなのに「自分は誰からも必要とされていない」という思いに駆られ、足下が揺らぐような心地がした。
     俺は視界から追い出すようにニーガンたちに背を向け、どこを目指すわけでもなく歩き出す。これ以上揺らぐのは嫌だった。
     あんな奴、二度と来なければいいのに。


    *****


     次の徴収を明日に控えた朝、俺は一人で調達に出かけようとしていた。
     車を町の門のところまで移動させるとロジータとタラが近づいてきた。二人とも少し心配そうな顔をしている。
     閉まったままの門の前に車を停めて窓を開けると二人に顔を覗き込まれた。
    「リック、明日用の物資は足りてるでしょ。無理しなくていいんじゃない?」
     ロジータは引き止めるように車のボンネットに手を置いた。気遣わしげな眼差しを向けられると申し訳ないと思うが、予定を変えるつもりはない。
     俺は苦笑を浮かべながら首を横に振った。
    「足りてると言ってもギリギリだ。不安を潰しておきたいから行ってくる。もちろん泊りがけじゃなくて日帰りだ。」
    「そうは言ってもさー……リックは毎日調達に出てるんだし、一応は足りてるんだから別にいいじゃん。何でニーガンなんかのためにリックが無理しなきゃならないわけ?」
     タラは納得できないのか口を尖らせている。
     小さな子どもが拗ねているような姿が微笑ましくて、つい手を伸ばして頭を撫でてしまった。
     タラは子ども扱いを嫌がることなく俺の手を受け入れてくれる。そのことと心配してくれる気持ちが嬉しかった。
    「俺が心配性なだけだよ。夜遅くなるかもしれないが心配しないでくれ。」
     そう言って小さく笑ってやればタラはそれ以上反対せずに頷いた。
     その隣にいるロジータは相変わらずボンネットに手を置いたままでいる。
    「カールには話した?」
    「もちろんだ。『父さんは頑固だから反対するだけ無駄』と言われた。」
    「……カールがそう言うなら私たちが何を言っても意味ないね。気をつけて行ってきて。」
     ロジータは呆れたように笑いながら車から手を離し、門を開けてくれた。
     タラの方に顔を向けるとむくれた顔をしながらも拳を差し出してくる。見送りの挨拶のようなものだろう。
     俺は彼女の拳に自分の拳を軽くぶつけてから窓を閉じ、ゆっくりと車を発進させる。
     ロジータの横を通る時に彼女を見てみれば微笑みながら頷いてくれた。それに頷き返して正面に顔を戻す。
     ニーガンに支配されるようになってから調達は気の重くなる仕事だが、二人のおかげで俺はいつもより明るい気持ちで出発した。


     調達に向かったのは道路が整備されていなくて足を運ぶ回数が少ない地域だ。まだ探索していない場所があるので何か残っている可能性は十分にある。
     ただ、道路の状態は本当に悪い。デコボコしていたり、雨が大量に降れば泥道と化してしまいそうな部分が多かった。だからこそ避けてしまいがちだが、今はそんな場合じゃない。少しでも多くの物資を集めなければ。
     ひたすら車を走らせているとガレージ付きの家が一軒建っているのを見つけた。その家の前に車を停め、中の様子を探ってから中に入る。
     家の中には人間もウォーカーもいなかった。荒らされた様子があるので既に誰かが手を付けた後だろうが、取り零しがあることを期待して探索してみようと思う。
     ここに来るまでに昼になってしまったので持ってきたクッキーとドライフルーツで食事を済ませ、家の中を細かく見て回る。
     冷蔵庫や棚を見ても食料は残っていない。衣類もほとんどなかった。
     だがシーツや毛布は残っていたので車に積み、クッションや枕もその上に積んでおく。これで少しは寝床改善に繋がるだろう。……もしかしたら救世主たちに持っていかれてしまうかもしれないが。
     家の中の探索を終えてガレージに行こうかと思ったが、包丁やナイフは武器代わりとして使えるかもしれないと思い直しキッチンに取りに戻る。
     再びキッチンに入って数歩歩くと、あることに気づく。マットが敷いてある床は他の床と踏んだ時の音が違う気がした。
    「もしかして……」
     膨れ上がった期待に顔がほころぶのを自覚しながらマットをずらしてみた。
     現れたのは床下収納庫。急いで蓋を外してみれば、全く手の付けられていない缶詰めや保存食が詰め込まれていた。先にここを探索した人間はこれに気づかなかったんだろう。
     俺は幸運に感謝しながら中身を次々と取り出していく。食料以外にも何本か酒の瓶も入っていて、そのうちの一本を手に取って眺める。
    「これはニーガンへの貢ぎ物だな。」
     そう呟くと苦笑いが漏れた。
     いつも頑張っている仲間たちに飲ませてやりたい。たまには酒を飲むことぐらい許されてもいいはずだ。
     だが、そうはいかない。負担を減らしてもらえる可能性が少しでもあるならニーガンに献上すべきだ。
     そう思った途端に手に持った酒が輝きを失ったように見えた。
     気を取り直して全ての物資を収納庫から出し、その辺にあった箱に入れ直して車へ運ぶ。それなりの重さはあるし、何往復もするのは疲れる。それでも予想外の収穫に心は軽かった。
     次はガレージに足を運んで残されていた工具や部品を車に入れた。これだけあれば今日は十分だろう。
     額の汗を手の甲で拭い、その流れで腕時計を見ると三時を過ぎていた。
    「思ったより早く帰れそうだな。」
     そのことにホッと息を吐き、荷物が車の揺れで崩れないように積み直してから運転席に座って車を動かす。
     明るい気分で車を走らせていると遥か前方に蠢く固まりが見えた。まだ遠くてそれが何かがわからず、目を細めてみたがだめだった。
     ウォーカーである可能性を考えてスピードを落としながら近づいてみる。
     早歩き程度の速度で進み、蠢く固まりの正体がわかる位置まで辿り着くと苦い気持ちで車を停車させた。
    「──ウォーカーの群れか。」
     視界に広がる死者の海を見て俺は顔をしかめた。
     数えるのが嫌になるほどのウォーカーの大群が横切っていくのを眺めているだけで溜め息が漏れる。長い行列は終わりが見えず、完全に通過するまでには時間がかかるだろう。
     このまま通り過ぎるのを待っても構わないが、何かのきっかけで俺の存在に気づかれた時が怖い。一人きりで大した武器もない状態で群れに襲われたら間違いなく死ぬ。
     地図を取り出して現在地の周辺を見てみると、遠回りにはなるが他の道からアレクサンドリアに戻ることができるとわかった。ウォーカーの群れが向かう方向とは反対側に位置するので危険を避けることもできる。帰る時間が遅くなるとしてもこちらに行くべきだろう。
     決めたなら即行動だ。バックしながらウォーカーの群れから遠ざかり、見えなくなる位置まで離れてから方向転換して走り出す。
     途中までは順調だった。探索した家の近くを通り過ぎて、しばらくは何も問題なく走ることができた。
     ところが俺の視界にまた蠢く固まりが現れた。嫌な予感がして車のスピードを落とす。
     肉眼で詳細を確認できる距離に来た時、俺はさっきと同じように車を停めた。
    「冗談だろ?また群れなのか。」
     うんざりと溜め息混じりに吐き出した言葉の通り、俺の視線の先にはウォーカーの群れがいた。
     俺の進路を塞ぐように歩くウォーカーの数はさっき見た群れよりも少ないが、それでも一人で対処するには多すぎる。群れが通り過ぎるまで待機していようか迷ったが、やはり気づかれた時が怖い。群れに気づかれて追われ、逃げた先にさっきの群れがいたらお終いだ。
     散々悩んで出した結論は探索した家の辺りまで戻って待機すること。どちらの群れも向かう方向は家のある地域ではなかったので、あの家の辺りで待機するのが一番安全だ。
     同じような展開に疲労感が増したが、とにかく戻るしかない。ハンドルを握り直して再び車を後退させた。


     探索済みの家に戻る途中で空が暗くなってきた。太陽が沈み始めただけじゃなく雨雲が広がっていたからだ。
     そのうちにフロントガラスに雨粒が落ちてくるようになり、その勢いはみるみる増していく。
     これから暗くなるというのに雨まで降れば視界は最悪だ。ウォーカーの群れがいることを考えると下手に移動しない方が良いかもしれない。普通に考えれば帰るのは朝になってからが良いだろう。
     だが、徴収日は明日。明日の朝に出発して帰るとなるとニーガンたちが来る時間に間に合わないかもしれない。
     危険を覚悟で今日中に町へ戻るか、無理せず朝になってからにするか。
     そのことを迷う俺の頭にニーガンの声が響く。

