4月13日【4月13日】
妹が一枚の写真を見せてきた。
私と妹、弟の3人を撮った写真であった。ごく普通の写真であるかのように見えたが、よく見るとそうではない。
見知らぬ顔が五つ、ぼんやりと浮かんでいる。
妹は怖い話が好きなのに、実際の心霊現象にはめっぽう弱い。あれやこれやと理由をつけて、心霊現象ではないから気にしなくていいと無理やりに妹を納得させる。どこか違和感を覚えつつも安心した様子の妹に、先に弟と夕飯の準備をしておくように伝える。
窓から射し込む橙色が写真を照らす。目に痛い。椅子から立ち上がってカーテンを閉める。冷え込んできたので、階段に続く扉も閉じておく。すると、後ろでシャッという音がした。
先程閉めたはずのカーテンが開いている。
妹達はソファーに座っているので、閉めることはできないはずである。そういえば、この心霊写真は今居るリビングで撮ったものだった。
まさか本当に霊がいるのだろうか。まさかと思い振り返ると、階段側の扉も開いている。
妹と弟に今起きている状況を説明する。そして、三人で同時に扉とカーテンを閉めて、そのまま見張ろうと提案した。
せーの。扉とカーテンの閉まる音がした。
警備をしているような気分だ。扉に手をかけたまま二人の方を振り返ると、しっかり見張ってくれていた。
安心して手を離した瞬間、扉がひとりでに開いた。
階段の上から、真っ白い足だけが降りてきていた。