1月27日【1月27日】
やけに明るい教室だった。
ここにいるはずのない人物がいた。何故だろうとは訝しげに思いつつも、それ以上は考えることができない。引っ掛かりを覚えつつも眺めていれば、向こうから話しかけてきた。
「……?」
上手く聞き取れない。
すると、彼女は前触れもなく抱きついてきた。
ああ、いつか望んだことだったな。いつまで経ってもそちらからはしてくれなかった癖に。きっとこれは、きっと。
いやに落ち着く温度だった。
今すぐ離れたくて仕方ないのに、何故か動くことは叶わない。気持ち悪いと思っているのに、どこかで浮き足立っている。
私は、どうしてしまったんだろう。
教室内には他にも制服を着た人達がいるのに、誰一人として私達の方を気に留めることはない。苦しいほどのわだかまりを抱えたまま、抱きしめられていた。
「好き」
そう聞こえた。はっきりとした音だった。
今までそちらから言ったことなんて、一度だってなかったじゃないか。今更、今更何を?
誰かに腕を引かれた。
意識がぼんやりとして振り向くことも叶わないが、背後の人物が何かを言ったのがわかった。引き剥がされた彼女は立ち尽くしている。私は冷えきった廊下へと連れ出された。疲労と安心感がどっと押し寄せてきた。
手を引かれながら、こみ上げてきた涙を拭った。