    『おいおい、リック。お前は必要ないって言っただろ?ガキが親の後ろを付いて回るわけじゃあるまいし、自由に遊んでこい。』

     ニーガンの言葉を思い出した途端に「無理してでも帰るべきだ」という気持ちが萎んでいった。
     きっと徴収の時に俺は必要ない。差し出す物資はぎりぎりで足りる量だが用意してあるし、ニーガンの遊び相手は俺以外の誰かだ。無理して戻っても「お前は来なくていい」と追い払われるだけだろう。
     みんなが上手くやってくれるから今回は俺がいなくても問題ない。ごく自然にそう思った。
     フロントガラスに叩きつけられる雨粒を見つめながら「今夜はあの家に泊まって明日帰る」と決めた。みんなが心配するとわかっていても、もう一つの選択肢を選ぶ気になれなかった。
     何かの塊が喉に詰まっているように感じながら車を走らせ、家の前まで戻ると玄関の近くに車を停めた。そして物資の中から缶詰めを一つ選んで持ってきたリュックに放り込み、毛布も持って車から降りる。夕食にはパンを持ってきているので缶詰めは朝食用だ。
     リュックと毛布を胸に抱えて荷物が少しでも濡れないように走り、家に駆け込むと懐中電灯を取り出して既に暗くなっている室内を照らす。念の為に部屋を一つずつ見回ってから玄関ドアに鍵をかけて他の出入り口も封鎖した。
     安全を確保すると二階の寝室へ向かい、シーツを剥がしたベッドに腰を下ろして深く息を吐く。そうすることで疲れが一気に押し寄せた。一人での調達はいつも以上に疲れる。
     しばらくぼんやりしていると腹が減っていることに気づき、腕時計を見てみれば七時を過ぎていた。
    「……食べて、早く寝よう。」
     そう呟く自分の声には眠気が滲んでいる。
     リュックからパンと水を取り出して質素な夕食を済ませ、ベッドに横になって毛布を体に引っ張り上げた。
     目を閉じると雨音が際立って聞こえてくる。強く打ちつける音から察するに大雨だ。道路の状態が心配になるが、眠気のせいで深く考えることが難しい。
     眠くてボーッとする頭に浮かんだことが口から滑り落ちる。
    「ニーガンは、明日も来るのか?来なきゃいい……のに。」
     「お前は必要ない」と追い払われる度に自分が傷ついていることには気づいていた。
     「お前は必要ない」という言葉は存在そのものの否定だ。その言葉を投げつけてきた相手が誰であろうと心に傷を残す。それがこの世で一番憎い人間であってもだ。
     それだけならマシだったのかもしれないが、「ニーガンに興味を持たれている」という事実が仲間を守りきれずに自信を失っていた俺の心の拠り所になっていたことが傷を深くさせた。
     憎しみを抜きにして完全な第三者視点で見ればニーガンという男は完璧に近い。ルックスは男女両方から見ても「良い男」だと評されるだろうし、立派な体格に相応しく腕力も強い。肉体派に見えて賢く知恵も回り、巧みな話術で人を惹きつけることもできる。唯一にして最大の欠点は尊大で傲慢な部分だろうが、それさえも奴の魅力の一つになっているような気がする。
     そんな男から興味を持たれ、特別だと言われることに少しだけ自信を持った自分がいたことは確かだ。リーダーとしての自分に失望して打ちひしがれていた中での救いだったのかもしれない。
     ニーガンこそが自分から仲間と自信を奪った張本人であっても、俺はそう思ってしまった。
     それがあるから見捨てられたように感じてしまう。ニーガンの言葉に必要以上に傷つき、俺に飽きたことを恨んでしまうのが嫌で仕方なかった。だから二度と来ないでほしかった。
     ぐるぐると思いを巡らせながらも睡魔に飲み込まれそうになる。そんな状態で小さく呟く。
    「ニーガンなんか、来なければいいんだ。」
     そうすれば傷つくことはない。
     そう思う反面、あの男の来訪がなくなればそのことにも傷つきそうな気がする。
     どこまでも自分勝手で情けない奴だ、と自分に呆れながら一気に眠りの世界に沈んでいった。


    *****


     目を覚まして見慣れない天井を見て「ここはどこだ?」と一瞬考え、昨日は日帰りできなかったことを思い出す。寝ぼけていないでしっかりしないと。
     体を起こすと毛布を畳み、昨日の調達で見つけた缶詰めを開けて中身を口に運ぶ。時計を見れば六時を過ぎていた。七時前に出発すれば遅くとも昼頃には町に着く……と思いたい。
     手早く朝食を終えて片づけると荷物を持って外に出た。空は快晴で、今日は雨の心配はないだろう。
     毛布とリュックを車に放り込んでからガレージに向かい、持ち運びできそうな鉄板とボロ布を持って車に戻る。泥に嵌った時に使うためだ。
     助手席にボロ布を敷き、その上に鉄板を置いて車を走らせ始めた。
     ところが、走り始めて三十分も経たないうちに車が進まなくなる。泥に嵌った。
     車を降りて確認するために足を地面に着けるとぬかるんで滑りそうになる。昨日の雨の激しさを物語っているようだ。
     タイヤは泥にすっかり嵌っていた。これでは滑ってしまって前に進めないのも当然だ。俺は車から鉄板を降ろしてタイヤに接するように置き、運転席に戻るとゆっくりとアクセルペダルを踏み込む。ガクン、という振動と共に車が前進した。
    「よし、とりあえずは進んだ。」
     ホッと息が漏れたが、問題はこれからだ。
     泥で上手く進めない場所はこの先山ほどあるだろう。その度に鉄板を敷いて、前に進んだら鉄板を回収して先へ進むというのを繰り返さなければならない。かなり骨の折れる作業だ。
     まだまだ長い道のりを思うと重い溜め息が出た。


