4月14日【4月14日】
どこかの施設に閉じ込められていた。収容された檻の中には、沢山のケージが積まれている。
ケージに閉じ込められた人達をほとんど逃がし終えて、私は溜め息をついた。私も囚われた一人ではあるが、他の人々によりも自由に行動できるようになっていた。
私達を閉じ込めた張本人が来るまでに、全員逃せるだろうか。その瞬間、こつこつと足音が聞こえた。
来てしまったか。身構えつつ、自然な動作になるように呼吸を整える。親玉である男は檻を開けて中に入るなり、怒りをあらわにした。
「随分こざっぱりしたな」
「貴方様がいらっしゃるというのに、掃除のひとつもしていないのは失礼かと思いまして」
にこりと笑って、精一杯の皮肉を返す。男は見下すような目をこちらに寄越して、銃を取り出そうとした。
相手よりも先に動き出す。軽く浮いたまま、右腕を振り抜いた。隠し持っていたバールで銃を弾き飛ばす。男が追ってくるのを躱しながら、残りのケージも壊していく。
一番上のケージまで全て開けてしまって、地面に着地した。憎らしそうに睨む男に笑って見せれば、銃口を向けてきた。
まだ持っていたのか。この距離ではバールは届かない。諦めて目を瞑った。他は全員逃がすことができたし、十分だろう。
銃声が鳴り響いた。