4月23日【4月23日】
四方をコンクリートで囲まれた密室に閉じ込められている。
扉はない。窓もない。天井から伸びた裸電球の、心許ない灯りだけが部屋を照らし出している。壁を叩いてみてもびくともしない。鈍い音が反響するだけである。
助けを呼んでみようか。この状況を打破できそうな人物を、間違いなく知っているから、無駄では無いはずだ。そう信じて思いつく限りの名前を呼び続けた。合間に、助けて、出してという言葉を挟みながら。
掠れた声だけが響く。涙がにじんだ。床に倒れ伏せば、無機質な冷たさが肌を伝った。目を閉じる。
誰も来ない。なんの返事もない。
意識が薄らいだ。