     予想通り、道路の状態は最悪だった。「これを道路と呼んでもいいのだろうか?」と疑問に思うほどに泥でぬかるんだ道を見て苛立ちと疲労が募る。
     鉄板は持ち運びできるものを選んだがそれなりの重さがある。重い鉄板を運んで敷くという作業の繰り返しで腕も腰も痛い。
     鉄板の持ち運びだけじゃなく、天気が良いせいで余計に汗をかくのも体力を削る原因になった。汗をかくので喉が渇くが、持ってきた飲み水は残り少ない。少しずつしか飲めないせいで絶えない渇きが俺を苦しめる。
     泥道に嫌というほど悩まされたせいで、ウォーカーの群れが通った辺りを過ぎる頃には昼になっていた。
     俺は積み荷の中から缶詰めを一つ貰うと運転席に横向きに座り、開けたままのドアから両脚を投げ出す。見下ろす先にあるブーツもジーンズも泥だらけだ。鉄板を敷くためにしゃがんだり、疲れて脚に力が入らず滑って転んだせいだった。
     口の中のものを噛みながら腕時計で時間を確かめると一時を回っていた。どう考えても町にはニーガンたちが来ているだろう。
     ニーガンたちはいつも夕方までには立ち去るので奴らが帰るまでには帰れそうもない。
    「結局間に合わないな。まあ、俺がいなくても問題ないか。」
     自分の呟いた言葉に虚しさを覚える。
     俺が出迎えなくてもニーガンは何とも思わないだろう。もしかしたら「リックはどうした?」くらいは聞くかもしれないが、調達から戻らないことを聞いても「そうか」と言って終わりにする姿が簡単に想像できる。
     そして今までと同じように誰かを指名して散歩を楽しみ、いつも通りに帰っていく。
     俺なんていてもいなくても奴にとっては同じだ。
    「バカだな。くだらないことばかり考えて。」
     自分への嘲笑を浮かべて缶詰めの中身を全て口の中に詰め込み、片づけてから脚を車内に引っ込める。
     そしてドアを閉め、ハンドルを握って深呼吸する。
     ニーガンのことを考えている場合じゃない。大事なのは調達してきた物資を無事に持ち帰ること。それ以外のことなんて今は考えなくていい。
     気を取り直してエンジンをかけると再び走り出す。
     昼休憩後は意外にも順調に進むことができた。午前中に道路が乾いたおかげで泥に嵌まることが少なかったからだ。道路を彷徨くウォーカーはいたが、数は少なかったので倒すのに手間取ることもない。
     ただ、午前中の疲れが押し寄せて小まめに休憩しないと集中力が保たなかった。睡魔にも襲われるので車を停めて軽く睡眠を取る必要があり、帰るのに時間がかかるのは変わらなかった。
     結局、アレクサンドリアの壁が見える距離まで来られたのは夕方になってからだった。太陽がほとんど沈んだ中で町が見えると心の底からホッとする。
     帰ったらみんなに謝らないといけない。日帰りだと言っておきながらこんなにも遅くなってしまった。
     そんなことを考えながら門に近づく俺は見えてきた光景に眉をひそめる。
     門の周りには町のものではない車が何台もあった。救世主の車だ。いつもはとっくに町から去っているはずの奴らの車があることに心臓が騒ぎ出す。
     何かトラブルがあったのか?だから奴らは未だに町に留まっているのか?誰かが犠牲になったなんてことは?
     不安を抱えながら車を町の中へ進ませるとアーロンが駆け寄ってくるのが見えたので停車して外へ出る。
    「アーロン、戻りが遅くなって悪かった。何があったんだ?」
    「ニーガンがリックを待ってる。車は俺が移動させておくから早く家に戻った方がいい。」
     緊張を漂わせるアーロンの言葉に一瞬言葉を失った。
     ニーガンが俺の帰りを家で待っている?
     それが頭に染み込んだ時に真っ先に浮かんだのはカールとジュディスの顔だ。
    「カールとジュディスは?まさかあいつと一緒にいるのか?」
     思わず前のめりになる俺を落ちつかせるようにアーロンの手が俺の肩に置かれる。
    「大丈夫、二人とも俺の家にいるよ。エリックが一緒にいるから心配しなくていい。」
     それを聞いて思わず安堵の息が漏れた。二人がニーガンの傍にいないということだけでも救いだ。
     俺もアーロンの肩に手を置いて礼を述べると彼は小さく頷いた。
    「アーロン、悪いが車と荷物を頼む。調達は成功だったんだが、泥に嵌って車がひどいことになってる。」
    「だろうね。リックも泥だらけだ。」
     アーロンは苦笑しながら「後は任せて」と言って俺から離れて車の方へ向かった。
     俺はアーロンと車に背を向けて我が家に向けて歩き出す。その途中で何人もの救世主と擦れ違い、奴らがまだ町にいることに唇を噛む。
     もう暗くなっているのでニーガンたちが帰るのは明日になるだろう。この緊張が明日まで続くのかと思うと気が重くなった。疲れているのにゆっくり休むことができないのは堪える。
     何度も溜め息を吐くうちに家の前に到着した。ポーチにはアラットと呼ばれる救世主が立っていて、俺の顔を見ると顎で玄関ドアを示した。「ニーガンが待っているから早く中に入れ」と言いたいんだろう。
     足取り重くポーチの階段を上り、彼女の横を通ってドアノブを握る。
     そして一拍置いてからドアを開けて中に入ると、こちらに背を向けてダイニングの椅子に座るニーガンの姿が目に飛び込んできた。ニーガンは革ジャケットを隣の椅子にかけているので上は白いTシャツだけだった。それが随分とラフな印象を抱かせる。
     ドアの開く音に気づいたニーガンが振り返った。その手にはクラフトビールの瓶が握られている。テーブルの上には空になったビール瓶が三本転がり、未開封のビール瓶も二本あった。
     ニーガンは探るように目を細めて俺の頭から爪先までをじっくりと眺めた。その視線に居たたまれなくなって顔を逸らすと、それを咎めるように名前を呼ばれる。
    「リック。……シャワーを浴びてこい。そんな格好で彷徨かれたら家中が泥だらけになる。」
     そう言われたものの、俺は何の感情も浮かばないニーガンの顔を見つめたまま動けない。
     そうするとニーガンが顔をしかめて「早くしろ」と急かしてくる。
    「着替えは適当なのを持ってきてやる。寝室にあるんだろう?」
    「ああ、ある。……頼む。」
     何とかそれだけを告げてバスルームへ向かう。
     シャワーを浴びるように言われるなんて思ってもいなかった。確かに泥だらけでひどい状態なのは認めるが、俺の状態をニーガンが気にするなんて考えもしなかった。
    (そんなにひどいのか?……まあ、泥と汗に塗れてるからひどいと言えばひどいか)
     自分の汚さについて考えながらバスルームに入り、ブーツを脱いでから服を脱ぎ始める。
     脱いでみると改めて泥汚れのひどさを感じた。服を着たままシャワーを浴びた方が良いかもしれないと思いながらも裸になり、シャワーブースに入る。
     温かい湯を浴びると疲れも一緒に溶けて流れていくような気がする。心地良さに身を委ねてしまいたくなるが、ニーガンを待たせるわけにはいかないので急いで全身を洗う。
     少しするとドアがノックされてニーガンが入ってきた。
    「着替えを置いておくぞ。きれいに洗ってから出てこい。少しでも汚れが残ってたら俺が洗い直してやる。」
    「……ありがとう、ニーガン。」
     忘れずに礼を言うと「どういたしまして」と微かに笑いを含んだ声が返ってきた。
     ニーガンが出ていってドアが完全に閉まると思わず溜め息が漏れた。奴が入ってきただけで緊張していたらしい。
     気を取り直してさっきよりも丁寧に、それでも手早く体を洗う。待たせない方がいいんだろうが、「きれいに洗え」と言われたのに汚れが残っていたら怒らせてしまいそうな気がする。
     この後、一体何が起きるんだろう?
     後のことが憂鬱で俯いてしまう。落とした視線の先では泥が湯に紛れて排水口に流れていった。


    *****


     Tシャツとスウェットパンツを身に着けてバスルームから出ると、ニーガンはまだビールを飲んでいた。テーブルの上に転がる空き瓶が四本に増えている。
     俺に気づいたニーガンはビールをテーブルに置き、椅子ごと体をこちらに向けた。
    「さて……どうして俺がこの時間になっても帰らないのか聞きたそうだな、リック。」
     いきなり本題を切り出されて心臓が跳ねた。
     それを顔に出さないように努めながら頷く。
    「何か問題があったのか?徴収量は足りているはずだが。」
    「ああ、それは問題ない。住民の奴らも従順で良い子にしてた。トラブルは何一つ起きなかった。」
    「それなら、どうして──」
    「お前だよ、リック。」
     ニーガンは俺の言葉を遮るようにそう言った。
     俺を見つめるニーガンの瞳の奥に怒りが燻っているのに気づき、心臓がバクバクと音を立て始める。
     徴収量に問題はなかった。仲間たちも上手くやってくれた。それなのに俺が原因でニーガンは町に留まっている。そのことに目眩がしそうになった。
     指先が冷たくなるのを感じながら「すまなかった」という言葉が口を突いて出た。
    「それは何に対しての謝罪だ?」
     ニーガンの鋭い眼差しが俺に注がれる。
     その問いに俺は「わからない」と首を横に振るしかなかった。
    「すまない、わからない。……ただ、俺が何か悪いことをしたからあんたが怒っていると思ったら、謝らずにいられなかった。」
     ニーガンは眉を下げると大げさに溜め息を吐いた。その溜め息一つに怯えて体が勝手に跳ねる。
    「まるで子どもじゃないか、リック。……わかった、今から俺が父親でお前は俺の子どもだ。何が悪かったのかを子どもに理解させるのは親の役目だからな。いいな?」
     俺は何度も首を縦に振った。これ以上怒らせて誰かが痛めつけられたり犠牲になることが怖かった。
     ニーガンに手招きされたので近づくと、奴は自分の膝を叩いて「向かい合わせで座れ」と命令してきた。
     躊躇いながらも膝の上に乗ると腰に両腕が回されて緩く拘束される。そのことに対する恐怖が背筋をそろりと上がっていくのを感じながらニーガンと目を合わせた。
    「さあ、リック。Daddyに本当のことを話してくれ。どうして今日はお家にいなかったんだ?」
     ニーガンの声は優しくて笑みも浮かべているのに目が笑っていなかった。それが却って恐怖心を煽る。
     俺は恐怖と緊張のせいで頭が上手く回っていないのを自覚しながら必死に言葉を紡ぐ。
    「昨日、から、調達に出ていた。嘘じゃない。」
    「調達に?徴収用の物資は足りてたじゃないか。それなのに徴収に行ったのはなぜ?」
    「ぎりぎりだったから不安で……日帰りの予定だった。」
    「だが、お前はさっき帰ってきた。朝帰りどころじゃない。俺が来るのを忘れてたのか?」
     俺は首を横に振って「忘れてない」と必死に訴えた。
    「じゃあ、どうして帰ってくるのがこんなにも遅くなった?Daddyはお前がいなくてとても悲しかったよ。」
    「ウォーカーの群れを避けて帰ろうと遠回りをして……そのうちに暗くなって、雨も降ってきて、帰ることができなくなったんだ。今日は道路が泥でぬかるんでいたから帰るのに時間がかかった。本当だ。信じてくれ、ニーガン。」
     ニーガンがすっと目を細める。そしてゆっくりと首を横に振りながら「違うぞ」と言った。
    「ニーガンじゃない。Daddyだ、リック。」
    「……はい、daddy。」
    「よし。……泥だらけの姿を見れば嘘じゃないのはわかる。信じよう、リック。だが、問題はそこじゃない。」
     そう言ってニーガンは顎を掴んできた。目を逸らすのは絶対に許さないと主張するように手の力は痛いくらいに強い。
     合わされた視線から怒りがジリジリと伝わってきて自分の目が潤み始めたのを感じる。
     目の前の男のことが心底恐ろしい。
    「俺はお前に、いつも俺のことを考えろと言ったよな。俺がお前の最優先だと。お前は今回それができてない。そのことに俺は怒ってるんだ、リック。」
     意味がわからず何も言えずにいると「よく聞け」と顔を近づけられた。
    「俺が来ることがわかっているなら確実に俺を出迎えられるようにしなきゃならない。日帰りの予定でも前日に遠出するのはだめだ。アクシデントがあれば今回みたいに間に合わなくなる。それぐらいのことは俺を最優先に考えていればわかるはずだぞ。」
    「あんたを──daddy、のことを最優先に考えたから調達に行ったんだ。もし物資の量が足りなかったら腹が立つだろう?」
    「いいや、違う。お前は自分がいなくても問題ないと思ったから出かけたんだ。日帰りできないとわかった時、俺を出迎えることができなくても構わないと考えただろ?」
     ニーガンの言い方が俺を責めているように感じられて腹が立った。
     ムカムカと腹の底で怒りが膨れ上がって、吐き出さなければ破裂してしまいそうだ。
     だから怒りに任せて溜まっていたものを吐き出す。
    「──俺を必要ないと言ったのはあんたじゃないか!」

