11月30日【11月30日】
水色の封筒が四通、郵便受けに入っていた。
心当たりのない郵便物に首を傾げる。封筒の表には黒のマジックペンで何かが書かれてあった形跡があるが、雨にでも濡れたのか、滲んでしまって解読することはできなかった。
部屋に持ち帰って確認したところ、中身が入っているのは四通の内二つだけであることがわかった。中身を床に出して広げる。小さな額縁に入れられた、知らない誰かの写真だった。全て、どこかの葬式の風景が切り取られたものである。もちろん、見覚えはない。
一つ目の封筒に入っていたのは、子どもが三人並んでいて、その後ろに女性が立っている白黒写真だ。棺と花を背景に撮られている。子どもたちはみんな、頭部に包帯が巻かれており、一人の女の子は片目が、他の二人は両目が見えない形になっていた。
二つ目の封筒に入っていたのは、布団に横たわった誰かに、子どもが泣きついている様子が写されたカラー写真だった。遺体の足元の方から撮られているため、顔は見ることができない。紫の着物を着た女の子が、突っ伏して泣いている。
この写真の子どもたちは、何らかの宗教で神として崇められている人物であるという事実を、写真を見た瞬間に理解した。
ともあれ、誰のとも知れない葬式の写真を所持しているのは、少なくとも良いことではないだろう。なるべく早く見えない場所にやりたいが、粗雑に扱うわけにもいかない。写真を手にしたまま、途方に暮れていた。