    「来なくていいと言って追い払ったのは誰だ?あんただろう、ニーガン!」
    「毎回出迎えに行っても『お前は必要ない』と言うだけで、俺以外の人間を指名していたじゃないか。つまらない人間なんか必要ないんだろう⁉」
    「何が特別だ?新しく出会った人間が物珍しかっただけで、飽きたからどうでもよくなって追い払った。あんたはそういう男だ。」
    「必要ないと言われたから間に合わなくても問題ないと思っただけなのに、それが悪いのか?そう考えることがいけないのか?」
    「いいじゃないか、俺がいなくても。今まで通り、あんたを楽しませてくれる人間とお散歩でもすればいい。それで十分だろう?」
    「あんたに振り回されるのはうんざりだ!」

     溜まりに溜まったものを撒き散らし、俺は肩で呼吸をする。
     驚いたように目を瞠るニーガンを見て少しずつ冷静さを取り戻すと、自分がとんでもないことをしてしまったと気づいて冷や汗が噴き出した。
     失言中の失言。大失態。取り返しのつかない過ち。
     ニーガンを責め立てて喚き散らすなんて有り得ない。従順でいなければならないと理解しているのに真逆のことをしてしまった。
     俺が罰せられるだけならいい。他の誰かが代わりに罰を与えられることが恐ろしくて手が震えてくる。
     謝らなければならないと思うのに声を絞り出すことができない。
     固まったままニーガンを見つめていると、ニーガンは気の抜けたように笑って俺の顎を掴んでいた手を頬に移動させた。その手が優しく自分の頬を撫でるのを戸惑ったまま受け入れる。
    「拗ねてたのか、リック。そいつは気づかなかった。悪いことをしたな。」
     ニーガンの声は妙に弾んでいる。なぜ急に機嫌が良くなったのかがさっぱりわからない。
    「お前を追い払って他の奴を呼んだのはお前を試してたからだよ。どんな時でも俺のことを考えてるか試してたんだが、いつも俺の様子を気にしてたお前は合格だった。追い払われても何回も様子を見に来て偉かったぞ。」
     ニーガンは笑顔で「よしよし」と俺の頭を撫でた。
    「今日はそれを褒めてやろうと思ってビールを持ってきた。一緒に飲むのを楽しみにしてたのに──リック、肝心のお前がいない。昨日出かけたっきり帰ってこないと聞かされて、リックが不良息子になっちまった!……なんて腹が立ったのさ。」
     ニーガンは「おかげでビールが残り一本しかない」と言ってテーブルにチラリと視線を向けた。
     俺も同じようにテーブルの上のビールに視線を送ってから再び正面に戻す。
     目が合うとニーガンは嬉しそうに笑みを浮かべた。
    「邪険にされて気を悪くしてるとは思ってたが拗ねるとは考えてもなかった。本当に悪かった。」
    「……違う、拗ねていたわけじゃない。」
    「どう考えても拗ねてるぞ。まあ、いいさ。リック、お前が必要ないだなんて思ってない。お前がいないとつまらない。ここに来る意味もない。だから安心していい。」
     甘く囁かれて背筋がゾクッとした。
     それが堪らなく嫌で、ニーガンの顔を見ていられずに顔を背ければ今度は耳に直接声を吹き込まれる。
    「お前は特別だ。」
     囁かれた瞬間、頭の奥が痺れる。
     この甘い言葉は依存性のある薬物のようだ。度々揺らぐ俺の心に染み込んで、この男の言葉なしではいられなくする。
     俺の心を揺さぶるニーガンが嫌いだ。
     その言動一つで俺を振り回すニーガンが嫌いだ。
     何よりも一番、ニーガンの存在を無視できなくなっている自分が大嫌いだ。
    「こっちを向け。」
     命令に従って顔をニーガンの方に戻す。
     目の前の瞳に俺への執着を見つけ、苦味を含んだ歓喜が胸に満ちる。
    「改めて言うが、お前はいつも俺のことを考えろ。俺のことを考えて俺を最優先にすること。来るのがわかっていれば出迎えは絶対にしろ。できるな?」
    「はい、daddy。」
    「だが、試すためとはいえ冷たくし過ぎたのは良くなかった。すまなかった。お前は俺にとって特別だよ、リック。」
     素直に頷くと、また頭を撫でられた。
     ニーガンは俺の頭を撫でた手をそのまま頬に触れさせて親指で擦ってきた。
    「俺は謝ったぞ。さあ、お前はどうするんだ?」
     期待に満ちたニーガンの目。
     この状況で俺が言うべきことは一つだけだ。
    「──ごめんなさい、daddy。」
     声が震えた。
     屈辱と、恥ずかしさと、安堵で。
     俺が絞り出すように告げた言葉にニーガンは感激した様子で「My boy」と呟いて強く抱きしめてきた。
     抱きしめ返すべきか迷う俺には構わずニーガンは話し出す。
    「なんて可愛い奴だ!これからはお前に冷たくなんてしない。こんなに可愛い子を拗ねさせるなんてだめだ。……なあ、リック。仲直りしてくれるならdaddyにキスしてくれないか。」
     その言葉に寒気がした。
     引き剥がすように身を引き、少しでも距離を取ろうとニーガンの胸に手を当てて腕を突っ張る。
     ニーガンの言うキスが頬や額ではないことは雰囲気でわかった。唇へのキス。それには強い抵抗感がある。
     拒むように口を引き結んでニーガンを見つめても効果はなく、腰に回された腕に力が入って抱き寄せられてしまう。
    「リック、仲直りしよう。そうしてくれないと寂しくて……そうだな、他の誰かに慰めてもらわなきゃいけないかもしれない。」
    「……わかった、わかったから。……どこにも行かないでほしい。」
     俺は覚悟を決めてニーガンの頬に触れた。
     楽しそうに笑う男に抱く怒りを堪え、唇同士を触れ合わせると同時に目を閉じる。
     触れるだけのキスで済ませたかった。だが、それだけで済まないことは予想していた。
     予想通り、ニーガンの手に後頭部を押さえられるとキスが深いものへと変わる。
     息苦しくなるようなキス。きっとニーガンは最初からこうするつもりだったんだろう。
     体を支えることが難しくなってニーガンの肩に置いた両手に力が入ったが、それを咎められることはなかった。


     キスは濃密で長かった。
     父と息子という役のはずなのに触れ合い方は親子のそれではない。
     ようやく唇が解放されても俺自身が解放されることはなく、ニーガンの手が背中から尻を這い回る。その性的な手付きに吐き気がした。
    「これで、仲直りか?」
     少し掠れた声で尋ねるとニーガンは満足げに頷いた。
    「仲直りできたが、お前に寂しい思いをさせたままじゃ良くない。上に行くぞ、リック。今夜はずっと一緒にいよう。」
     ニーガンの目が欲望でギラつく。
     女を抱くことを好む男が俺に欲情しているという事実に嫌悪と優越感が同時に湧いた。自分がそういう目で見られることを嫌だと思うのに、あのニーガンに影響を与えていることを喜ぶ自分がいる。
     これも奴の思い描いた通りになっているんだろうか?
     俺は深く考えることを放棄して、もう一度ニーガンに唇を寄せる。そして今度は自分から舌を絡めた。これが返事の代わりだ。
     キスを終えるとニーガンが視線を上に向けた。上に行く合図だと察したので立ち上がるとニーガンも立ち上がった。
    「付いてこい。」
     そう言ってニーガンに手を握られ、歩き出した奴の後に付いて階段を上る。
     俺はこの手を振り払いたいと望むべきだ。そうすることが敵わないとわかっていても心はそうあるべきなのだと理解している。
     それでもニーガンに選ばれたことにホッとしている自分を否定できない。
     自分勝手な自分を嘆く暇もなく寝室のドアはニーガンによって開かれた。

    End
    ♢だんご♢ Link Message Mute
    2018/12/11 20:53:10

    飽きたなら、さようなら

    #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク

    pixivに投稿した作品と同じものです。
    S7辺りのニガリク。
    ニーガンに素っ気なくされるようになったリックが徴収の前日に調達に出かけるお話。


    ニーガンに素っ気なくされるリックを書いてみたかったので挑戦してみましたが、あんまり素っ気ない感じがしないかもしれません。
    よかったら、どうぞ。

    more...
    Love ステキと思ったらハートを送ろう!ログイン不要です。ログインするとハートをカスタマイズできます。
    200 reply
    転載
    NG
    クレジット非表示
    NG
    商用利用
    NG
    改変
    NG
    ライセンス改変
    NG
    保存閲覧
    NG
    URLの共有
    OK
    模写・トレース
    NG
    • リック受まとめ #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      #ダリリク  #シェンリク  #腐向け  #TWD  #ニガリク ##ダリリク ##シェンリク ##ニガリク ##TWD


      privatterで投稿したものと今までに投稿していないものをまとめました。
      平和な世界だったり、ドラマ沿いだったりごちゃ混ぜです。



      ◆今日のダリリク:相手が風呂を上がっても髪を乾かさないので仕方なくドライヤーをかけてやる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       髪を濡らしたままバスルームから出てきたリックを見て、ダリルは眉間に思いきりシワを寄せた。
       リックが「疲れた」と何度もボヤきながらバスルームに入っていった時点でこうなることは予想していたが、予想通りになったからといって喜ぶことはできない。
       ダリルは髪の先から雫を滴らせるリックを捕まえるとバスルームへ引きずっていき、ドライヤーの熱い風をリックの髪に吹きかけ始める。
       乱暴な手つきで髪を乾かしてやるとリックが苦笑いを浮かべた。
      「放っておいてくれて構わないんだぞ?」
      「バカか。風邪でも引かれたら困る。」
       それも理由の一つではあるが、リックに構いたいというのが一番の理由。
       普段は頼もしく凛々しい男がダリルの前では気を緩めて無防備になるのが嬉しい。それだけ自分に心を許しているということなのだと思うと甘やかしてやりたくなる。
       そんなことをリック本人に言うつもりは少しもない。
       そんなわけで、ダリルは緩みそうになる顔を引き締めながらリックの髪を乾かし続けたのだった。

      End




      ◆今日のシェンリク:昼下がり、相手が楽しそうに洗濯物を干しているのを、洗濯物をたたみながら眺める
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       今日は仕事は休み。
       そのためシェーンはリックと共に惰眠を貪り、遅めの朝食……ではなく昼食を食べてから活動を始めた。
       洗濯機を回しながら食器洗いや掃除を行い、それが終わると昨夜干した洗濯物を取り込んでいく。
       洗濯物の取り込みが終わった時点でリックが洗い終わった衣類を持って姿を見せた。
      「干すのは俺がやるからシェーンは洗濯物をたたんでおいてくれ。」
      「任せろ、相棒。」
       仕事中のような受け答えに笑い合いながら各自の仕事に取りかかる。
       Tシャツをたたみ、ジーンズをたたみ、タオルをたたみ……。
       シェーンはキレイにたたんだ衣類を並べながら洗濯物を干すリックに目を向ける。
       物干しに洗濯物を干していくリックの顔には笑みが浮かんでいる。それだけでなく鼻歌まで歌っているようだ。
       「何がそんなに楽しいのだろう」と首を傾げかけて、シェーンは自分の口元も緩んでいることに気づいた。
       ああ、そうか。二人一緒なら何をしていても楽しい。
       シェーンはリックも自分と同じなのだと気づき、自分の笑みがますます深いものになっていくのを自覚した。
       これが終わったら次は何をしようか?
       リックと一緒ならどんなことをしても楽しいに違いない。
       そんな風に心を弾ませながら最後の一枚をたたみ終わると、洗濯物を干しているリックの方へ足を運ぶことにした。

      End




      ◆今日のニガリク:無意識に「おかえり」と言うと相手が驚いた顔で「ただいま…」と小声で返すので、何だかお互いに恥ずかしくなる
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       遅くなるなら遅くなるって連絡しろ、クソ野郎。
       リックは怒りと共に冷めきったスパゲッティの皿にラップを貼ってから冷蔵庫を開けた。
       夕食の時間になっても帰ってこなかったニーガンからの連絡は未だにない。「夕食はいらない」という話もなかったので用意はしておいたのだが、日付が変わるまで残り三十分という時間になっても玄関のドアは開かなかった。
       ニーガンという男は他人の思い通りになるような人間ではないと知っていたが、少しは一緒に暮らしている者の身にもなってほしいとリックは常々思っている。
      「どこかの女の部屋にでも転がり込んだのかもな。」
       リックは吐き捨てるように言いながら冷蔵庫の扉を乱暴に閉めた。
       あんな男と一緒に暮らしている自分がバカなのだとわかっていても腹を立てずにいられない。
       ニーガンの言動一つに振り回され、翻弄され、感情が揺れ動く自分が情けなかった。それなのに離れずにいることも情けなくて悔しい。
       「早く帰ってきてほしい」だなんて惨めだ。
       リックは静まり返った部屋の中心に佇み、ボンヤリと床を見つめる。ニーガンがいるとうるさいと感じるのに、今はこの静けさが嫌いだ。
       どうしても「ただいま」の声が聞きたい。
       その時、ドアの開く音が微かに響く。その音に導かれるように玄関へ向かうと、そこにはニーガンの姿があった。
       ニーガンはリックを見ると普段通りの笑みを浮かべた。
      「文句は後にしろよ。説明してやるから、先にシャワーを浴びさせて……」
      「おかえり。」
       リックの口から滑り落ちた言葉にニーガンが驚いた顔をする。それは演技ではなく心からのものだとリックは確信した。
       ニーガンは驚きの表情を浮かべたまま口を開く。
      「……ただいま。」
       それは小さな声だった。
       そのことが妙な恥ずかしさを呼び起こしたため、リックは片手で顔を覆って俯いた。
      「どうして俺が恥ずかしくならなきゃいけないんだ?」
      「それは俺のセリフだ。……文句を言われると思ったのに、今のは反則だ。」
       意外にも近くで声が聞こえたためリックが顔を上げると拗ねた顔のニーガンが目の前にいた。
       リックは一歩後ろへ下がろうとしたが、ニーガンに抱き寄せられたためそれは叶わない。
       珍しく真剣な表情のニーガンは唇同士が触れそうな近さで囁く。
      「リック、もう一度『おかえり』と言ってみろ。」
       結局、この男には逆らえない。
       そう思いながら「おかえり」と口にするとニーガンは満足げに微笑む。
       そして「ただいま」と共に与えられたのは熱い口付けだった。

      End




      ◆ダリリク/制限付きの逃避行

      「笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか」
      https://shindanmaker.com/750576

      【制限付きの逃避行】

       ダリルの視線の先には難しい顔をして考え込むリックがいる。
       出会ったばかりの頃のリックはもっと表情豊かな男だったように思う。良いものも悪いものも表情に出していたように思う。
       しかし、リーダーとしての重さが増していくとリックの顔からは表情が消えていった。
       きっと、背負い過ぎたのだろう。
       きっと、失い過ぎたのだろう。
       それをどうにかしてやりたくても運命は過酷なもので、誰にもリックを救えない。
       だからダリルはリックの傍に行く。頬を撫でてやることしかできなくても、その一瞬だけリックに表情が戻るからだ。
       ダリルがリックの隣に立つとリックは視線だけを寄越してきた。
      「また考え事か?」
      「ああ、別に大したことじゃない。」
       嘘つきめ。
       そう言ってやりたかったが、言ったところで苦笑するだけだろう。
       ダリルは何となくリックに触れたくなって頬に掌を這わせた。そうするとリックは目を細めて幸せそうな笑みを浮かべる。
       笑う横顔に恋をしたのは果たしていつの日だっただろうか?
       ダリルは最近では滅多に笑わなくなった想い人に胸を痛め、自分にできることの少なさに落胆する。
       自分と過ごす時間だけでもリックが幸せだと思えるのならいくらでも傍にいるのに。
       そんなダリルの思いをやんわりと拒むようにリックが離れていく。
      「……もう行かないと。」
       小さく呟いたリックの顔からは表情が消えていた。
      「そうだな。」
       次にリックの笑顔に会えるのはいつになるのだろう?
       リックの傍にいたいのは彼のためなのか、それとも自分のためなのか、ダリルにはそれさえわからなくなった。

      End




      【この熱さをもたらすもの】ダリリク

       照りつける太陽が俺の背中を焼く。
       ジリジリと焦げつく背中に滲む汗は不快さしか与えてくれず、眉間にしわが寄ったのを自覚する。
       作業する手を止めて休めばいいのに「もう少しだけ」と作業を止められない。生き急ぐつもりはないが、小さな焦りが自分の中に存在しているせいなのかもしれない。
       思わず自分に苦笑を漏らした時、後ろから足音が近づいてきた。
      「仕事中毒か?水でも飲んで休め。」
       姿を見せたのはダリルで、彼は水の入ったペットボトルを手にして立っている。
       差し出されたペットボトルを受け取りながら礼を言うと、ダリルの手の甲が俺の頬に触れた。
      「おい、かなり熱いぞ。気分は悪くないか?」
      「大丈夫だ。だが、そろそろ切り上げた方がいいかもしれないな。」
      「あんた、結構汗かきだよな。脱水症状でぶっ倒れても知らねーぞ。」
       ダリルは呆れ顔で俺の頬を軽く叩いた。
       休まずに仕事を続けてしまうのは俺の悪い癖だ。そんな俺をダリルはいつも心配してくれる。
       本当に良い奴だな、と思わず笑みが溢れた。
      「気をつける。それにしてもお前は本当に俺のことをよく見ているよな。そんなに俺のことが好きなのか?」
       笑い混じりに冗談を言ってみた。
       「バカか」と呆れ顔をするダリルを想像していたが、予想とは違ってダリルは目を丸くして俺を見る。その顔が真っ赤に染まるのは一瞬のことだった。
       予想外の反応に何も言えずにいるとダリルが耳元に唇を寄せてくる。
      「好きだけど、何か文句あるか?」
       低く囁かれて背筋にゾクリとしたものが走る。
       ダリルは俺から体を離し、鼻を鳴らして去っていく。それを見送ることができないのは全身が硬直してしまったからだ。
       ああ、熱い。頬が燃えるように熱い。
       思いがけずダリルから与えられた熱に逆上せそうな気がした。

      End




      【Strawberry】ニガリク

       ああ、今日もよく働いた。
       そんな充実感と共にリックは体を伸ばす。
       スッキリと晴れた青空の下で作業をするのは気分が良い。そのためか今日はいつもより張り切って仕事をしたような気がする。
       休むことなく動き回ったので、さすがに体が重い。リックは休憩のために近くの家の壁に背中を預けて座った。
       吹き抜ける風の柔らかさが心地良い。
       耳に届く住人たちの賑やかな声が穏やかな気持ちにさせてくれる。
       様々な困難を乗り越えたアレクサンドリアは希望に満ちた町へと変わりつつある。
      (幸せだなぁ)
       素直にそう感じたリックは微かに笑みを浮かべた。


       リックが幸せな気分を満喫していると足音が近づいてくる。その足音の方へ顔を向ければニーガンが歩いてくる姿が見えた。
       ニーガンのシャツの袖には泥が付いている。畑仕事を嫌がらずに行うニーガンを意外に思ったのはそんなに最近のことではない。
       敵対し、憎み、戦争までした相手と手を取り合って生きていることが信じられないが、目の前にあるのは全て現実だ。そのことが不思議で、おかしくて、そして嬉しい。
       リックがクスクスと笑っていると目の前に来たニーガンが呆れたような顔をする。
      「働きすぎておかしくなったのか?」
      「違う。気にしないでくれ。」
       まだ笑いの余韻を残すリックにニーガンは顔をしかめたが、それ以上は追及せずにリックの正面にしゃがんだ。
       リックの前にしゃがんだニーガンの手には苺が乗っている。畑で育てていたものを持ってきたのだろう。
      「見事な出来だな。ニーガンが農作業が好きだなんて意外だった。」
       そう言ってやるとニーガンはニヤリと笑う。
      「小さなレディだと思えば手間をかけるのも惜しくない。」
       「何だそれ」とリックが笑っているとニーガンはリックの唇に触れた。
      「お前に一番に食わせてやる。口を開けろ。」
       その言葉に従ってリックは口を開けたが、ニーガンは苺を自分で咥えてしまう。
       一番に食べさせてくれるのではなかったのか?
       リックがそんな疑問を抱いているとニーガンが顔を近づけてきた。そしてニーガンが咥えた苺がリックの唇に触れる。「食べろ」という意味なのだと理解したリックは苺をかじった。
       かじった瞬間に口の中に果汁が広がり、甘く爽やかな香りが鼻を通り抜ける。リックは自分を真っ直ぐに見つめてくる瞳を見つめながら苺を咀嚼した。
      「美味い。」
       正直な感想を告げると、それを待ちかねていたかのように残り半分の苺がニーガンの口の中へと消える。
       ニーガンは己の唇に付いた苺の汁を舐め取りながら囁く。
      「お前のためにこの俺が育てた苺だ。全部食えよ、リック。」
      「……本当に押し付けがましい奴だな、あんたは。」
       溜め息混じりのリックの言葉を気にしていない様子でニーガンは再び苺を咥えた。
       リックは「仕方ない」と苦笑してからその苺を咥える。さっきよりも深く咥えれば唇同士が触れ合う。
       そして思いきって苺をかじれば触れ合うだけのものが深い口付けへと変わった。
       苺の甘い汁と共に舌を絡め合えば奇妙な背徳感に背筋がゾクリとする。その背徳感を嫌だと思わないのは目の前の男との甘い時間に溺れているせいだ。
      (甘い、さっきよりもっと)
       この甘さは自分だけのもの。ニーガンが自分のために育てた苺をニーガン自ら与えてくれることで生まれた甘さだ。
       そう認識した時、何度も噛むことでドロドロになった苺が喉を下りていった。
       まだ食べ足りない、と思ったリックは軽く口を開けて「もっと」と強請る。
       「仕方ない奴だ」とニーガンが楽しげな笑みを浮かべながら咥えた苺がリックにはこの世で一番美味しそうなものに見えた。

      End




      【唐突に告げる】シェンリク

      「愛してる。」
       シェーンの鼓膜を震わせたリックの一言は何の脈絡もないものだった。
       シェーンとリックは二人がけのソファーに並んで映画を観ている真っ最中。
       観ているのは恋愛ものの映画ではない。そういったジャンルに興味はなかった。ついさっきまでビール片手にストーリーにツッコミを入れて笑い合っていただけなのだ。
       それなのに突然リックが愛の言葉を口にしたため、シェーンは目を丸くして隣に顔を向けた。
      「何だよ、急に。」
       そう尋ねればリックは楽しそうに笑った。
      「何となく言いたかっただけだ。」
      「そんなムードじゃなかったぞ。」
       変な奴、と苦笑しながら新しいビールに口を付ける。
       突然のことに驚きはしたが、悪くはない。
       相手のことを常に愛しく思っているのはシェーンも同じだ。
      「愛してる。」
       今度はシェーンが愛の言葉を口にした。
       シェーンが再び隣へ顔を向ければリックも同じようにシェーンを見ていた。
       目が合った時、リックの目尻が垂れて幸せそうな笑みが浮かんだ。
       そんなリックを「愛しいな」と改めて思ったシェーンの口も弧を描いていた。

      End
      ♢だんご♢
    • リック受けまとめ2 ##TWD ##ニガリク ##ダリリク ##メルリク

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      ほぼニガリクでした。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • スコット受まとめ #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      #蜘蛛蟻  #隼蟻  #盾蟻  #腐向け ##蜘蛛蟻 ##隼蟻 ##盾蟻


      診断メーカーのお題で書いたものをまとめました。privatterに投稿していたものです。




      ◆今日の隼蟻:洗う係と拭く係とで別れて、口論しながらも見事な連携プレーで食器を洗う
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

      「だーかーら!今日は俺が夕飯作るって言っただろ!?しかも言ったのは朝!」
       スコットが泡だらけの皿を水で洗いながら怒鳴ると、その隣ではサムが洗い終わった食器を乾いたタオルで拭きながらしかめっ面をする。
      「俺がやりたくてやってるだけだ。俺としては何で怒られなきゃならないのかが理解できないね。」
      「疲れて帰ってきた奴にさせたくなかったのがわかんないのか!?あー、俺の優しさが無駄になった!」
       やけくそ気味に言い放ったスコットの言葉に対してサムが「自分で言うな」とツッコむと、スコットの機嫌はますます下降していく。
       今日の任務はサムだけだったので、スコットは今夜の食事は自分が作ろうと思っていた。毎日食事を作ってくれるサムへの感謝のためでもあったからだ。
       それなのに買い出しで家を留守にした間にサムが帰宅し、スコットが帰宅する前に夕食を作ってしまったのである。
      「あんたに美味いものを食べさせてやりたいと思うのがそんなにダメか?」
       サムはスコットが渡した皿を受け取って手際良く水分を拭き取った。
      「そうじゃなくてっ……サムに少しでも楽をさせてやりたい俺の気持ちも考えろってこと。」
       差し出されたサムの手にスコットは洗い終わった皿を乗せる。その皿の水気もサムの手によってあっという間に消え失せてしまった。
      「あんたを喜ばせたい俺の気持ちも考えてほしいね。……早く次を渡せ。」
      「はいはい、これで最後だよ。」
       スコットが不機嫌そうに最後の皿を渡すと、サムは目を丸くしてスコットの顔を見た。
      「最後?これで終わりか?」
      「何か問題でも?」
      「早いな。もう洗い終わったのか。」
      「……ケンカしても連携プレーはバッチリだな、俺たち。」
       その事実が二人の仲の良さを表しているようで、不思議と笑みが浮かんでくる。
       こうなってしまえば怒りは萎んで消えてしまい、後は仲直りをするだけとなる。
       スコットとサムは向かい合うと互いの体に両腕を回して抱きしめ合った。
      「サム、ごめん。ムキになって怒り過ぎた。」
      「俺こそ悪かった。スコットの気持ちは嬉しかったんだ。」
       謝り合ってハグをすればケンカはお終い。
       残りの時間は甘く穏やかな時間を過ごすことにしよう。

      End




      ◆今日の蜘蛛蟻:なんだか無性に甘いものが食べたいと思ってドーナッツ1ダース買って帰ったら相手も1ダース買ってた
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       お腹が空いたな、と思った帰り道。
       甘いものが食べたいな、と思って回り道。
       良さそうな店を探すピーターの鼻に届いたのは美味しそうなドーナツの香り。
       甘い香りに誘われてフラフラと店に入れば数えきれないほどたくさんのドーナツ。種類の豊富さは選ぶ楽しさを与えてくれる。
      (スコットさんは何が好きかな?)
       同棲中の恋人の好みを思い出しながらドーナツと見つめ合うが、どれも魅力的で一つだけ選ぶのは無理そうだ。
       それならば何種類も買って帰ればいいではないか。
       「我ながら名案だ」とピーターは笑みを浮かべ、澄まし顔で並ぶドーナツたちを次々と指名する。
       ドーナツを購入し、「ありがとうございました」と店員の声を背に受けながら店を出たピーターの手には大きな箱。その中にはドーナツが一ダースも詰まっていた。
       買い過ぎたかな、と思いながらも家に向かう足はステップを踏みそうな勢いだ。
       腹の虫を鳴かせながら家に帰れば愛しいスコットが出迎えてくれる。
      「見て、スコットさん。ドーナツ買ってきたんだ。」
       そう言ってドーナツの入った箱を差し出すとスコットは「えっ!」と言って目玉が飛び出そうな勢いで目を丸くした。
       どうしたのかと尋ねればスコットは気まずそうにダイニングテーブルを指差す。
       そこにあったのはピーターと同じ柄と大きさの箱。
      「俺もドーナツを買ってきたんだ。ピーターが喜ぶかと思って。……一ダース。」
       ピーターは困り顔で頬をかくスコットに抱きつきながら「僕たちの相性は最高だね!」と頬にキスを贈ったのだった。

      End




      ◆今日の盾蟻:仕事で疲れ切った帰り道、家の明かりが灯っているのを見て不意に泣きたくなった(相手には絶対言わないが)
      # 同棲してる2人の日常
      https://shindanmaker.com/719224

       すっかり暗くなった通りを歩きながらスティーブは冷たい風に体を震わせる。
       今日の任務は予定よりも時間がかかった。想定外の出来事が起きるのは当然で、そのための心構えは常にできている。
       しかし、疲れるものは疲れる。超人的な肉体を持つスティーブであっても疲れが溜まるのは避けられず、今日は特に疲れが大きい。
       重いものを引きずるように歩きながらの帰り道は気分まで重くさせた。
       暗い道を寒さに震えながら歩くのは妙に落ち込む。通りすがりの相手から嫌なことを言われたわけでもないのに……というより、誰とも擦れ違わないのだが。
      (なんだか情けないな)
       自分自身に対して苦笑しながら歩くうちに我が家が見えてきた。
       狭くはないが広いとも言いきれない小さな家には柔らかな明かりが灯っている。
      (スコット、まだ起きていたんだな)
       同棲を始めたばかりの恋人には帰るのが遅くなると連絡は入れてある。先に寝ていてほしいとも伝えておいたはずだ。
       それでも彼はスティーブの帰りを起きて待っていたらしい。

      ───ああ、一人じゃないことがこんなにも嬉しい。

       そう思った途端に鼻の奥がツーンとして、目の奥が熱くなって、瞬きを繰り返さなければ涙が溢れてしまいそうな気がした。
       スコットという存在が自分の心に温もりを与えてくれることが幸せで……幸せだからこそ泣きたくなる。
       スティーブは家の玄関の前に立つと頬を軽く叩いた。
       泣きそうになったなんて絶対に悟られたくない。いつも通りの自分でスコットに会いたい。
       「よし!」と小さく声を出してからドアを開ければ、愛しい笑顔がスティーブを迎えてくれた。

      End
      ♢だんご♢
    • スコット受け他まとめ ##アントマン ##蜘蛛蟻 ##スコット ##ロケット ##トニー

      ぷらいべったーに投稿した作品のまとめです。
      CPあり・なしの話がごちゃまぜ。CPありは蜘蛛蟻のみ。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ある寒い日のこと #ウースコ  #アントマン  #腐向け ##ウースコ ##アントマン


      自宅軟禁期間のウースコ。
      寒い日にスコットの自宅を訪ねるジミーのお話。

      寒い日は妄想がはかどるので書いてみました。ウースコというよりもウースコ未満かもしれません。
      いつも「ウーさん」と呼んでいるのでCP表記をウースコにしましたが、ジミスコの方がいいんでしょうか?
      とりあえずウースコでいこうと思います。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤ずきんとおばあさん #蜘蛛蟻  #ピタスコ  #腐向け  ##蜘蛛蟻


      小説投稿機能のお試し。
      ぷらいべったーで投稿したものを少し手直ししました。タイトルのセンスがないのはお許しください。
      ピーターが遊びに来るのを待つ心配性なスコットのお話。
      よかったらどうぞ〜。
      ♢だんご♢
    • 本能が「欲しい」と囁いた #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿した作品です。
      S7のニガリクで、オメガバース設定を使用しています。
      ネタバレになるので詳細は控えさせていただきます。

      好きなように設定を詰め込んでいますが、よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 小さなバースデーパーティー ##TWD ##リック ##カール

      アンディの誕生日にグライムズ親子の誕生日ネタで1つ。
      放浪中の親子の誕生日のお話。短いです。
      ♢だんご♢
    • さよなら、私のアルファ #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  #オリジナルキャラクター  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の続きになります。
      ニーガンが運命の番と出会ったため、サンクチュアリを出ていくことにしたリックのお話。


      オリジナルキャラクターが複数名登場します。出番が多く、ニガリクの子どもも登場するので苦手な方はご注意ください。
      詳細は1ページ目に案内がありますので、そちらをご覧ください。
      ニガモブ要素を少し含みますし、ニーガンがひどい男です。
      よかったらどうぞ。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • ベッドひとつぶんの世界 #TWD #ダリリク #ニーガン #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿したものと同じ作品です。
      S7辺りのダリリク。
      ニーガンの部下になったダリリクと、二人を見つめるニーガンのお話。


      ダリリクが揃ってニーガンの部下になったら、互いだけを支えにして寄り添い合うのかなーと妄想したので書きました。
      寄り添い合うダリリクはとても美しいと思います。
      CPもののような、そうでないような、微妙な話ではありますが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • ちょっとそこまで逃避行 #蜘蛛蟻 #ピタスコ #腐向け ##アントマン ##蜘蛛蟻


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンFFH後の蜘蛛蟻。
      FFHのネタバレを含むのでご注意ください。
      辛い状況にあるピーターがスコットの家に逃避行するお話。


      FFHが個人的に辛すぎたので自分を救済するために書きました。
      蜘蛛蟻というより蜘蛛蟻未満?
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 数値は愛を語る #蜘蛛蟻 #腐向け #Dom/SubAU ##蜘蛛蟻

      pixivに投稿したものと同じものです。
      Dom/Subユニバース設定で、Switch×Subの蜘蛛蟻。
      ピーターに惹かれながらも寄せられる想いに向き合うことができないスコットさんのお話。
      特にどの時間軸というのはなく、設定ゆるゆるです。


      突然降ってきたネタに萌えてしまったので勢いで書きました。スコットさんがヘタレです。
      特殊設定なので「大丈夫だよ!」という方は、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(前半) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク

      S7の頃。救世主として日々を過ごす主人公が偶然リックと関わり、それをきっかけにリックやニーガンと深く関わるようになるお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 家族写真 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのニガリク。
      大切にしてる家族写真をニーガンに奪われたリックのお話。

      「ニーガンはグライムズ親子の写真を勝手に持って帰りそう」と思ったので書いてみました。
      特に盛り上がりのない私向けの話です。お暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち③ #TWD #ニガリク ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックは食料調達のためにシェーンとカールと共に森に入り、その最中に事件が起きる。それはグループの運命を変えるものだった。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      ニガリクタグを付けたら詐欺になりそうなくらいにニガリク要素が少ないです。ニガリクを探せ!という気持ちで読んでください。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 僕はコーヒー豆を挽かない #TWD #ダリリク ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S5でアレクサンドリアに到着した後。
      「生きてきた世界が違う」という理由でリックや仲間と距離を置くダリルを心配するリックのお話。


      ほんのりダリリクの味がするお話です。
      アレクサンドリアに着いたばかりのダリリクの何とも言えない距離感も良いですね。
      タイトルについては深く考えずに読んでいたたければありがたいです。
      地味な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • Restart #蜘蛛蟻 #ピタスコ #最新作のネタバレあり ##蜘蛛蟻


      ※スパイダーマンNWHのネタバレを含むのでご注意ください。


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      スパイダーマンNWH後。
      パトロール中のピーターがスコットに出会うお話。
      蜘蛛蟻未満だけど後々に蜘蛛蟻が成立するという解釈で書いているので蜘蛛蟻です。


      スパイダーマンNWHは面白い映画でしたね。
      でも個人的にとてもしんどい展開だったので自分を救済するために書きました。蜘蛛蟻は癒やし。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 侵入者との攻防 #ロケスコ #腐向け ##ロケスコ


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      アベンジャーズ・エンドゲームでのロケスコ。
      毎朝ロケットが自分の上で寝ていることに困惑するスコットのお話。


      エンドゲームを観て見事にロケスコにすっ転んだので書いてみました。
      口調が掴みきれてないので違和感があったら申し訳ないです。
      短い話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 亡霊殺し #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S2終了後のダリリク。
      リックの傍にシェーンの亡霊が見えるダリルのお話。ほんのりシェンリク風味もあります。

      盛り上がりが特にない私得なダリリクです。ダリリク未満かもしれません。
      じんわりとリックへの執着を滲ませるダリルが好きなので書いてみました。
      本当に暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 雛の巣作り #ニガリク  #TWD  #腐向け  #オメガバース  ##ニガリク  ##TWD

      pixivにも投稿している作品です。
      【本能が「欲しい」と囁いた】の番外編。
      ニガリクが番になって1年が経った頃のお話。
      よかったら、どうぞ〜。


      2018.6.21 一部を修正しました。
      ♢だんご♢
    • 罪な味 #TWD #リック #シェーン #カール #ダリル #ニーガン ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      リックと誰かの食にまつわるお話。
      時期も長さもバラバラ。基本的にほのぼのですが、ニーガンとの話はほのぼのしてません。


      ・【ピザ】 リック&シェーン
       アポカリプス前。「ピザの魅力には抗えません」というお話。

      ・【ケーキ】 リック&カール
       アポカリプス前。「いつもと違う食べ方をすると楽しくて美味しい」というお話。

      ・【肉】 リック&ダリル
       平和な刑務所時代。「調味料は偉大だ」というお話。

      ・【フルーツティー】 リック&ニーガン
       S7辺り。「悔しいけれど美味しいものは美味しい」というお話。


      リックに美味しいものを食べてほしいと思ったので書いてみました。ニーガン以外はほのぼのしてます。
      よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 特に何も始まっていない二人 #TWD #ダリリク #腐向け ##TWD ##ダリリク

      pixivに投稿した作品と同じもです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      特に何も始まってないけれど仲よしなダリリクの詰め合わせ。

      CPというよりブロマンスなダリリクです。お互いに相手を大事に思ってることが滲み出るダリリクが好きです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 道なき未知を拓く者たち① #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      「リックを最初に拾ったのがニーガンだったら?」というIFストーリー『生まれ落ちた日』の続編。
      リックの家族を捜す旅に出たリックとニーガンだったが、過酷な世界での旅は簡単なものではなく……。


      ドラマの展開に沿ったストーリーですが、オリジナル要素を盛り込んでいます。納得できない展開になってもご容赦ください。
      長編なのでのんびり書いています。次の章を投稿できるのがいつになるのか不明です。
      完全に私得な話なのでお暇な時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • プリンシパルとアンサンブル(後編) #TWD #ニガリク #腐向け #夢小説 ##TWD ##ニガリク


      S7の頃。前作の続きで、ケガの治療のためにサンクチュアリに滞在するリックを世話する主人公がリックとニーガンの関係性を目の当たりにするお話。

      夢小説なので主人公はドラマに登場するキャラクターではありません。夢主がキャラクターたちと関わるのを楽しみつつニガリクを堪能する作品です。
      夢小説とCP小説を合わせた作品なので苦手な方はご遠慮ください。
      主人公とキャラクターが恋愛関係になる展開もありませんのでご了承ください。
      前編よりも主人公がリックに肩入れしています。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 恋しい、と獣は鳴いた #TWD #ダリリク #ニガリク #腐向け #オメガバース ##TWD ##ダリリク ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7辺りのダリリク・ニガリク。
      リックと番になっているダリルがリックと引き離されて情緒不安定な時にニーガンと話すお話。ダリルとニーガンのちょっとしたバトル。


      「αが番のΩに依存する」という設定で書きたくて書いてみました。会話してるだけなので特に盛り上がりのない地味な仕上がりです。
      気が向いた時にでもどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 彼らが愛したのは「   」です #TWD #セディリク #ゲイリク #ニガリク #妊夫 #腐向け ##TWD


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S8終了後。
      ニーガンの子どもを妊娠したために孤立するリックを支えるセディク、ゲイブリエル、ニーガンのお話。セディクがメインです。

      ※注意
      ・男性の妊娠、出産、授乳の表現あり
      ・リックへの差別、迫害要素あり
      ・全体的に重苦しい展開


      CP要素があるような無いような微妙なところです。
      重苦しい雰囲気の話なのでご注意ください。
      本当に気が向いた時にどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 生まれ落ちた日 #TWD #ニガリク #腐向け ##TWD ##ニガリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S1初回。
      ニーガンが病院でリックを見つけるお話。
      S1初回にニーガンを放り込んだだけ。ニーガンの過去について原作の設定を使っているので未読の方はご注意ください。


      S1の時点でニガリクが出会っていたら最強コンビになったのでは?という妄想を形にしてみました。別人感が強いです。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 赤い糸の憂鬱 #TWD #カルリク #ニガリク #腐向け ##TWD ##カルリク ##ニガリク

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S7のカルリク・ニガリク。
      リックとニーガンが赤い糸で繋がっているのが許せないカールのお話。
      特殊な設定がありますが、深く考えない方がいいかも?


      カルリクとニガリクで三角関係が読みたくて書きました。カールの前に立ち塞がるニーガン美味しいです。
      「カールは赤い糸が見える」という特殊設定がありますが、深く考えず雰囲気を味わって頂ければと思います。
      よかったら、どうぞ。
      ♢だんご♢
    • 「大丈夫」の言葉 #TWD #ダリリク #腐向け #ケーキバース ##TWD ##ダリリク


      pixivに投稿した作品と同じものです。
      平和な刑務所時代のダリリク。
      リックが「ケーキ」であることを知ったダリルが思い悩むお話。
      ケーキバース設定を使っています。この話にグロテスクな要素はありませんが、ケーキバース設定自体がカニバリズム要素を含むので苦手な方はご注意ください。


      リックのことが好きすぎて思い詰めるダリルが大好物なので書いてみました。
      盛り上がりの少ない私得な話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    • 夢の残骸 #TWD #ニーガン #ゲイブリエル ##TWD

      pixivに投稿した作品と同じものです。
      S9ep5後で、リックが死んですぐの頃。
      リックの死を悲しむニーガンのお話。ゲイブリエルがそこそこに出番があります。リック、カール、ジュディスの出番は少々。


      リックが死んだと知らされたらニーガンは悲しむんじゃないかと思って書いてみました。
      もしかしたらドラマの中で触れている内容かもしれませんが、「こういう妄想をしました」という報告書みたいなものだと思ってください。
      特に盛り上がりのない話ですが、よかったらどうぞ。
      ♢だんご♢
    CONNECT この作品とコネクトしている作品